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第3−2表 矢野遺跡出土緑色凝灰岩玉類関係遺物の産地分析結果

ドキュメント内 <88E290D55F3495AA8DFB2E696E6464> (ページ 102-105)

第 11 節 島根県出雲市矢野遺跡出土試料の 14 C 年代測定

小林謙一・坂本稔・宮田佳樹 (国立歴史民俗博物館年代測定研究グループ)

 島根県出雲市矢野遺跡土器付着物及び炭化材の

14

C 年代測定を試みた。試料は,出雲市埋蔵文化財 整理事務所において,小林が,土器 18 個体 (2005 年度9個体,2007 年度9個体) ,炭化材4点 (2005 年 度2点,2007 年度2点) から採取した。前処理した結果,特に土器付着物の多くは,土壌等不純物の 混入が多く,炭素量が十分ではないと判断され,結果的に土器付着物 2 点,炭化材3点について結果 を得ることができた。

 測定できた試料については,一覧を第1表に付す。

1.炭化物の処理

 試料については,補注に示す手順で試料処理を行った。 (1) 前処理の作業は,国立歴史民俗博物 館の年代測定資料実験室において新免歳靖, (2) 燃焼と (3) グラファイト化の作業は,炭化材につ いては (株) パレオ・ラボ社に委託し,土器付着物 SMIZ − 9 の (2) は宮田佳樹が行い, (3) はベー タアナリィテック社に委託した。SMIZ25 および C7・C8 は前処理から (株) パレオ・ラボ社に委託 した。なお,SMIZ − 9 は,炭素量が少なく,保留分を用いて前処理し直したので,SMIZ − 9 − (re)

とした。

2.測定結果と暦年較正

 AMS による

14

C 測定は,土器付着物 SMIZ − 9 − (re) は,燃焼の結果,二酸化炭素相当量で1mg より少ない量であったため,地球科学研究所を通してベータアナリティック社 (機関番号 Beta) へ委 託した。土器付着物 SMIZ − 25・炭化材 SMIZ − C5・C7・C8 については, (株) パレオ・ラボ社 (機 関番号 PLD) へ委託した。測定結果については,補注2に示す方法で,補正し,較正年代を計算した。

なお,パレオラボ社に委託した分については,AMS によるδ

13

C 値を測定しているが,これは同位 体分別効果補正のための測定であり,試料自体のδ

13

C 値を正しく反映しているとは言い切れないの で,参考値として()で表記する。

3.測定結果について

 δ

13

C 値についてみると,土器付着物である SMIZ − 9 は− 25.3‰と,通常の陸生の C3 植物の値 であり,年代測定用試料として適当であるといえる。AMS 測定値であるが,参考までに SMIZ − 25 についても− 24.9‰でほぼ同様の値である。

 暦年較正年代についてみていくと,土器付着物である SMIZ − 9 − (re) は,較正年代で紀元前

820 − 545 年に含まれる可能性が 95.4% である。ほぼ同時期と考えられる完形の甕の内面下部の焦げ

つきの炭化物である SMIZ − 25 は紀元前 730 − 400 年に含まれる可能性が 95.4% で,その中では紀

元前 545 − 400 年に含まれる可能性が高い。この紀元前 800 − 400 年の年代は,大気中の炭素濃度の

変動が大きく,いわゆる「2400 年問題」に含まれるため,これらだけから細かく年代を絞ることは できない。SMIZ − C7 は紀元前 520 − 395 年に含まれる可能性が 94.7% である。SMIZ − C8 は紀元 前 765 − 415 年に含まれる可能性が 95.4% で,その中では紀元前 675 − 495 年に含まれる可能性が高い。

 大まかにいえば,筆者らのこれまでの測定 (今村ほか 2004) からみると,弥生前期の時期ととらえ られる。

 この分析は,平成 17 〜 19 年度科学研究費補助金 (学術創成研究) 「弥生農耕の起源と東アジア炭素 年代測定による高精度編年体系の構築―」 (研究代表 西本豊弘) の成果を用いている。

 本稿を草するにあたり,暦年校正については今村峯雄,前処理には新免歳靖の各氏のご教示を得た。

感謝します (文責小林謙一) 。 補注

(1) 前処理:酸・アルカリ・酸による化学洗浄 (AAA 処理) 。

 AAA 処理に先立ち,土器付着物については,アセトンに浸け振盪し,油分など汚染の可能性のある不純物を 溶解させ除去した (2回) 。AAA 処理として,80℃,各 1 時間で,希塩酸溶液 (1N − HCl) で岩石などに含まれ る炭酸カルシウム等を除去 (2回) し,さらにアルカリ溶液 (NaOH,1回目 0.01N,3回目以降 0.1N) でフミン酸等 を除去した。アルカリ溶液による処理は,5回行い,ほとんど着色がなくなったことを確認した。さらに酸処理

(1N − HCl 12 時間) を行いアルカリ分を除いた後,純水により洗浄した (4回) 。

 炭化材の AAA 処理については,自動処理装置 (Sakamoto et al. 2002) を用いた。80℃,各1時間で,希塩酸溶 液 (1N − HCl) で岩石などに含まれる炭酸カルシウム等を除去 (2回) し,さらにアルカリ溶液 (1N − NaOH) で フミン酸等を除去する工程を5回,さらに酸処理 (1N − HCl 240 分以上) 2回を行い中和後,純水を使って洗浄 した (5回)

 試料は,AAA 処理を行った量 (処理量) ,処理後回収した量 (回収量) ,二酸化炭素を得るために燃焼した量 (燃 焼量) ,精製して得られた二酸化炭素の量に相当する炭素量 (ガス) (mg) ,処理量に対する回収量の比を回収 / 処理,

燃焼量に対する炭素相当量を炭素含有率 (%) として,第2表に記す。今回測定できた試料は,SMIZ − C8 を除 き,炭素含有率が 40 〜 50% と高い炭素含有率であり,良好な年代測定用試料ということができる。SMIZ − C8 はやや劣化し土壌を含んでいた可能性があり炭素含有率は低いが,回収された炭素は炭化材に由来するものと考 えられ,測定対象として問題ないと考えられる。

(2) 二酸化炭素化と精製:酸化銅により試料を燃焼 (二酸化炭素化) ,真空ラインを用いて不純物を除去。

 AAA 処理の済んだ乾燥試料を,500mg の酸化銅とともに石英ガラス管に投じ,真空に引いてガスバーナーで 封じ切った。このガラス管を電気炉で 850℃で3時間加熱して試料を完全に燃焼させた。得られた二酸化炭素に は水などの不純物が混在しているので,ガラス製真空ラインを用いてこれを分離・精製した。

(3) グラファイト化:鉄触媒のもとで水素還元し,二酸化炭素をグラファイト炭素に転換。アルミ製カソード に充填。

 1.5mg の炭素量を目標に二酸化炭素を分取し,水素ガスとともに石英ガラス管に封じた。これを電気炉でおよ

そ 600℃で 12 時間加熱してグラファイトを得た。ガラス管にはあらかじめ触媒となる鉄粉が投じてあり,グラファ

イトはこの鉄粉の周囲に析出する。グラファイトは鉄粉とよく混合した後,穴径1mm のアルミニウム製カソー

ドに 600N の圧力で充填した。

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