(J-STOP)
一般演題 2 禁煙治療
沖永良部島における禁煙治療 伊 藤 恒
【目 的】 沖永良部島は 奄美群島南西部に位置する離島である.私たちは 2019 年 2 月に沖永良部徳洲会 病院に禁煙外来を開設して禁煙補助治療を行った.外来の開設から 1 年間の 12 週治療成績を検討した.
【方 法】 2019 年 2 月から 2020 年 1 月までに初回の禁煙補助治療を開始した 38 例を対象とした.全例がバ レニクリンによる治療を選択し,12 週後の禁煙達成の有無により,禁煙成功群と禁煙失敗群に分けて両 群の差異を検討した.
【結 果】 12 週禁煙成功率は 60.5% だった.失敗の理由は喫煙継続または再喫煙が 8 例 (53.3%),不来院が 7 例 (46.7%) で,Visit 3 での失敗が 8 例 (53.3%),Visit 2 での失敗が 6 例 (40.0%) だった.両群間において,年齢・
性別・Tobacco Dependence Screener (TDS)・Brinkman 指数 (BI)・呼気中 CO 濃度・加濃式社会的ニコ チン依存度調査票 (KTSND)・併存疾患の有無・有害事象の有無について有意な差異は認められなかった.
併存疾患は高血圧が多く (11 例,28.9%),禁煙失敗群でのみ,精神疾患 ( 統合失調症: 3 例, 12.0%) が認め られた.有害事象として,嘔気が最も多く認められたが (10 例,26.3%),全例がバレニクリンの減量のみ で治療を継続した.
【考 察】 Visit 1 及び Visit 2 における禁煙の意識づけと再診勧奨を強化することが 12 週治療成績の改善に つながる可能性がある.禁煙失敗群にのみ精神疾患の併存が認められたが,精神疾患の併存が 12 週治療 成績に及ぼす影響については結論が得られておらず,引き続いての検討が必要である.
湘南藤沢徳洲会病院 神経内科
江面 清美 ²、川南 鶴代 ³、奥間 五月 ²
² 沖永良部徳洲会病院看護部、³ 沖永良部徳洲会病院健康管理室
O2-04
禁煙による早期治療効果の指標としての血管内皮機能検査の有用性 荒 牧 昌 信
【目的】喫煙による体調不良がない患者にとっては、禁煙による早期の効果を感じにくく、禁煙継続を妨 げる要因となっている。禁煙による早期治療効果の指標としては呼気一酸化炭素濃度検査があり、呼気一 酸化炭素濃度の数値が改善することを示すことで、患者の禁煙治療に対するモチベーション向上に寄与し ている。禁煙治療により、血管内皮機能(Flow Mediated Dilation, FMD)が改善することを示す研究は 多くでているが、禁煙の早期治療効果として FMD が改善することを示した報告はない。今回我々は、禁 煙治療開始後 7 日目の患者に FMD を実施し、禁煙による早期治療効果として FMD が改善するか検討し たので報告する。
【方法】禁煙外来を受診し、バレニクリンにて治療可能と判断された 16 名に対して、禁煙開始前と禁煙開 始 1 週間後に呼気一酸化炭素検査と FMD 検査を行った。禁煙は、バレニクリン 0.5mg/ 日を 3 日間、0.5mg
× 2/ 日を 4 日間内服後から開始とし、バレニクリン 1mg × 2/ 日を 7 日間内服後に FMD 検査を行った。
【 結 果 】禁 煙 開 始 前 と 禁 煙 開 始 後 7 日 後 で、 呼 気 一 酸 化 炭 素 濃 度 は ( 17.4±̲2.3ppm, 3.6±̲0.9ppm p
̲<0.001) と有意に低下し、FMD は (4.7±̲1.8%, 5.9±̲2.2% p̲<) と有意に増加した。
【結論】禁煙 7 日で血管内皮機能の改善が認められた。禁煙による早期効果の判定と患者のモチベーショ ン向上の手段として、呼気中一酸化炭素濃度測定だけでなく血管内皮機能検査 (FMD) が有用であると考 えられた。
あらまき内科クリニック
一般演題 2 禁煙治療
バレニクリンを用いた禁煙治療が血中の酸化 High Density Lipoprotein 濃度に及ぼす効果
梅 田 啓
【目的】バレニクリンを用いた禁煙治療により , 動脈硬化を促進すると考えられている酸化した High density lipoprotein (HDL) の血中濃度にいかなる影響があるかを明らかにすることを目的とした .
【方法】国際医療福祉大学塩谷病院禁煙外来を受診した成人を対象とし , バレニクリンによる治療開始前 と開始後 3 ヶ月で血清中の酸化 HDL 濃度を ELISA で測定し HDL コレステロール (HDLC) 濃度と比較した .
【結果】63 例(男性 50, 女性 13) が禁煙治療後採血まで行った . 禁煙失敗例はスタディーから脱落する傾 向があった . 血中の酸化 HDL 濃度は禁煙前後で有意差がないものの減少傾向であった (142.1 ± 56.1 vs.
135.6 ± 44.9 ng/ml, P=0.38). Log( 酸化 HDL) にも禁煙前後で有意差が認めれなかった (2.13 ± 0.15 vs. 2.11
± 0.15, P=0.43). 血中の HDLC 濃度は有意に増加し (53.7 ± 15.1 vs. 56.3 ± 14.9 mg/dl, P=0.031), Log( 酸化 HDL)/HDLC は有意に減少した (0.0421 ± 0.0104 vs. 0.0396 ± 0.0094, P=0.0059).
【考察および結論】バレニクリンを用いた禁煙治療により血中の酸化 HDL 濃度は統計学的に不変であった が , 動脈硬化が改善される(あるいは動脈硬化が予防される)方向性が認められた .
国際医療福祉大学 医学部 総合診療医学、国際医療福祉大学 塩谷病院 呼吸器内科、
国際医療福祉大学 塩谷病院 内科
島田 尚登2,3、山根 建樹 ³、松田 謙1,3、北 嘉昭1,3、大平 善之1,3、 持田 淳美 ⁴、宮川 和也 ⁴、武田 弘志 ⁴、加藤 徹 ⁵、岡田 泰昌 ⁶、小谷 和彦 ⁷
¹ 国際医療福祉大学 医学部 総合診療医学、² 国際医療福祉大学 塩谷病院 呼吸器内科、³ 国際医療福祉大学 塩谷病院 内科、⁴ 国際医療福祉大学 薬学部、
⁵ 独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター 内科、
⁶ 独立行政法人 国立病院機構 村山医療センター 内科、⁷ 自治医科大学 医学部 地域医療学
O2-06
禁煙治療中の栄養指導実施報告 福 島 亜弥子
【目的】禁煙後の体重増加は既知であり禁煙を優先するものとされてきたが、禁煙達成意欲を妨げる心理 的要因のひとつとされている。そこで、禁煙治療利用者の体重増加に影響する生活習慣を明らかにし、管 理栄養士が禁煙治療中に介入した取り組みを報告する。
【方法】対象は 2020 年 1 月以降に当センターで禁煙治療開始後、離脱症状が落ち着くとされる 4 週以上を 経過し、禁煙治療中に喫煙行動がみられていない 21 名。栄養指導を希望した者(以下 A 群)9 名、希望 しなかった者(以下 B 群)12 名の禁煙治療前直近の特定健康診査時の問診、運動・飲酒・間食・野菜毎 食摂取(回答「あり」「なし」)にて比較を行った。A 群には禁煙治療 3 回目または 4 回目に食事内容の 聞き取りと厚生労働省の禁煙支援マニュアルに基づいた栄養指導を行い、次の受診時の BMI と比較した。
問診比較はカイ 2 乗検定(飲酒は Mantel-Haenszel( 性調整 ))、BMI 比較は対応のある t 検定、t 検定を用 いて解析を行った。
【結果】A 群 9 名(男:女= 5 名 (54.8 ± 10.3 歳 ):4 名 (58 ± 2.94 歳 ))、B 群 12 名(男:女= 8 名 (51.5
± 16.16 歳 ):4 名 (57 ± 11.94 歳 ))。運動あり、野菜毎食摂取ありは B 群が A 群より有意に多かった(p
= 0.012、p = 0.004)。しかし、飲酒ありは B 群が A 群より有意に多かった(p=0.04)。間食習慣には有意 差がみられなかった。禁煙治療開始時の BMI は A 群 24.5 ± 2.13、B 群 24.4 ± 3.9 と差はなく、両群の指 導前後の BMI に有意差はみられなかった。初回と終了時の体重差は、A 群で+ 2.3kg 〜− 3.5kg、B 群で
+ 2.9kg 〜− 1.6kg と、栄養指導の有無に関わらず個人差が大きかった。
【考察】禁煙が最優先の時期であっても栄養指導を希望した者は半数近くいた。指導を希望しなかった者 は禁煙開始前から運動や野菜摂取を心掛けているが飲酒習慣がある者が多く、禁煙に取り組む中でタバコ 以外の嗜好品の習慣には触れられたくない心理がはたらいているとも考えられる。栄養指導を希望した者 は、運動習慣や野菜摂取習慣などに課題を抱える者が多く、「とにかくお腹が空く」「いつでも食べていた い」など大幅な体重増加が危惧される発言も聞かれたが、指導を希望しなかった者と体重増減に差はみら れなかった。母数が少ないため断言はできないが、一定の指導効果があったと考えることもできる。今後 も、禁煙に取り組む者の心理に寄り添いながら、栄養指導により体重増加の抑制や健診結果の悪化予防に 貢献できたらと考える。
聖隷福祉事業団 保健事業部 聖隷健康診断センター
平良まさみ ²、飯尾 素代 ¹、大沼 朱美 ³、新村由美子 ¹、中西 湖雪 ²、武藤 繁貴 ¹
¹ 聖隷福祉事業団 保健事業部 聖隷健康診断センター、
² 聖隷福祉事業団 事業管理部 保健看護管理室、
³ 聖隷福祉事業団 保健事業部 聖隷健康サポートセンター
一般演題 2 禁煙治療
オンライン禁煙治療の経験と有効性について 土 井 たかし
勤労者の禁煙治療において、5 回の通院を完遂することは 1 つの課題といって良い。そして全面施行さ れた健康増進法により喫煙できる環境が減らされていることや、2020 年 10 月の値上げを機に禁煙を考慮 する人が増えており、保険事業を行う「保険者」にとっては、喫煙関連疾患による保険給付を行うよりも、
被保険者が禁煙治療を受け、癌、脳・心血管疾患などを予防することは、保険者・被保険者双方にとって 利があると考え、禁煙治療に取り組んでいる所がある。被保険者である勤労者にとって、通院を継続する ことには種々の課題があるが、オンライン診療はそれらの課題を軽減する診療方法であり、禁煙外来にお いて、保険診療では 5 回診察のうち、2,3,4 回目に認められている。また、自費診療での禁煙外来では、
初回からオンライン診療ができる利点がある。今回、オンライン診療システム会社との契約の元、保険者 の依頼に基づき、オンラインでの自費禁煙治療を行う機会を得て、36 名の治療を行ってきた。オンライ ン診療、自由診療としての禁煙治療の課題や有効性について、考察を加えて、発表する。
どいクリニック