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禁煙推進・喫煙対策

ドキュメント内 第14回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 83-88)

O1-01

がん化学療法を受けている患者の喫煙の実態と認識 黄 木 千 尋

【研究目的】日本人の 2 人に 1 人ががんに罹患するといわれている。喫煙は、がんに最も大きく寄与する 因子であり、がん患者のたばこ対策は大変重要であるが、がん患者の喫煙の実態や関連要因・社会的ニコ チン依存度に関する報告は少ないのが現状である。そこで本研究では、がん患者に対する効果的な禁煙指 導、喫煙防止対策を検討するために、外来化学療法を受けている患者の喫煙の実態と認識を明らかにする ことを目的とした。

【対象・方法】対象は A 病院において外来化学療法を行う患者のうち認知症や質問紙調査票への記入が困 難な患者を除外した 257 名。調査内容は、基本属性、対象者と家族の喫煙状況(「非喫煙」「過去喫煙」「現 在喫煙」とブリンクマン指数(一日喫煙本数×喫煙年数))、喫煙に対する認識(加濃式社会的ニコチン依 存度(KTSND)と加熱式タバコに対する認識)、禁煙理由である。山形大学医学部倫理審査委員会の承認

(2019-22)を得て行った。

【結果・考察】 分析対象は 257 名、有効回答率 100%であった。対象者の喫煙状況は、「非喫煙」106 名(41.2%)、

「過去喫煙」144 名(56.0%)、「現在喫煙」7 名(2.7%)であった。同居家族に喫煙者がいる割合は、「非 喫煙」19.8%、「過去喫煙」25.0%、「現在喫煙」57.1%であった。「現在喫煙」のブリンクマン指数は「過 去喫煙」よりも高く、喫煙による健康への影響を強く受けていることが推察された。KTSND 得点は、「非 喫煙」よりも「現在喫煙」「過去喫煙」が有意に高く、喫煙経験者は非喫煙経験者よりも社会的ニコチン 依存度が高く喫煙を容認していた。「加熱式タバコは禁煙の場で使用してもよいと思う」割合は「現在喫煙」

が「非喫煙」「過去喫煙」よりも有意に高い結果であった。また、「加熱式タバコを使う事は健康に対し害 が少ないと思う」「加熱式タバコを使うことは禁煙に役立つと思う」者がそれぞれ約 30%となり、加熱式 タバコに関する正しい知識の普及啓発の必要性が示唆された。以上のことから、外来化学療法を受けてい るがん患者について、現在喫煙している患者への禁煙支援は重要な課題であり、家族を含め、過去喫煙者・

非喫煙者に対しても喫煙による健康被害の知識の普及・啓発と継続した喫煙状況の把握に基づく禁煙支援 の必要性がある。

山形大学医学部附属病院 看護部

全国の動植物園、水族館、遊園地、スタジアムなど屋外施設の禁煙状況(第一報)

野 上 浩 志

【目的】改正健康増進法では「原則屋内禁煙」が義務づけられたが、屋外施設は、喫煙所について「施設 管理者は、受動喫煙を生じさせることがないよう配慮しなければならない。喫煙者は喫煙する際、受動喫 煙を生じさせることがないよう配慮しなければならない。」との配慮義務が規定された。この趣旨を踏ま えれば、子どもが主体の施設や多くの人が参集する施設では、受動喫煙の危害から守るために、また喫煙 者の禁煙を促がすためにも、かつ喫煙所の三密回避のために、屋外の園内・場内や入口に喫煙所を設けな いことが望まれる。このため、全国の動植物園、水族館、遊園地、スタジアムなど屋外施設の禁煙状況を 調査するとともに、禁煙でない施設については、全面禁煙化を要請してきている中間状況について報告す る。

【方法】1.2020 年 6 月以後、全国の動植物園、水族館、遊園地・テーマパーク、スタジアムについては全部を、

野球場、庭園、都市公園、神社・古寺、海水浴場はネットに掲載されている百選等を参考に、禁煙状況を ネットで調べた(不明の場合にはメールか電話で問合せ中)。2.これらを一覧表にまとめ、禁煙でない 施設については、メールで全面禁煙化を要請する。3.これらの調査状況は逐次 https://notobacco.jp/

pslaw/zookinen2020.htm に掲載し、改善の要請依頼を本会会員などに呼びかけた。

【結果】これらの第一次調査の禁煙状況の割合結果を以下に示す。動物園 30% 植物園 35% 水族館 50% 遊園地・テーマパーク 13% スタジアム 8% プロ球団の野球場 25% 庭園 26% 都市公園 10% 

神社・古寺 3.3% 海水浴場 18%。この調査に並行して禁煙化の要請を順次し、禁煙化に変更した施設に ついての第二次調査結果をまとめることとしている。

【考察】第一次調査の段階でも、子どもたちが主体の動植物園・水族館では、自主的な禁煙が 1/3 〜半分 は既にされていた。その他の施設は、遊園地をはじめ禁煙の施設はまだ少なかったが、自主的に、また法・

条例効果で増えてきているようで、今後禁煙化を促していきたい。子どもたちや非喫煙者の健康を受動喫 煙の危害から抜本的に守るためには、健康増進法や受動喫煙防止条例の改定・制定により、屋外施設を含 め公共の場の全面禁煙の徹底が望まれるので、その基礎資料としてこれらの調査を継続し、結果を公表し、

関係機関に提出したい。

関連の利益相反はない。

連絡先:[email protected]

子どもに無煙環境を推進協議会、日本禁煙学会 FCTC 監視委員会

O1-03

当院人間ドックにおける現喫煙者と現非喫煙者で有意差のある検査値の検討 知 花 和 行

はじめに これまでに現喫煙者と非喫煙者では白血球増多や脂質代謝異常に違いがあることが報告されて いる。また禁煙すると体重が増加することがありそれを理由に禁煙しない場合もある。一方では若年者で ダイエット目的に喫煙を開始する者もいる。当院人間ドック受診者において現喫煙者と現非喫煙者におい て血液検査値や体組成、さらに呼吸機能の指標にどのような差があるか検討した。

方法 2017,18 年に当院人間ドックを受診した症例で体組成を測定した男性 150 例を対象に現喫煙者と現 非喫煙者における血液検査値や体組成さらに呼吸機能の指標の検討を行った。女性は喫煙者が 3 例と少な かったため除外した。体組成は InBody720 を用いて測定した。統計は JMP ソフト version10 を使用し 2 群間の平均の差を t 検定で行い、p 値が 0.05 以下を有意とした。

結果 今回検討した集団は現喫煙者が 35 例、非喫煙者が 115 例であった。現喫煙者は有意に年齢が若かっ た(57.5  対 64.0)。身長、体重、BMI に有意差はなく、InBody720 で測定した骨格筋量や体脂肪量、体脂 肪率には有意差はなかった。しかし血液検査で現喫煙者は中性脂肪が有意に高く、逆に HDL-C が有意に 低値であった。LDL-C は現喫煙者で高い傾向があった。また、呼吸機能検査ではいずれも、現喫煙者群 と非喫煙者群で有意な差はなかったが、興味深いことに現喫煙者のみで好酸球数と %FEV1 が有意な負の 相関を示した。

考察 体組成がほぼ同じでも現喫煙者には脂質異常が認められた。また無症状であっても現喫煙者では有 意に好酸球数が高く、現喫煙者のみで呼吸機能低下と好酸球数が負の相関を示した。禁煙することは脂質 異常の改善や好酸球数の減少する可能性があり、血液検査の改善や呼吸機能の維持が期待できることが示 唆された。

獨協医科大学 呼吸器 ・ アレルギー内科

一般演題 1 禁煙推進・喫煙対策

知花 洋子 ²、渡邉 泰治 ¹、船越 友恵 ¹、渡辺 直美 ²、宮地 和人 ²、仁保 誠治 ¹

¹ 獨協医科大学 呼吸器 ・ アレルギー内科、² 獨協医科大学 健康管理科

「感染症と差別」と題する公民館主催研修会におけるコロナ時代の禁煙推進活動 細 川 洋 平

【はじめに】筆者が仲間と進めてきた近江八幡市での地域禁煙推進活動は第 13 回本学会学術総会で GRP 大賞優秀賞を受賞した。関係各位、会員諸氏に感謝したい。一方、2020 年 1 月中旬に国内で感染者が確 認されて以後、国内外で感染拡大する COVID-19 のために集合研修開催が困難となっていたが、8 月末、

地域コミュニティーセンター(以下、CC)人権研修会で「感染症と差別」と題して講演をする機会を得 て今までの地域禁煙推進活動と GRP 大賞優秀賞受賞を報告するとともに、電子タバコを含めた喫煙が重 症化因子の一つであることを呈示し、さらに「COVID-19 感染者に対する差別・中傷防止宣言」を提案し たところ採択されたのでその経緯を報告する。

【経緯】緊急事態宣言解除後に、CC から前述の講演依頼があったが、医学的情報提供に留めず、自身を含 めて身近な方の感染が明らかになった場合の在り方を地域の方々と一緒に考えることにし、回答者が自ら と向き合える事前住民アンケート実施を依頼した。講演会開催前週に私立高校寮、私立大学ラグビー部寮 でクラスターが発生し、差別的反応が看過しにくい状況となり、8 月 25 日に文部科学省大臣が緊急メッセー ジを発表したこともあり、地域での差別・中傷防止宣言を提案した。

【結果】3密防止等の感染対策を十分に行った研修会の参加者は 40 数名で、地元ケーブルテレビ取材があっ た。講演第一席では CC 長が事前アンケート結果集計を説明した。第二席では医師が COVID-19 感染症に ついての国立国際医療センターによる中間報告を活用し、重症化因子としての電子タバコを含めた喫煙と 禁煙の重要性を強調し、身近な喫煙者には禁煙外来受診を勧めるように参加者に依頼した。また国内で発 生した差別案件に言及しつつ、アンケート自由記載意見を活用し、COVID-19 への対処法を一緒に考えた。

「新型コロナ感染症になっても安心して暮らせる学区民宣言」は満場一致で採択への賛同を得られた。

【考察】事後アンケートでは、事前アンケートにより住民の現状や不安が講師に伝わり、それを受けて講 師が分りやすく説明したことで、感染対策、差別・中傷防止を自分たちのこととして捉えていることが明 らかになった。さらに、研修会終了後、防止宣言は当該地域自治会長会議で満場一致で採択され、CC の 枠を超えて市役所を巻き込みながら、住民の手により推敲が重ねられていた。今後、住みやすいまちづく りに繋がっていくことを期待している。

近江八幡市立総合医療センター

深尾 甚一郎 ²、今井 良治 ³

² 近江八幡市岡山学区まちづくり協議会、

³ 近江八幡市岡山学区人権尊重のまちづくり推進協議会

ドキュメント内 第14回日本禁煙学会学術総会抄録集PDF版 (ページ 83-88)