(J-STOP)
一般演題 3 喫煙防止・禁煙教育
赤間 由美 ²、森伴 祐子 ²、小林 淳子 ²
¹ 元 東北大学 保健管理センター、² 山形大学大学院医学系研究科看護学専攻
当院における禁煙外来治療と禁煙サポーターの成果 大 林 浩 幸
目的:当院では 2011 年開院時より禁煙外来治療を行い、2015 年から指導医と共に禁煙サポーター 2 名(内 1 名認定指導看護師)による指導体制を導入し、今回その成果を検討した。
方法:当院診療録等より、レロトスぺクティブに情報を抽出し、禁煙成功率や治療中断率等を検討した。
また、電話調査により治療終了 1 年後と 5 年後の禁煙継続率も確認した。
結果:2011 年から 2020 年 2 月現在まで 148 名を治療し、12 週間の治療終了時 61.5%が成功していた。
2011 年〜 2014 年の成功率 53.4%と体制導入 2015 年以降の 73.3%(p = 0.013)を比較すると有意に禁煙 成功率が高くなり(図 1:成功率の推移)、患者による治療中断率も各々 36.4%、6.7%(p < 0.001)と 有意に改善していた(図 2:自己中断率の推移)。今回の調査対象全体で 12 週の治療成功者 91 名の内、
51.6%が 1 年後に禁煙を継続した。2011 〜 2014 年の成功患者の内 44.7%が 5 年後にも禁煙を継続できて いた。
結論:2015 年以降に禁煙成功率が有意に高く、患者による治療の自己中断率が有意に減少した要因として、
医師と共に禁煙サポーターによる指導体制の充実化の成果があったと考える。また治療薬としてバレニク リン酒石酸塩錠の使用率増加も成功率に付与している可能性がある。
東濃中央クリニック 加藤 順子、工藤沙帆里
O3-04
タバコに対する意識調査 北 川 直 美
【はじめに】近年、健康を考慮し、紙タバコから新型タバコに移行する人が多いが、代替品として使用し ても有害である。今年は喫煙糖尿病患者の禁煙に対する思い、喫煙防止教育の必要性を聞きとり禁煙に取 り組みたいと考えている時期について調査をした。
【対象と方法】R2.6.1 〜 6.30 糖尿病外来に来院した糖尿病患者 925 名中、喫煙糖尿病患者 99 名のうち回答 を得られた 96 名に対し、喫煙防止教育の必要性を感じている人と、いない人で検討した。対象 96 名(男 性 69 名、女性 27 名)、平均年齢 54.0 ± 11.8 歳。
【結果】喫煙防止教育が必要と思う 54.1%、喫煙防止教育は 40.3%で未成年時が良いと答えた。喫煙防止 教育の時期はいつの時も有効と思われた。タバコの種類は紙たばこ 73.9%、電子タバコ 4.1%、加熱式タ バコ 13.5%、混合 8.3%。53.1%が禁煙希望。3 人が 禁煙して 6 か月以内と答えた。タバコは害だと 94.2%
が知っていた。楽にやめられる方法も、タバコの害についても説明できると半数以上が答えている。
【考察】若年で興味本位から喫煙する人が多く、幼年から継続的に禁煙教育が重要と考える。紙タバコと 加熱式タバコや電子タバコと混合で吸っている人もいる。電子タバコや加熱式タバコで禁煙したつもりに なっている人が 3 名いた。少しでもタバコの害から逃がれたいとの思いからと思われる。喫煙者の半数が 禁煙したいがきっかけが見つけられずにいる。新型タバコで禁煙したと誤解している患者には正しい知識 を与えることが重要である。自ら禁煙の大切さに気づいて 6 名禁煙開始した。喫煙防止教育の継続が禁煙 のきっかけになっていると思われる。世界中で禁煙が推奨されている中、喫煙者は肩身の狭い思いをして いると思われる。やめたくても、やめられないと言う心情を理解し、個々に寄り添い個別に粘り強く禁煙 指導していく必要がある。
【結語】当院の喫煙率は 10.3%と全国平均より低い。喫煙防止教育で正しい知識の習得により、禁煙の大 切さに気づくが、禁煙に踏み出せない人もいる。喫煙防止教育の時期はいつの時も有効と思われた。進化 していくタバコ情勢ではあるが、正しい知識を提供し繰り返し説明しながら、禁煙の大切さに気づき、行 動できるように援助が必要と考える。アンケート結果を参考に、一人でも多くの人が禁煙に踏み出せるよ う個別に方法を検討し、繰り返し説明することで、禁煙導入のきっかけに役立てたい。
内科 おひさまクリニック 冨山 月子
一般演題 3 喫煙防止・禁煙教育
芸術系大学における禁煙教育と受講学生から提案された禁煙促進のためのアイデア事例 北 徹 朗
先行研究では、芸術系大生の喫煙に対する態度の特徴として「ドラマや映画でみられる喫煙シーンを格 好良い」と感じやすく「喫煙に対して芸術的な要素を感じている」傾向が認められた。他方、商学部や経 済学部といった非芸術系学生においては、喫煙に格好良さや芸術性は感じず、パッケージデザインにも影 響を受け難い傾向が認められた(北ら、2019)。この比較調査により、芸術系学生においては喫煙を容認 しやすい傾向が強いことが示唆された。ところで、1930 年以降、大蔵省専売局(現 JT)の嘱託としてタ バコのパッケージ図案を任された杉浦非水は帝国美術学校(武蔵野美術大学と多摩美術大学の前身)図案 科長であった。また、著名な芸術家、音楽家、作家など、クリエイティブな仕事を残した 161 名を取りあげ、
どんな生活習慣だったかを紹介した『天才たちの日課』(メイソン・カリー、2014)によれば、多くにお いて日常生活に喫煙は欠かせないものだったことが記されている。歴史的に見ても、未来のクリエーター の喫煙の肯定と再生産を防止する意味でも、芸術系学生に対する禁煙教育はより一層手厚く行われるべき である。現在、武蔵野美術大学で開講される「日常生活と健康」(北担当)の講義で喫煙と健康に関する 内容を扱っているが、前述の調査結果の紹介と考察について解説した後、喫煙の害悪や喫煙環境について 解説し考えさせている。本報告では文字数の都合上受講学生から出された禁煙促進アイデア事例を 2 例の み示す。
例 1:パッケージだけに注目するのではなくタバコ自体を変えてはどうか。喫煙開始理由として「カッコ イイ」が多かったが、恐怖心を与えたり恥ずかしい言葉をタバコ自体に入れて、「タバコはカッコ悪い」「ダ サい」と思わせる。例えば、海外のスーパーではレジ袋削減のために袋に絵や文字を入れて「持ち歩くの が恥ずかしい」と思わせる取り組みがあったそうだ。その結果レジ袋を使う人が大幅に減ったらしい。(デ ザイン系・女子)
例 2:購入後にパッケージでその残酷さを伝えても意味がないと思う。購入前に喫煙者が恐れるようなポ スターなどを作り、購入前に一旦立ち止まって考えられるような仕組みはどうか。(デザイン系・女子)
参考文献:北徹朗、森正明(2019)学生の専攻や特徴に応じた健康教育カリキュラム開発が必要な一例―
芸術系大学と非芸術系大学の学生における喫煙意識の比較―、体育・スポーツ教育研究第 19 巻 武蔵野美術大学 身体運動文化
森 正明 ²
¹ 武蔵野美術大学 身体運動文化,² 中央大学 文学部
O3-06
急性冠症候群患者における急性期(早期)禁煙指導の効果 林 香 織
《目的・背景》当院ではこれまで急性冠症候群 (ACS) 患者に対して早期からの虚血性心疾患に関する教育・
指導は行われていたが、禁煙指導においては十分な介入が行われていなかった。緊急経皮的冠動脈形成術 (PCI) 後は多くの患者は症状が消失し危機的状況から脱却し心身が回復する過程の中で適切な状況把握が できるようになるため早期の禁煙指導が有効ではないかと考えたが、急性期 ( カテーテル室・集中治療室 ) からの禁煙指導の有効性を示すエビデンスはない。早期禁煙指導の効果について検証したのでここに報告 する。
《対象・方法》2018年5月〜2019年5月までに当院集中治療室に入院した ACS 喫煙患者を急性期 禁煙指導介入群【1】とし、入院直後〜3日目までに独自に製作した急性期用禁煙指導パンフレットを使 用し禁煙指導を実施。カテーテル室では治療直後に医師や看護師が積極的に禁煙の必要性を説明。退院後 初回再診時から1年後まで本人より禁煙状況の聞き取り調査を行った。コントロール群【2】として急性 期禁煙指導開始前の2016年4月〜2017年12月の同様の患者に対しても調査を行った。
《結果》【1】【2】各群とも、平均年齢(歳)【1】60.2【2】62.6、 ブリンクマン指数【1】950【2】
843、 男 : 女比【1】5.2: 1【2】6.1:1、 ACS 危険因子割合(%)高血圧【1】83【2】83 糖尿病【1】57【2】59 高脂血症【1】93【2】93、 統計的な有意差はなし。【1】急性期禁煙指導 介入群(2018年5月〜2019年10月)ACS 緊急入院数79名、その内喫煙者数30名、1年後 禁煙者数26名、禁煙率87%。【2】コントロール群(2016年4月〜2017年12月)ACS 緊急 入院数116名、その内喫煙者数41名、1年後禁煙者数15名、禁煙率37%。
《考察及び結語》コントロール群と比較して、急性期禁煙指導介入群での禁煙成功率は高値であり有意差 を認め急性期(早期)からの禁煙指導は有効と考えられる。危機的状況下にさらされることで生理的・心 理的・社会文化的・精神的要因が重なると考えられる急性期の段階で、予防的介入としての指導を行うこ とが禁煙率に寄与したと考える。
心臓血管センター 金沢循環器病院