第4章 橋梁添架管路の耐震対策
4.3 免震橋梁添架管路の被害状況の分析
(1) 免震橋梁の実態調査
NTTの通信管路が添架されている国土交通省管理橋梁を調査した結果,ゴム支承の使 用が判明した26橋を対象に,設計で想定される水平変位量について調査した7).図-4.2 (a) に橋軸方向の最大変位量と橋梁数の分布を示す.また,図-4.2 (b)に橋軸直角方向の最大 変位量と橋梁数の分布を示す.調査した橋梁は地震時慣性力の分散効果と長周期化によ る地震荷重の低減効果をねらうことを目的としたゴム支承形式と免震支承やダンパーを 採用した形式が含まれる.橋軸方向の変位は 1橋を除き 300mm以内となっていた.ま た,直角方向については,基本的に固定支持となっているが,免震支承やダンパーを採 用した形式の場合は,直角方向にも変位可能となっていることから,既存の橋梁添架設 備に使用されている伸縮構造では対応できない.調査した橋梁の中で新荒川大橋は地震
時に600mm程度の最大変位が生じる橋梁であり,本研究の地震時挙動解析の対象橋梁
図-4.3 新潟県中越沖地震後の免震橋梁調査位置図
写真-4.2 右岸側免震支承 写真-4.3 左岸側免震支承
として選定した.
(2) 実地震での被害事例
新潟県中越沖地震後に免震支承に残留変形が生じたなごみ橋,開運橋,豊田橋につい て現地調査を実施した.調査した橋梁の位置を図-4.3に示す.
なごみ橋は,柏崎市内北西の国道8号線旧道に設けられた鋼桁橋で,2004年3月に新 設されている.通信用管路が9条添架されていた.支障はゴム製支承で,橋軸直角方向 の変位は制限されており今回の新潟県中越沖地震では橋軸方向の変位のみ発生し,橋軸 直角方向の変位は生じていない.また,液状化により橋台が両岸とも傾斜したため,地 震後,橋台が一旦撤去され,液状化対策後再構築された.写真-4.2および写真-4.3に地
開運橋
なごみ橋
豊田橋
写真-4.4 地震後の伸縮継手状況 写真-4.5 地震後の第一支持点状況
写真-4.6 地震後の支承の状況 写真-4.7 ケーブル切断状況
写真-4.8 地震後の水道管継手 写真-4.9 地震後のガス管継手
震後の免震支承の残留変形状況を示す.橋台が傾斜したため,両側の支承ゴム双方とも に橋軸圧縮方向に残留変形が生じている.写真-4.4 に伸縮継手を示すが規定の変形範囲 内であり損傷等は生じていない.写真-4.5 に第一支持点部の状況を示すが,軸方向に固 定支持点とするための硬質ビニル管固定片の剥離及び支持金物の変形が若干生じており,
圧縮変形が隣の第二特殊支持点へも若干影響した.
写真-4.10 左岸側の免震支承変形状況 写真-4.11 右岸側の免震支承変形状況
写真-4.12 情報BOX損傷状況 写真-4.13 情報BOX金物損傷状況
開運橋はゴム製支承で,橋軸直角方向の変位はレベル 1地震用とレベル2地震用の2 段階の変位制限装置により制限されている.今回の新潟県中越沖地震では,写真-4.6 に 示すようにレベル1地震用の変位制限装置が破壊された形跡が見られたことから,橋軸 方向の変位だけではなく,橋軸直角方向の変位についても生じている.橋梁に添架され ていた管路は,電力,水道,ガスの3社で通信用の管路は添架されていなかった.写真 -4.7 に電力ケーブルの損傷状況を示す.橋軸直角方向の振動により,桁端部の開口部に より管路がせん断破壊し,収容されたケーブルが切断されたと推定される.また,写真 -4.8 に地震後の水道管継手,写真-4.9 に地震後のガス管継手を示す.免震支承による大 変位により,双方ともに著しい損傷を受けていることが確認できた.
豊田橋は,柏崎市内北西の国道8号線に設けられた3桁間の鋼桁橋で,2004年3月に 新設されている.支障はゴム製支承で,橋軸直角方向の変位は制限されており今回の新 潟県中越沖地震では橋軸方向の変位のみ発生し,橋軸直角方向の変位は生じていない.
情報 BOX 用通信管路およびケーブルが,橋台の外側を通す形で設置されていた.写真 -4.10および写真-4.11にゴム支承の残留変形状況を示す.また,写真-4.12および写真-4.13 に地震後の情報 BOX の損傷状況を示す.収容されたケーブルに被害があるかは不明で あるが,両岸ともに橋桁端部と管路が衝突して損傷していることが確認できた.
以上3橋の調査から,免震橋梁に添架された管路には地震時に大変形が生じ,特に継 手部は著しい損傷被害を受けることが確認できた.また,免震橋に添架された既存の管 路設備は,地震時の大変形が想定されていないようであった.