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潮汐力発電

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8.7.2 ポテンシャル

潮汐力発電は満潮時と干潮時の潮位差が大きい程大きな潮汐力エネルギーが得られ、一般に潮 位差5m以上が実用化の目安となっている。

諸外国には10m以上の潮位差が得られる地点が存在するのに対し、日本においては最も好条件 の有明海でも最大潮位差4.9 mであり、国内のポテンシャルは小さいとされている。

図表 8.69  世界各地の最大潮位差

地名 国名 最大潮位差(m)

Moncton カナダ 16.0

Severn 英国 15.5

Jordan カナダ 15.4

Fizroy オーストラリア 14.7

Granvill フランス 14.5

Rance フランス 13.5

RioGallegos アルゼンチン 13.3

仁川 韓国 13.2

Bhaunagar インド 12.0

Anchorage 米国 12.0

Anadory ロシア 11.0

住の江(有明海) 日本 4.9

出典:「21世紀の海洋エネルギー開発技術」(2006, (社)日本海洋開発建設協会)

IEA-OES54の資料によると、世界の潮汐力エネルギーの理論的な年間の資源量は、300TWhと試

算されている。

図表 8.70  世界の潮汐力エネルギー資源量

潮汐力エネルギー 300TWh/年

出典:“Annual Report 2007”(2007, IEA-OES)

8.7.3 導入目標量例

日本において、現在潮汐力発電の導入目標は設定されていない。

54 IEA(国際エネルギー機関)内の「海洋エネルギーシステムに係る実施協定 (Implementing Agreement on Ocean Energy Systems)」に基づき発足した組織。

8.7.4 導入実績

図表 8.71に、海外における主要な潮汐力発電所を示す。潮汐力発電プラントとして最も有名な ものは、40年間の運転実績を誇るフランスのランス潮汐力発電所である(図表 8.72)。

ランス潮汐力発電所は、潮位差が最大13.5 m、平均8.5 mと潮汐力発電に適した潮位条件を有 するランス川河口に位置している。1967年から発電を開始しており、フランス電力公社により運 用されている。長さ750メートルの堤防下に出力10MWの円筒水車(4枚羽根横軸円筒カプラン 水車)24台が設置されており、最大定格出力は240MW、年間の発電量は約600,000MWh、平均出 力は約68MWである。タービンは双方向に機能し、川の流れと潮汐を相互に利用する仕組みとな っている。

図表 8.71  世界の主要な潮汐力発電所

発電所  発電所 

ランス潮汐発電所

(フランス)

1967年からフランスのランス川河口(平均潮位差8.5 m)に て発電を開始。最大定格出力は240MW、年間の発電量は約 600,000MWh、平均出力は約68MW。

アンナポリス発電所

(カナダ)

1984 年にカナダのファンディ湾(最大潮位差 16.4m)で 20MWの潮汐発電所が運転を開始。

キスラヤ潮汐発電所

(ロシア)

1968年に北極圏のコラ半島ムルマンスク北西80km の入り 江にキスラヤ潮汐発電所を建設。最大出力は400kW。

江厦潮汐発電所

(中国)

1980年に運転開始した、中国初の大規模な潮汐発電の実験 プラント。平均潮位差 5mの双方向発電方式で、2009 年に 改良工事を行い最大出力3.9MWとなっている。

図表 8.72  ランス潮汐力発電所

出典:Tidal Energyホームページ(http://www.tidalenergy.eu/index.html

8.7.5 技術開発動向

潮汐力発電については、ランス潮汐発電所のように 40年間にわたり稼動している事例もあり、

普及のボトルネックとなる大きな技術課題は残されていない。

なお、下記技術課題のうち、波力発電と共通する課題については、適宜、波力発電の項を参照 のこと。

図表 8.73  潮汐力発電の主な技術課題

技術課題  解決策・要素技術 

発電コス トの削減 

発電効率の向上  • 適地の選定 

• 高効率な水車形状の開発  イニシャルコストの削減  • 施工費の削減 

ランニングコストの削減  • メンテナンスコストの削減 

高耐久化 

海洋環境への対応 

• 海洋生物の付着防止(防汚塗料の塗布、音・

超音波システム、オゾンガスの海水混合等)

• 塩害・さびの防止(防腐食塗料の塗布等) 

機器にかかる負荷の緩和  • キャビテーションの防止 

• 乱流強度、乱流状況の把握 

運用・管理  環境への影響  • 環境アセスメント  設備の維持管理・故障の防止  • モニタリングシステム 

(1) 発電コストの削減

発電コストの削減に係る課題として、発電効率の向上、イニシャルコストの削減等が挙げら れる。発電効率の向上に最も重要となるのは潮位差である。理想的な潮位差が得られ、地理的 に発電所建設が可能な地点を選定することが潮汐力発電導入の第一段階となる。また、発電機 側の対策としては、高効率な水車形状の開発が挙げられる。

イニシャルコストの削減としては、施工費の削減が挙げられる。しかしながら、既存の橋梁 建設技術等を用いるため、大幅なコストダウンは見込めない。

(2) 運用・管理

潮汐力発電を考えるとき、環境への影響が懸念される大きな要素である。海岸の入り江や河 口の一部を締め切るため、水質や生物の生育環境が供用の前後と大きく異なることが予想され る。導入にあたっては適切な環境影響評価を行う必要があり、検討が必要な項目に以下が挙げ られる55

①  景観への影響

②  騒音

③  海岸堆積・侵食(地形変化)

55 「海洋エネルギーの利用技術に関する現状と課題に関する調査」(平成20年、NEDO)

干潟や浅場の水位・地形等の変化に伴う生態系への影響に注意が必要。

⑤  水質への影響

河口域を閉め切る場合、海水の塩分濃度等の水質への影響に注意が必要。

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