(J-STOP)
一般演題 5 受動喫煙
荒井 一徳2,3、中村 陽一 ¹
¹ 横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター、²NPO 法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所、
³ILCA (I love clean air) ブルーリボン運動推進協議会
PM2.5 の測定で郡山市内の受動喫煙を可視化する 木 島 夏津葉
【背景と目的】タバコの有害性が科学的に証明された現在、様々な生活空間において分煙や禁煙が広がり を見せている。受動喫煙を念頭に健康増進法も改正され、2019 年までに学校や病院などで敷地内禁煙が、
2020 年 4 月 1 日には飲食店や公共交通機関でも喫煙室内以外での喫煙が禁止されることになった。タバ コの不完全燃焼によって有機性微粒子が生成されるが、これには微小粒子状物質 PM2.5 が含まれており、
健康への影響として呼吸器系への刺激や発がんとの関連性も指摘されている。本研究では、郡山市内にあ る飲食店などの喫煙場所における PM2.5 濃度を測定し、数値化することによって、受動喫煙の見えない 実態を明らかにするとともに、分煙形式や喫煙者数等との関連についても考察を加えた。
【対象と方法】測定対象は公共交通機関ターミナル、喫茶店、飲食店、パチンコ店など、不特定多数が喫 煙者と場を共有する施設、延べ 89 箇所である。PM2.5 濃度測定にはポケット PM2.5 センサー(ヤグチ電 子工業)を用い、解析ソフトをインストールしたタブレットに接続して、測定間隔 1 秒で測定した。完全 禁煙箇所(n=20)、特に制限がない喫煙箇所(n=7)、屋内の喫煙所(n=28)、屋外の喫煙所(n=3)で評 価可能な測定値が得られた。屋内分煙では、分煙方法により禁煙席における PM2.5 濃度に差異があるか を比較した。
【結果と考察】屋内分煙では様々な対策を講じても、禁煙席の PM2.5 濃度は完全禁煙に比べて有意に高 かった(p<0.05)。また、設備の不完全な分煙化では完全な分煙化に比べ、さらに PM2.5 濃度が高かった
(p̲<0.01)。屋内喫煙所内で 80 分間連続して PM2.5 濃度を定点測定したところ、PM2.5 濃度と喫煙者数 の推移に有意な相関が認められた(r=0.81、p<0.01)。PM2.5 濃度の測定は受動喫煙を可視化し、その有 害性を明らかにすることで、健康被害の意識啓発、ひいては喫煙者の禁煙にも寄与するものと考えられる。
PM2.5 の流出を防止するには、屋内で喫煙区域を隔てるだけでなく、扉や排気口など十分な換気設備を必 要とするが、たとえ間仕切りがあってもタバコ煙を完全に遮断するのは難しい。受動喫煙の防止には、喫 煙を屋外に限定し、屋内を完全禁煙にするのが安価で即応可能な方法である一方、景観や歩行喫煙、清掃 費用などの課題も残ると考えられた
奥羽大学 薬学部 医療薬学分野
阿部 覚嗣 ¹、日下 奨 ¹、小林 洋平 ¹、佐藤 研1,2
¹ 奥羽大学 薬学部 医療薬学分野、² 奥羽大学 歯学部 附属病院 呼吸器内科
O5-04
京都の神社仏閣における受動喫煙対策の実態 藤 田 ももこ
【目的】改正健康増進法では、学校や行政機関などは敷地内禁煙とし、それ以外の多数の者が利用する施 設では原則屋内禁煙するなど受動喫煙をなくすことが求められている。京都は日本有数の観光地であるこ とから、国際的にも受動喫煙防止対策について先進的な取組が求められている。そこで、観光客が多く訪 れる京都市内の神社仏閣における受動喫煙防止対策を調査し、その実態を知ることを目的とした。
【方法】2019 年 8 月〜 2019 年 9 月にかけて、受動喫煙防止対策についての質問紙調査を京都市内の神社 仏閣 1736 施設に郵送により実施した。質問紙は、産業医科大学による自治体への受動喫煙対策に関する 調査票、及び福岡市による福岡市内の飲食店に向けた調査票を参考にして作成した。調査項目は、施設の 属性、敷地内及び建物内の禁煙実施状況、受動喫煙について施設の認知度、喫煙場所について厚生労働省 による事務連絡通知の認知度、JT から灰皿提供の有無、新型タバコに関する規則の有無についてである。
【結果】503 施設から回答を得た(回収率 30.2%)。受動喫煙が健康に影響することを知っている施設は、
486 施設(96.6%)であった。しかし、建物内全面禁煙を実施済みまたは実施予定の施設は、242 施設(48.1%)、
敷地内全面禁煙を実施済みまたは実施予定の施設は、165 施設(32.8%)であった。実施していない理由 として最も多い回答は、「喫煙者がほとんど訪れないから」であった。喫煙場所は「出入口から極力離す べき」という厚生労働省からの事務連絡通知を知っている施設は、128 施設(25.4%)のみであった。また、
JT からの灰皿提供を受けている施設は 15 施設(3.0%)あり、すべて訪問者数の多い大規模施設であった。
新型タバコについての規則を作成していない施設は、348 施設(69.2%)であり、新型タバコについて紙 巻きタバコとは異なる規則を有している施設は、4 施設(1.0%)のみであった。
【考察】改正健康増進法の実施にも関わらず、今回調査した京都の神社仏閣においては、受動喫煙の対策 が充分とはいえないと考えられた。今後も京都の神社仏閣の敷地内全面禁煙に向けて、受動喫煙の害につ いて啓発活動を行い、観光客及び参拝客の受動喫煙暴露の防止に努める必要がある。
京都女子大学 家政学部 食物栄養学科
寺岡 里奈 ²、木村 佑来 ¹、末冨 花菜 ²、三好 希帆 ¹、中村 亜紀 ³、宮脇 尚志1,4
¹ 京都女子大学 家政学部 食物栄養学科、² 京都女子大学 家政学部 生活福祉学科、
³ 京都女子大学 発達教育学部 教育学科 養護・福祉教育学専攻、
⁴NPO 法人 京都禁煙推進研究会(タバコフリー京都)
一般演題 5 受動喫煙
マンションなど集合住宅での受動喫煙健康被害3例についての検討から見えてきた 課題と with/post 新型コロナ時代に向けての解決策
松 田 和 洋
【背景】タバコは、感染症のリスク因子や重症化因子になっている。間質性肺炎の原因として、新型コロ ナウイルスやマイコプラズマなどの感染症が知られているが、タバコも重症化やリスク因子である。これ らの感染症の初期症状や、後遺症の体調不良・ストレス症状との区別が困難である。
【目的】新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)による自宅待機などから、受動喫煙被害が急増し ていることが危惧される。COVID-19 と喫煙の密接な関連も明らかになってきており、with/post 新型コ ロナ時代の新しい生活に向けて、体調不良の原因として的確な鑑別診断も必要になってくると考えられる。
【方法】集合住宅は、受動喫煙健康被害が発生、長期化、重篤化する。集合住宅の受動喫煙の実態はどの ようなものか、何が問題でこのような状態にあるのか、どうすればいいかについて検討する必要がある。
今回、タバコによる化学物質過敏症と診断された集合住宅での受動喫煙健康被害3例について、課題や解 決策について検討した。
【結果】タバコの種類、濃度や拡散状態、個人差などによる症状の違いがあり健康被害の見える化が困難 である。症状が多彩で多くの診療科に関連する。さらに、受動喫煙被害に気がついていない被害者が潜在 的に多く存在している可能性がある。室内での喫煙により、集合住宅はその構造上、吸気口・排気口、あ るいは、サッシなどの窓枠から、タバコ煙由来の有害物質が高濃度で侵入する構造になっており健康被害 は避けられない。責任の所在が、喫煙者、国、たばこ会社、管理者組合、理事会など明確でなく、複数住 戸からの受動喫煙もあり個人的な対応では解決の道筋が見えなくなる。家族への健康被害を同時に受ける ため、経済的にも精神的にも大きな負担となっている。
【考察】1. 受動喫煙被害者の実態を明らかにしていくために、健康障害の顕在化や証明法の確立が必要。2.
近隣住戸からの有毒物質の侵入や侵入経路の証明法の確立が必要。3. 受動喫煙の被害から逃れることは個 人的な努力と対応では困難であり、包括的に可視化し支援していく仕組みが必要。4. 感染症、ストレスな どと同様に、健康被害の可視化が難しく、医学的な診断方法が十分に確立されていない。公衆衛生や産業 衛生的にグローバルな視点も含めて包括的に検討していくことが必要。受動喫煙の被害を防止するために は、上記のような課題を解決していくことが切望される。
エムバイオテック株式会社 マイコプラズマ感染症研究センター 野村 光代 ²、藤代 浩 ³、中谷 基志 ⁴、石田 雅彦 ⁵
² 受動喫煙撲滅機構、³ 無煙社会をめざす会、⁴ 株式会社トリロジカ、
⁵ 横浜市立大学大学院循環制御医学教室
O6-01
新型コロナウイルス感染症患者の頭痛、喫煙に関して 瀬 田 健 博
【背景】新型コロナウイルス感染症患者は病態などから喫煙が増悪因子となり罹病期間が非喫煙者と比較 すると長期化することが一般的に考えられる。今回、新型コロナウイルス感染症患者の自覚症状、増悪因 子を調査することにより、どの因子が関与しているか理解することができれば今後の対応に役立つと考え 検討を行った。
【目的】2020 年 3 月、嘱託産業医をしている事業所にて送別会がきっかけとなり 6 名の新型コロナウイル ス感染症発症を認め入院、治療後、退院となった後、自宅療養を経て主治医から勤務可の診断をされた後 に体調、体力などを含め就労可否を含めた面談を行った。また今後の就労に関するアドバイスをするため 詳細な問診に関しても施行した。
【結果】新型コロナウイルス感染症に発症して入院後、治療、退院、自宅療養後、就業可否面談を 6 名に 対して施行した。男性 4 名、女性 2 名、平均年齢 32 歳であった。6 名全員、保健所に経過を報告、相談後、
病院を紹介され胸部 CT にて肺炎像を認め、かつ PCR 陽性であったため精査、加療目的にて、入院となった。
自覚症状として味覚、嗅覚異常、4 名、味覚がなくカレーが砂のような感覚が初発症状であった。発熱は 初期には微熱 37.0 度前後、平熱が低い方が多く 37.5 度まで上昇しないことがあり、重症化してから 38 度 以上の発熱をきたすことが多く認められた。他の症状として悪寒、関節痛が 6 名中 5 名に認められた。初 期症状として咳があったのは 6 名中 1 名のみであった。しかし 6 名中、4 名に呼吸苦を認めた。初期症状 から入院まで平均 10 日前後であり急性期を過ぎて入院していた方が多い傾向を認めた。6 名中、1 名はイ ンフルエンザ A 陽性後解熱せず肺炎があり胸部 CT にて肺炎像を認め PCR 陽性となり入院となった。6 名中、頭痛に関しては頭痛薬を服用するような痛みを生じた症例は認めなかった。喫煙者は 6 名中 4 名で あり喫煙者では入院期間が 5 日程度長く、6 名平均 17 日間入院後退院、自宅療養となった。
【結語】喫煙者と非喫煙者との比較では喫煙者において入院期間が長期化する傾向があり復職面談におい ては禁煙に関しての指導を徹底した。今回、6 名中、頭痛に関しては頭痛薬を必要とすることがなく他の 疾患の鑑別に役立つ可能性が考えられた。
AOI 国際病院健康管理センター