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管軸方向の地盤ひずみによるケーブル被害の対策

第3章 地下管路の耐震対策

3.3 管軸方向の地盤ひずみによるケーブル被害の対策

写真-3.3 被害箇所 写真-3.4 ネジ継手損傷状況

FRPタイプのライニングについても,写真-3.2に示したものと同じ方法により,SA管と FRPライニング管の拘束力を計測した.FRPライニング管についても3供試体の試験は バラツキの少ない結果が得られたことから,最大の拘束力となった実験結果(図-3.7)

を解析に採用した.相対変位30.1mmの際に抵抗力4.53kN となっている.SA 管と空間 確保タイプとの間の拘束力は,管路全面にわたって作用する.

したがって数値解析では,実験時の供試管長さ(=700mm)範囲で拘束力が均等に作 用すると考えて,拘束ばね係数を下記のように求めた.また,SA管とFRPライニング管 の摩擦特性は極めて小さいことから,すべりは生じない線形条件で解析を行うことで FRPライニング管にとってより厳しい解析条件となるようにした.

k=4.53*1000/(30.1×700×80.7×π)=8.48×10-4(N/mm3) ここで,80.7:FRPライニング管の外径(mm)

写真-3.5 被害箇所の航空写真

図-3.8 管軸方向の振動による被害例概要図

であり,防護コンクリートの端部で被害を受けている.また,被害箇所の設備状況に関 する側面図・平面図・防護コンクリートの打設位置は図-3.8に示すとおり,マ ン ホ ー ル ス パ ン の 中 間 部 で 水 路 の ボ ッ ク ス カ ル バ ー ト を 上 越 し す る た め に 浅 層 埋 設 管 路 と な る 区 間 で あ り , 道 路 工 事 な ど の 外 力 か ら 管 路 設 備 を 防 護 す る た め , 無 筋 の 防 護 コ ン ク リ ー ト ( 以 下 防 コ ン ) を 管 路 の 外 周 に 打 設 し た 端 部 で 発 生 し て い る .

軟弱地盤 砂丘

防護コンクリート区間

図-3.9 管路モデル概要

図-3.10 解析で使用した入力地震波

(2) 管路損傷状況の定量化

a) 被災事例のSA管解析

被災分析は,弾性床上の梁理論に基づく地中管路の地震応答解析法(プログラム:

ERAUL)12)を用いて行った.図-3.9に管路モデル図,図-3.10に解析で使用した入力地震

波を示す.地震外力は,又木らの研究 10),11)により提案された通信用管路の挙動解析の L2 地震波動外力モデルを使用した.被災箇所に引張ひずみを与える疎密波とし,波長

104.5m,最大振幅166mm(管軸方向地盤ひずみ1.0%)で設定した.写真-3.4の管路の被

図-3.11 SA 管の継手変位量分布

害状況写真に示すように,継手部が圧縮破壊した後に引き抜かれたことが確認できる.

外装材の剥離状況や管端部の開き具合から±50mm 程度の圧縮および引き抜きが生じた ことが推定できる.また,図面上では防コンの 5m程度内部で継手が破損されたことに なるが,補修時の立ち合い者へのヒアリングでは,防コン端部で防コンおよび継手が破 壊してケーブル障害に至ったことが確認できた.既往ケーブルの被災事例の中でも,防 コン端部や防コン際での継手破壊が原因となるケースが多く発生していることから,防 コンと管路が一体となって部分的に管路の挙動を拘束していると推定し,図-3.9 に示す 管路モデルにより解析を行った.管路周辺の掘削状況から,管路周辺の土質は埋戻し用 の砂質土であったことから表-3.2の一般地盤の地盤ばね特性を用いて解析を行った.

防コン区間の地盤ばね特性は,中低圧ガス導管耐震設計指針を参考に,通常地盤の10 倍にして解析を行った9), 13).防コン区間のモデル化は浅層区間のため直近の管路線形が 急曲線になること・現場打ちコンクリートであるため周辺埋設物と捨てコン等の付着力 の影響があること・管路外装材の劣化によりコンクリートと管路間での滑りが発生する 場合も考えられることから,今後も詳細な被害分析を継続していく予定である.

解 析 よ り 得 ら れ た SA管 の 継 手 伸 縮 量 分 布 を図-3.11に 示 す .横 軸 は 継 手 伸 縮 量 の 大 き い 防 コ ン 付 近 を 拡 大 表 示 し て い る . 防護コンクリート両端でネジ継手部 に最大50mm程度の圧縮及び引張が生じ,図-3.4のSA 管ネジ継手の特性から,ネジ継 手部の破損が生じていることがわかる.管路の開削補修時の写真より推定した実際の継 手の押込量および引抜量も50mm程度と推定されることから,実際の被災状況が比較的 よく再現できている結果となった.

b) 一般的なSA管モデルによる解析

一般的なSA管モデルに対する地震時の継手挙動について解析を行った.一般的なSA 管モデルとは,管路スパン長・地震外力の位相・地震外力の方向を変化させてシミュレ

図-3.12 一般的なSA管の解析に使用した地震外力

図-3.13 管軸中央に圧縮ひずみが作用した場合のSA管の継手変位量分布

ーションを行った結果,SA 管に最大の変位が生じたモデルを採用した.解析を行った 管路モデルは図-3.3に示した標準的なSA管の部材構成とした.SA管の管体特性は表-3.1,

SA管ネジ継手・旧仕様伸縮継手・ダクトソケットの引抜・押込・回転特性は図-3.4に示 す特性とした.地震外力は,図-3.12に示すようにレベル2地震動による地盤変位につい て地盤ばねを介してSA 管に作用させる.レベル 2 地震動の地盤変位は,波長 104.5m,

最大振幅166mmの正弦波とした.この地震波動は,又木らの研究10) ,11)により提案され

た通信用管路の挙動解析の L2 地震波動外力モデルである.解析は管軸方向と軸直角方 向のそれぞれに対して行った.軸方向の解析では,地盤変位を管路部中央に向かって作 用させる圧縮波動の場合と,地盤変位を両側のマンホールに向かって作用させる引張波 動の場合について行った.

図-3.13に最も大きな継手変位量を示したSA管中央部に圧縮ひずみが作用する波動外 力の解析結果を表示する.SA管の最大軸方向変位は伸縮継手が地盤に追従して伸長す

図-3.14 被災再現実験設備

る位置で55mmであり,地盤変位振幅と比較すると小さい.また,両端の伸縮継手は変 位振幅の増加とともに非線形性を示し,伸縮量が増大するが図-3.4(b)に示す離脱変位量 85mm には達していない.一方,管路中央部のネジ継手は,25mm 程度の押し込み破損 が生じており,図-3.4(a)に示すようにネジ部の圧縮破壊が生じている.

c) SA管継手の被災再現実験

第2章の光ファイバケーブル限界状態把握試験の結果より,管路に収容された光ファ イバケーブルが被災するパターンについて再度整理する.地震時の地震動や地盤変状に よる継手離脱や管路のたわみにより,地下ケーブルに曲げ・せん断・引張りなどの外力 が作用した場合,単純に張力が作用するだけではケーブルが破断する張力まで通信障害 は発生せず,張力に加えて 60°を超えるような屈曲角がケーブルに作用する場合に通信 障害が発生する.また,継手の損傷による有効断面の縮小部もしくはマンホール内のケ ーブル固定金物に地下ケーブルが擦り付けられることによるケーブル外被の損傷やケー ブルへ側圧が作用することでケーブル断面が著しく扁平するような場合に通信障害が生 じることが報告されている.

今回の被災事例では,SA 管ネジ部の破損により有効断面が縮小した箇所に地下ケー ブルが食い込むことで通信障害が生じており,ネジ部の破壊による有効断面の縮小の影 響を実験で再現することで地下ケーブルの損傷状況を確認した.

実験方法は,図-3.14 に示すように 250kN 万能試験機を用いて,管軸方向の繰返し載 荷試験を実施した.繰返し載荷試験の振幅は過去の被災調査結果や解析結果から継手が 50mm 押し込まれる位置までの圧縮と引張を再現した.押込み・引抜きのサイクル試験 を 3 サイクル,載荷速度は試験機の最大速度 500mm/min とし,管内部に光ケーブル

(SM1000)を挿入し損傷状況を確認した.試験機への供試体設置方法の制約からネジ同 士を突き当てた位置(ネジ込んだ位置から30mm抜けた位置)から80mmの押込み・引

写真-3.6 SA管継手破壊試験 写真-3.7 SA管継手破壊断面

写真-3.8 ケーブル損傷状況 写真-3.9 多条ケーブル損傷状況

抜きのサイクル試験を3サイクル行った.

ライニングを施していないSA管の試験の結果,写真-3.6および写真-3.7に示すようにネ ジ部が管内面にめくれるような被害の再現を行うことができた.収容された光ファイバ ケーブルは写真-3.8に示すように外被が損傷し,一部ファイバ心線の断線が確認された.

また,管路1条内に多条数のケーブルを敷設する形態の場合の光ファイバケーブルの損傷 状況を写真-3.9に示すが,光ファイバケーブル1条の場合に比べ損傷度が高い結果となっ た.光ファイバケーブルに摩擦張力を負荷した場合は更に損傷度が高くなることが想定 される.

図-3.15 被災事例解析のPVCライニング管のひずみ分布

図-3.16 被災事例解析のFRPライニング管のひずみ分布

(3) ケーブル防護対策の評価

a) 被災事例のライニング管解析

ライニング管の被災分析は,弾性床上の梁理論に基づく地中管路の地震応答解析法(プ ログラム:ERAUL)12)を用いて行った.図-3.2に示すとおり,(2)a)項で解析を行ったSA 管の地震時応答変位(図-3.11)を外力として,外管と内管の拘束力特性を介してライニ ング管に作用させることで,ライニング管の応答を求めた.図-3.9に管路モデル概要図 を示す.

図-3.15にPVCライニング管のひずみ分布を示すが,PVCライニング管の変位は,SA管 の変位に追従するかたちで生じることが確認できた.

同図より,①SA 管の継手破壊位置で管の変位が不連続になるため,これらの継手位 置でひずみが局部的に高くなっていること,②PVCライニング管のひずみはSA管の継