第 5 章 入力同定における系統誤差
5.3 FRF のばらつき
本節では,ロードセル,加速度計を付け直して繰り返し FRF 計測を行う実験の詳細 と,FRFに生じるばらつきを算出した結果について述べる.
5.3.1 FRF計測詳細
本項では FRF計測手順の詳細について述べる.本項では逆行列法について検討するた め,計測する FRF はアクセレランスである.FRF 計測は 6 回行う.その手順を図 5.1 に示す.始めに1回のFRF計測手順について述べる.1回のFRF計測では始めに加振 点1を加振し,加振点1と各応答計測点間のFRF(アクセレランス)を得る.その後加 振点2~4について同様に加振し,各加振点と各応答計測点間のFRF行列を得る.以上 の手順を6回繰り返し,それらをFRF計測1~FRF計測6と呼ぶ.FRF計測1と2の間,
2と3の間にはセンサーを一度取り外し,再度取り付ける作業を行う.FRF計測4から 6まではセンサーの付け直しを行わず,同じ状態で計測を行う.
FRF計測kで得た点i入力,点j応答のFRFをhji(k),FRF行列をH(k)と表記する.ま
た,FRF計測間にセンサー付け直しを行っているH(1)~H(3)を「グループA」,センサー 付け直しを行っていないH(4)~H(6)を「グループB」と呼ぶ.
次に,センサーの付け直しについて述べる.ロードセルはフレームにネジで固定され,
加速度計はEVA系接着剤(通称,ホットメルト)を用いて取り付けられている.ロードセ ルの付け直しでは,フレームへの固定に用いているネジを緩め,再度締める作業を行う.
加速度計の付け直しは,フレームから取り外し加速度計に付着している接着剤を除去し,
再度塗布して計測点に貼り付ける.計測点には印を付け,加速度計が再度同じ位置に設 置されるようにする.
第5章 入力同定における系統誤差
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図5.1 FRF計測手順
5.3.2 FRFのばらつき評価方法
グループAのFRF(H(1)~H(3)),およびグループBのFRF(H(4)~H(6))のそれぞれの ばらつきを,分散により評価する.
加振点i,応答点jのFRF(hji)の分散は周波数ごとに次式で求める.
N
k
ji k
ji ji
h h h
N
2 2
, 1
1
(5.1)
hji(k)はFRF計測kで得た加振点i,応答点jのFRF(アクセレランス[m/Ns2]), はhji(k)
のk=1~Nの平均値,Nは分散を求める標本数(ここではN=3)を示す.
5.3.3 実験結果
以下に示すグラフは加振器の作動範囲である25[Hz]以上の周波数について示す.
(a)点i入力・点j応答のFRFのばらつき
図5.2に,グループAの入力f2,応答 y2のFRFであるh22(1)~h22(3)のボード線図を示 す.次に,図5.2で示した3つのFRFの分散を,式(5.1)を用いて求めた結果を図5.3 に示す.図5.2でFRFの振幅がピークを示す共振点と,図5.3で分散が大きくなる点が 一致していることが分かり,FRF 計測時の共振周波数で FRF のばらつきが大きくなる ことが明らかになった.
FRF measurement 1
FRF measurement 2
FRF measurement 3
FRF measurement 4
FRF measurement 5
FRF measurement 6
Reset
Load cells and Accelerometers Group A
Group B
hji
第5章 入力同定における系統誤差
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(b)グループAとグループBのばらつき比較
入力同定に用いるFRF行列に含まれる点i入力・点j応答のFRFの分散をそれぞれ式
(5.1)で算出し,その平均値を用いてグループAとグループBのばらつきを比較する.
ここでは応答点6 点(点1~5,10)を用いて4 点の加振力を同定するときを考える.
そのときに使用するFRF(全24個)の分散の平均値を求め,グループAとBを比較す る.算出結果を図5.4に示す.グループBの分散は計測時の偶然誤差によるばらつきを 示し,グループ A の分散は偶然誤差に加えセンサー取り付け状態に起因する系統誤差 によるばらつきを示している.図5.4より,グループBと比べてグループAの分散が大 きいことが分かる.図5.2においてFRFの振幅がピークを示している共振点付近で,グ ルーブ A のみ分散がピーク状に増加していることが確認できる.以上より,センサー 取り付け状態による系統誤差によりばらつきは大きくなり,特に共振点付近で系統誤差 の影響が大きいことが示された.
50 100 150 200 250 300 350 400
-180 180 -90 90 0
P ha se [de g]
50 100 150 200 250 300 350 400
10
-410
-210
010
2Frequency[Hz]
G a in[ m /N s
2]
frf1 frf2 frf3
図5.2 アクセレランスのボード線図 (h22:入力 f2,,応答y2,グループA) h22(1)
h22(2)
h22(3)
第5章 入力同定における系統誤差
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50 100 150 200 250 300 350 400
10
-1010
-510
010
5Frequency[Hz]
V a ri a nc e [( m /N s
2)
2]
図5.3 アクセレランスの分散(F,12,グループA)
50 100 150 200 250 300 350 400
10
-1010
-510
010
5Frequency[Hz]
V a ri a nc e [( m /N s
2)
2]
Group A Group B
図5.4 アクセレランスの分散(24個の平均,グループAとBの比較)
第5章 入力同定における系統誤差
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