助 教: 渡邉 裕介(平成21年6月採用)
助 教: 宮坂 恒太(平成23年3月採用)
当研究分野は平成6年3月に安井明教授の就任によりスタートした.平成10年には松崎文雄教 授が就任し,神経幹細胞の非対称分裂に関する研究がなされた.平成14年,松崎教授が理化学研 究所発生再生科学総合研究センターに転任し,その後,平成15年小椋利彦が着任して現在に至っ ている.当研究室では転写因子の機能解析を分子生物学的に行い,その知見を発生生物学の分野に 応用して成果を上げている.とくに,力学刺激の受容系と反応系の分子メカニズムを中心に,心臓 をモデルとして研究を進めている.平成20年9月に木田泰之が米国ソーク生物学研究所に留学後,
平成21年6月に渡邉裕介がフランスのパスツール研究所から赴任した.その後,宮坂恒太が平成 23年3月着任した.
現在の主な研究
当研究室の具体的なテーマとしては以下のようなものがある.
1) Tbx 遺伝子群の機能解析
Tbx 遺伝子は T-box を DNA 結合ドメインとしてもつ転写因子をコードしている.この中でも,
Tbx5 は肢芽,心臓,網膜の発生に深く関与している.このような転写因子の機能を,発生学,分 子生物学的に解析して,組織形成,臓器形成の基本メカニズムを解明しようとしている.とくに,
Tbx5 蛋白の co-activator の単離の結果,心筋細胞が発生過程に受ける伸展,剪断応力などの機械的
刺激が,このco-activator の細胞内局在を変化させて Tbx5 の転写活性化能を上げることを見いだし た.また,この co-activator は Tbx5 以外の転写因子も制御することがわかり,発生以外にエネルギー 代謝の制御因子であることも明らかとなった.加えて,Tbx5 とその co-activator の転写制御には,
もうひとつのクロマチン因子が必要であることを見つけ,形成される複合体の全貌を明らかにする ことによって,Tbx5 を中心とした力刺激による遺伝子発現制御機構の解明を進めている.
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脳科学研究部門 126
2) 機械的刺激の受容系,反応系
前述したように,心筋細胞は,心拍による伸展,剪断応力んにつよく影響されて形態形成が進む.
機械的刺激は,心筋細胞以外にも間葉系幹細胞の分化,脂肪細胞の分化,骨形成など,多様な組織 で重要な働きをしている.この問題を解くため,機械的刺激によって細胞内局在を変化させる蛋白 質を複数同定した.このような蛋白は,機械的刺激によって細胞骨格から核内に移動して遺伝子発 現を制御する.加えて,心拍依存的に発現する miRNA を同定し,ゼブラフィッシュをモデルに機 能阻害実験を行なっている.このような解析から,心拍,血流に起因する機械的刺激は,心臓,と くに房室弁の発生に必須であり,また,心筋再生にも関与することが明らかとなった.
2.
研究報告 1) 原著論文英文
1. Fibroblast growth factor 10 gene regulation in the second heart field by Tbx1, Nkx2-5, and Islet1 reveals a genetic switch for down-regulation in the myocardium. Watanabe Y, Zaffran S, Kuroiwa A, Higuchi H, Ogura T, Harvey RP, Kelly RG, Buckingham M. Proc Natl Acad Sci U S A. 109, 18273-18280, 2012
2. Roles of planar cell polarity signaling in maturation of neuronal precursor cells in the postnatal mouse olfactory bulb. Yuki Hirota, Masato Sawada, Yasuyuki S. Kida, Shi-hui Huang, Osamu Yamada, Masanori Sakaguchi, Toshihiko Ogura, Hideyuki Okano, Kazunobu Sawamoto. Stem Cells 30, 1726-1733, 2012
3. Heartbeat regulates cardiogenesis by suppressing retinoic acid signaling via expression of miR-143.
Kota Y. Miyasaka, Yasuyuki S. Kida, Toshihiro Banjo, Yosuke Ueki, Kazuaki Nagayama, Takeo Matsu moto, Masaaki Sato, Toshihiko Ogura. Mechanism of Development 128, 18-28, 2011
3.
国際学会・海外での講演およびセミナー 1) 特別講演,シンポジウム,ワークショップ1. NUS Mechanobiology Conference (2012年11月12日〜11月14日,シンガポール)
2. Forces in Biology conference (2012年9月4日〜9月6日,ダンディー,アイルランド)
3. The 23rd CDB Meeting (Building multicellular systems from cellular cross-talk)(2012年1月22 日〜1月23日,神戸)
神経機能情報研究分野 127
4. 国内学会での発表
1) 特別講演,シンポジウム,ワークショップ
1. 日本発生生物学会(2011年5月18日〜20日,沖縄)
2. 日本発生生物学会(2012年5月28日〜31日,神戸)
3. 量子ビームを用いた物質・生命化学の新展開(2011年12月20日〜21日,仙台)
4. 日本分子生物学会ワークショップ(2011年12月13日〜16日,横浜)
など
2) 一般演題
特に異分野との共同研究に基づく演題.
1. 大脇浩史,益田泰輔,川原知洋,宮坂恒太,小椋利彦,新井史人 器官外植型バイオニッ クシミュレータ OBiS ─マイクロ流体技術を用いた機能維持,観察システム─ 第29回日 本ロボット学会学術講演会
2. Hirofumi Owaki*, Taisuke Masuda, Tomohiro Kawahara, Natsuki Takei, Keiko Kodama, Kota Miya-saka, Toshihiko Ogura, Fumihito Arai Organ-explanted Bionic Simulator (OBiS): Concurrent Microcardiovascular Anastomosis of Chick Embryo Type of submission : Contributed paper Confer-ence : 2012 IEEE/RSJ International ConferConfer-ence on Intelligent Robots and Systems
など
5. その他
1. 手島精一記念研究賞(東京工業大学)サリドマイドによる催奇性の主要な標的分子の同定
脳機能開発研究分野
担当教授 川 島 隆 太