心として同心円状になり、南北方向に緩やかに広がっていくが地点に よるエネルギー消費量の差は非常に大きく各停留所の間にエネルギー 消費量の境界線が生じた。隣同士の地点でも停留所までの徒歩の方向 が異なると、エネルギー消費量が激変する。このことより、移動時間 を考慮すると停留所の選択がエネルギー消費量に大きく影響を及ぼす と考えられる。
5. 適用結果および考察
以上の移動時間および移動によるエネルギー消費量の結果により、
歩行者から見た都市内移動のアクセシビリティについて全体的に検討 を行う。
5.1 移動距離の変化による各公共交通機関の優劣
移動時間とエネルギー消費量から見た、移動距離の変化による各公 共交通機関の優劣を図 2.9 に示す。図 2.9 は後述の図 3.3 の左側の抵 抗係数のグラフとは異なり、移動に係るエネルギー消費量および移動
非高齢者(15 - 29 歳) 高齢者(70 歳以上)
平均値最大値
60 45 30 15 0 40 80 120
1200 4800 9600 13200
移動時間(分)
エネルギー消費量 (Kcal)
移動距離(m)
SUB BRT
BUS
60 45 30 15 0 40 80 120
1200 4800 9600 13200
移動時間(分)
エネルギー消費量 (Kcal)
移動距離(m)
60 45 30 15 0 40 80 120
1200 4800 9600 13200
移動時間(分)
エネルギー消費量 (Kcal)
移動距離(m)
60 45 30 15 0 40 80 120
1200 4800 9600 13200
移動時間(分)
移動時間の逆転
移動距離(m)
エネルーギ消費量の逆転
エネルーギ消費量の逆転 エネルーギ消費量の逆転
移動時間の逆転
移動時間の逆転
移動時間の逆転 エネルーギ消費量の逆転
エネルギー消費量 (Kcal)
図 2.9 移動距離による各公共交通機関のメリット
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第 2 章 公共交通機関を考慮した都市内アクセシビリティの定量的評価手法の定式化
時間の総量を示すため、グラフの左端すなわち移動距離が 0 の場合に は、エネルギー消費量、移動時間は 0 となる。移動距離 1200m の地点 からは、完全に交通機関利用になるので、この地点を境に各交通機関 の移動時間、エネルギー消費量の増加率すなわちグラフの傾きが小さ くなる。この結果より、バスは、短距離では徒歩時間が短いため移動 時間とエネルギー消費量は他の交通機関より有利であるが、移動距離 が長いほど不利になる。これに対して地下鉄は、速達性に優れるため 移動時間は有利であるが、駅間隔が長いことにより体力的負担が高い ことも分かる。一方、BRT 利用の場合には、移動時間は地下鉄とほぼ 同様であり、エネルギー消費量の優位性も他の交通機関より非常に高 いことが見てとれる。
また、各交通機関の優劣が逆転する移動距離(図 2.9 の○印)につ いては、エネルギー消費量より移動時間の方が逆転の起こる移動距離 が小さいことが分かる。年齢別の結果によると、高齢者の方が、非高 齢者よりエネルギー消費量の逆転距離が小さいことが分かる。しかし、
移動時間については、逆に非高齢者の逆転距離が小さいことが分かる。
この理由は、徒歩距離と交通機関利用時間の影響は非高齢者より高齢
移動範囲 1200m 移動範囲 4800m 移動範囲 9600m
高齢者(70歳
〜
)非高齢者(15〜
29歳)非高齢者 高齢者
BUS BRT SUB BUS BRT SUB BUS BRT SUB
39% 29% 16%
41% 28% 15%
- 34% 66%
40% 60%
18% 82%
- 28% 72%
直接に目的地 まで徒歩 16%
-直接に目的地 まで徒歩 16%
図 2.10 移動時間による公共交通機関の選択率
第 2 章 公共交通機関を考慮した都市内アクセシビリティの定量的評価手法の定式化
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移動範囲 1200m 移動範囲 4800m 移動範囲 9600m
高齢者(70歳
〜
)非高齢者(15〜
29歳)非高齢者 高齢者
BUS BRT SUB BUS BRT SUB BUS BRT SUB
43% 28% 13%
42% 28% 14%
35% 31% 34%
30% 32% 38%
18% 38% 44%
- 40% 60%
直接に目的地 まで徒歩 16%直接に目的地 まで徒歩 16%
図 2.11 エネルギー消費量による公共交通機関の選択率 者の方が大きいためであると考えられる。このことから、公共交通機
関導入時には、地域の人口構成が重要な判断基準になると考えられる。
5.2 移動距離による公共交通機関の利用選択
人間の日常生活中は、通勤、通学、買い物などの活動目的により移 動距離が異なる。その時に、どの移動距離にどの交通機関を利用する とアクセシビリティが最も高くなるという判断は、自動車がない社会 においては非常に重要性が高いと考えられる。各移動距離に対して、
移動時間およびエネルギー消費量から見た都市内アクセシビリティに よる公共交通機関利用の選択率を図 2.10,2.11 に示す。これらの結果 から、移動距離により公共交通機関の利用選択が代替することが分か る。
移動時間を優先する場合、1200m の短距離移動を行う時に、39% の 地点からはバスを利用するのが最も早い移動手段となる。特に、徒 歩が遅れる高齢者にとっても多くの地点から (41%) は BRT と地下鉄よ りバスの方が早いことが分かる。一方、地下鉄利用の場合は、選択率 16% で、駅周辺の地点からは地下鉄を利用すると最も早く到着できる。
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第 2 章 公共交通機関を考慮した都市内アクセシビリティの定量的評価手法の定式化
しかし、4800m ~ 9600m の長距離移動になると、BRT と地下鉄利用の 方が早いことより、全ての地点においてバス利用を選択しない。また、
BRT 利用は、非高齢者より高齢者の選択率の方が高いが地下鉄利用の 場合は、この選択率が相対的に逆転する。
一方、エネルギー消費量を優先する場合、長距離移動する時も、バ スを利用した方が身体的負担が少ない地点が多くある。短距離移動時 のバスの選択率は地下鉄の 3 倍以上の結果となる。しかし、移動距離 が 9600m の時に、バス利用すると乗車時間が長くなるため、高齢者に とっては BRT と地下鉄利用の方が全体的に身体が楽になることが分か る。特に、BRT 利用は、どんな移動距離においても、多くの地点で高 齢者が選択する。全体を見ると、3 種類の交通機関の中に、BRT は最 も移動時間とエネルギー消費量のバランスが確保でき、今後の高齢化 社会において期待できる公共交通機関と見られる。
6 本章の結論
本章では、公共交通機関整備による住環境の生活の利便性向上を評 価するために、都市内移動をモデル化することにより、都市内アクセ シビリティを定量的に評価する手法を定式化した。これにより、歩行 者の視点に立った「利便性が高い公共交通機関」を導入するための都 市内アクセシビリティに関して評価指標を得ることができた。仮想都 市における解析結果より、明らかになった知見を以下に述べる。
(1) 移動距離が公共交通機関の優劣に大きな影響を及ぼす。公共交通 機関の優劣が移動距離により相対的に逆転する。
(2)地方都市での都市内の移動時間、特に徒歩時間には、駅間距離が 大きな影響を及ぼすことがある。この影響が年齢階級ごとに、徒歩速 度と人間のエネルギー代謝率、基礎代謝率により異なる。
(3)高齢化が進む地方都市での都市内の移動時間短縮には、各交通機 関の速達性や駅密度を増加させるよりも、各地点から駅までの移動時 間を短縮した方が効果が大きいことが示唆された。
近年、日本のみならず東アジア諸国では、高齢化問題が顕在化して きており、都市構造の転換が必要になってくると考えられる。日常生 活の移動時間が短いことが必要不可欠であるが、交通弱者が増加して おり、新たな社会に適合した交通機関の選択も非常に重要な問題であ る。以上の分析結果より、地下鉄は、速達性に優れることで大きな移 動時間短縮効果が生まれるが、駅から離れる領域に暮らす住民にとっ て徒歩時間が延び、それによって移動に伴う社会的負担が高齢化によ って大幅に増加することが考えられる。一方、既往のバスより性能や 運行方針が改善される BRT は、都市内の日常生活に伴う移動に対して
第 2 章 公共交通機関を考慮した都市内アクセシビリティの定量的評価手法の定式化