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病院医師の医療機能的役割から みた外来収益についての検討

ドキュメント内 09flN02„”“ƒ…O…›…r…A.QX (ページ 60-63)

横須賀市立うわまち病院 

病院長

沼田 裕一

る外来診療の経済的必要性という観点から,外来収 益には,紹介患者,救急患者,一次受診患者(初診・

再診)の主に3つのリソースのいずれに重点を置く べきかという検討が必要であると考えた。

 今研究では外来診療の効率性を,外来に来院する 患者の来院形式で患者をリソースとしてタイプ分け し(紹介患者,外来患者,再来患者,初診患者,新 規患者,救急車搬入患者など),どのタイプのリソー スに力を入れることで効率があがるか外来収益を指 標として明らかにし,さらに外来診療の占める比率 に関しても一部検討する。

Ⅲ.対象と方法

 対象は平成14年7月から平成18年11月までの医 業収益に係わる指標であり,これらの関係を回帰分 析にて検討した。

 従属変数を外来収益(円/月)とし独立変数を外 来患者数(人/月),初診患者数(人/月),時間 内・時間外救急車搬入患者数(人/月),紹介患者 数(人/月),外来単価(円/人・日),新規患者数

(ID)(人/月),再来患者数(人/月),以下同様 に医師一人あたり紹介患者数,外来患者数,再来患 者数,初診患者数,新規患者数,救急車搬入患者数 とした。

 統計学的検定は単回帰分析と重回帰分析を用い,

p <0.05を有意差ありと判定し,各因子の関連の強 さは自由度調整済み決定係数にて評価した。統計解 析ソフトは Stat View 5.0を用いた。

 

Ⅳ.結果

 当院のプロフィールは法定許可病床数417床。外 来患者数430人/日,初診患者率26%,病床利用率 88%,平均在院日数11日台,年間救急車搬入患者 数は6300人,紹介率約50%,逆紹介率約60%台で ある。

結果1.外来収益と各因子の関係

 まず外来収益と各因子の関係を単回帰分析にて調 べた(図1)。その結果外来収益と各因子の関連の強 さ(自由度調整済み決定係数の大きさ)は,外来単 価>紹介患者数>新規患者数>初診患者数>時間 内・時間外救急車搬入患者数>外来患者数>再来患 者数の順であった。

結果2.外来収益と医師一人あたりの患者数の関係

(単回帰分析)

 次に外来収益と医師一人あたりの各種の患者数で 見るとその関連の強さは,紹介患者数>救急車搬入 患者数>新規患者数>初診患者数>再来患者数>外 来患者数(/医師数)の順であった(図2)。ただし,

外来収益と再来患者数/医師数の関係は有意の負の 相関であった。また外来収益と医師一人あたりの外 来患者総数との間には有意の関連は見いだせなかっ た。また,外来収益と関連の強い医師一人あたりの 紹介,救急車搬入,新規,初診患者数(/医師数)

のグラフを見ると,医師一人あたりの患者数がある 一定以上になると外来収益が頭打ちになる傾向があ った。

結果3.外来収益と医師一人あたりの患者数の関係

(重回帰分析)

 最後に交絡因子の影響を排除するために外来収益 と医師一人あたりの患者数(前記6因子)の関係を 重回帰分析してみると,外来収益に影響する有意な 因子は医師一人あたりの紹介患者数,次に医師一人 あたりの救急車搬入患者数であった(表1)この重 回帰分析の自由度調整済み決定係数も0.904と高値 で,外来収益の変動を約90%説明することが出来 た。

Ⅴ.考察

 結果1.は外来収益に及ぼす因子の影響把握のた めの検討であるが,外来収益は圧倒的に外来単価に 依存することが示された。次に影響が大きいのは紹 介患者数であり,紹介患者の外来単価の高さを反映 しているとも考えられた。さらに続く新規患者数,

初診患者数,時間内・時間外救急車搬入患者数など はやはり最下位の再来患者数に比べて外来単価の高 いものほど順位が上であった。つまり,外来収益に 及ぼす影響はやはり外来単価の比重が高く,外来収 益は主に外来単価×患者数×診療日数の3因子で表 されることを考えれば,病院の外来収益には外来単 価が重要であることを示唆している。

 次に外来の医療機能的役割から見た病院における 経済性は,勤務医師一人あたりの外来仕事量と外来 の収益の関係において明らかにする必要がある。そ の観点から行った結果2.の解析では,外来収益の 増加は医師一人あたりの紹介患者数,救急患者数の

増加,新患者数(全くの未受診),初診患者数の順 番で関連するという結果であった。結果3.の重回 帰分析でも外来収益は医師一人あたりの紹介患者数 と救急車搬入患者数に最も強く関連し,病院は外来 においても紹介や救急などの二次医療的な仕事に重 きを置いて医療機能的役割を果たす方が通常の一次 の新規患者に重きを置くより,外来収益的にも良好 であることを示している。更に医師一人あたり再来 患者数が増加すると外来収益は低下し,医師一人あ たりの外来患者総数が増えても外来収益とは関係な

いという結果になった。これらはまさに診療所と病 院の役割分担の必要性を経済的にも説明している。

つまり,比較的安定した再来患者の診療は診療所を 中心に行い,初診も明らかに重症のものや特殊な専 門性が必要なものをのぞけば診療所受診を主とすべ きということである。病院はリソースとして紹介患 者,救急患者に重きを置くことで医療機能的役割に おいても経済的にも有用であることが示唆された。

また,再来患者数をむやみに増やすことは外来収益 の悪化に繋がることも示唆された。さらに結果3.

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓䠅

10000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 እ᮶ᝈ⪅ᩘ

Y = -81693.834 + 13.102 * X; R^2 = .709 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓䠅

1000 1400 1800 2200 2600 3000

ึデ⪅ᩘ

Y = 26347.974 + 31.509 * X; R^2 = .831 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓䠅

40 80 120 160 200 240

᫬㛫ෆᩆᛴ㌴ᩘ

Y = 36436.596 + 318.538 * X; R^2 = .827 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓䠅

50 100 150 200 250 300 350 400

᫬㛫እᩆᛴ㌴ᩘ

Y = 44058.174 + 174.277 * X; R^2 = .827 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈

0 100 200 300 400 500 600

⤂௓ᝈ⪅ᩘ

Y = 51524.111 + 111.233 * X; R^2 = .907 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈

5000 5500 6000 6500 7000 7500 8000 8500 እ᮶༢౯

Y = -30351.496 + 17.123 * X; R^2 = .917 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓

500 700 900 1100 1300

᪂ᝈᩘID Y = 14685.028 + 79.015 * X; R^2 = .888 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄

8500 9500 10500 11500 12500

෌᮶ᝈ⪅ᩘ

Y = -75994.125 + 14.712 * X; R^2 = .409 ᅇᖐ䜾䝷䝣

P<0.0001 Adj.R

2

=0.916 P<0.0001 Adj.R

2

=0.905

P<0.0001 Adj.R

2

=0.885

P<0.0001 Adj.R

2

=0.396 P<0.0001

Adj.R

2

=0.824 P<0.0001 Adj.R

2

=0.824 P<0.0001 Adj.R

2

=0.827 P<0.0001 Adj.R

2

=0.703

図1 外来収益と各患者数の関係(単回帰分析)

の重回帰式の自由度調整済み決定係数は0.904と極 めて高く,外来収益の変動の90%以上を医師一人 あたりの紹介患者数,救急車搬入患者数,新規患者 数,初診患者数,再来患者数,外来患者数という6 因子で説明できることになる。

 それではなぜ,このような結果になったかを考え る。通常医師に対して患者数が少ない場合には,医 師は診断治療のためのツールをフルに使い診療する ことが出来る。しかし,徐々に患者数が増え,患者 数が過剰になってくると,医師は診療内容を落とさ

ざるを得ない。今でも昼食も食べずに午後3時4時 まで外来で診療をし,その後に病棟の業務をしてい る医師がいるが,このような医師に外来患者に充分 な診療時間を取り,質を保証せよ,というのは酷で ある。外来で待ち時間が長いとクレームを付ける患 者の声は更に医師を追い立てる。意図的ではなくと も今できるが急がなくて良い検査や治療は後回しに なる。この結果,患者一人あたりの一日の外来単価 は低下していく。前述したように患者数は重要では あるが,外来単価は患者数に比しさらに重要なファ

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓

220 240 260 280 300 320

እ᮶ᝈ⪅ᩘ䠋་ᖌᩘ

Y = 28881.097 + 198.428 * X; R^2 = .036 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰䠄༓

20 25 30 35 40 45 50 55 60

ึデᝈ⪅ᩘ䠋་ᖌᩘ

Y = 22503.582 + 1600.222 * X; R^2 = .669 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈䠄༓䠅

10 12 14 16 18 20 22 24 26

᪂つᝈ⪅ᩘ䠋་ᖌᩘ

Y = 3853.486 + 4357.093 * X; R^2 = .746 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ᩆᛴ㌴䠋་ᖌᩘ

Y = 37456.394 + 5940.591 * X; R^2 = .788 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

⤂௓ᝈ⪅ᩘ䠋་ᖌᩘ

Y = 48932.205 + 5852.776 * X; R^2 = .884 ᅇᖐ䜾䝷䝣

50000 60000 70000 80000 90000 100000 110000 120000

እ᮶཰┈

180 190 200 210 220 230 240 250 260 270

෌᮶ᝈ⪅ᩘ䠋་ᖌᩘ

Y = 163133.827 - 357.551 * X; R^2 = .085 ᅇᖐ䜾䝷䝣

P=0.1852

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