はじめに 1. 本章の目的
2. 都市内における徒歩抵抗
3. 宇都宮駅周辺のアクセシビリティの定量的評価 4. 多摩市のアクセシビリティの定量的評価 5. 本章の結論
第 3 章 対象地域の都市内アクセシビリティの定量的評価
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はじめに本章では、前章で定式化した評価手法を用いて、宇都宮駅周辺およ び多摩市地域を対象とし、建物点から各交通機関利用時に目的地別の 移動コスト推定方法の検討を行う。この手法により、本分析の評価指 標として、移動距離、公共交通機関の特性、年齢、徒歩抵抗が都市内 移動の利便性に及ほす影響を定式化し、歩行者から見た都市内アクセ シビリティを定量的に評価する。本章は以下のように構成される。
第一に、本章の目的を述べる。
第二に、歩行する際、経路上に生じる体力的・精神的な抵抗を検討 する。また、距離抵抗および傾斜抵抗による身体負荷の定式化手法を 述べる。
第三に、宇都宮駅周辺を対象として、徒歩の距離抵抗を考慮した公 共交通機関利用時の移動コストを定量化し、都市内アクセシビリティ を評価する。
第四に、多摩市地域を対象として、徒歩の距離抵抗および傾斜抵抗 を考慮した公共交通機関利用時の移動コストを定量化することによ り、都市内アクセシビリティを評価する。また、評価結果を用いて、
都市内移動における各条件の影響を検討する。
最後に第五として、本章の結論を述べる。
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第 3 章 対象地域の都市内アクセシビリティの定量的評価
1. 本章の目的
第 2 章においては、都市内アクセシビリティの観点から見た移動距 離による各公共交通機関の特性の定量化を行った。その結果から、公 共交通機関利用時の徒歩時間が都市内アクセシビリティに大きな影響 を及ぼすことが分かった。特に超高齢社会となった日本において、居 住者および利用者の年齢ごとの身体能力の状態に応じた利用可能距離 を設定し、公共交通を計画することは、移動的利便性の高い都市環境 を実現する上で重要である。しかし、実際の都市空間では徒歩による 身体的負担が水平移動距離のみに支配されるのではない。徒歩経路上 には、水平移動に伴う抵抗に加えて、階段や坂道などの様々な上下移 動に伴う抵抗も発生する。また、各移動抵抗の程度により、精神的お よび体力的な負担の割合が変化することも考えられる。さらに、移動 抵抗が歩行者に与える影響について、実際のデータに基づく検証が行 われていないという課題が残った。
そこで本章では、徒歩移動における距離および傾斜の抵抗に着目し、
都市内移動に与える影響を検討する。この徒歩移動における抵抗を勘 案して公共交通機関利用時の移動負担を定量化することより、都市内 アクセシビリティを評価する手法を開発し、実際の地方都市に適用し て検証する。また、都市内への公共交通機関の導入がもたらす建築・
都市空間におけるアクセシビリティ改善効果を比較し、適切な公共交 通機関の選出と都市内アクセシビリティの変化の特徴について分析、
考察を行う。さらに、目的地の位置により都市内移動における歩行者 のアクセシビリティが変化することから、都市計画において、公共施 設を設置する時に、地域居住者から最もアクセシビリティが高い場所 の抽出手法を検討する。
2. 都市内における徒歩抵抗
歩行する際、経路上に体力的・精神的な様々な抵抗が生じる。本節 では、徒歩移動の距離と経路上の傾斜に着目し、それぞれの抵抗を定 義するとともに定量化手法を述べる。
2.1 用語の定義
本章の分析に用いる歩行する際の各抵抗の詳細な定義を以下にまと める。
(a) 徒歩抵抗:都市内の歩行に直接影響を与える気候の影響、地形、
移動距離などの客観的抵抗および精神的な抵抗、すなわち、疲労感な どの主観的抵抗を総じたもの。本章では以下に示す距離抵抗および傾 斜抵抗のみに着目する。
(a-1) 距離抵抗:徒歩抵抗のうち、移動距離により身体に生じる体力
第 3 章 対象地域の都市内アクセシビリティの定量的評価