8.4 温泉熱発電・熱利用
8.4.4 導入実績
国内における温泉熱の発電利用は、まだ実証試験段階にある。実証試験の事例としては、2002 年度に(株)前川製作所が福島県にて実施した、ランキンサイクル29で発電機端出力10kWを目指し た実証試験がある30。また、現在長野県においてカリーナサイクルの50kW発電システム実証試験 が、地熱技術開発(株)により進められている31。
熱源としての利用は、温泉排水からヒートポンプで熱回収して給湯や暖房に利用したり、源泉 の温泉熱を浴槽の加温やシャワー等に利用するなど、導入事例が増加している。NPO法人環境エ ネルギー政策研究所は、環境省が都道府県より集計している、源泉毎の温泉熱の「浴用・飲用」
「多目的利用」に関する2007年度の集計データより、浴槽の加温に必要な熱量で温泉が代替して いる熱量、および温泉熱の多目的利用(ロードヒーティングや融雪等)の利用熱量の推計を行っ ている。それによると、日本全体の温泉熱の多目的利用量は2,318TJ32となっており、特に北海道 等で利用が進んでいる。
29 バイナリーサイクル方式の一つ。100℃以上の熱水の活用に適している。作動媒体としてブタン、ペンタン等 の単相流体を用いて発電する。
30 NEDO「産業技術実用化開発助成事業」
31 NEDO「新エネルギーベンチャー技術革新事業」
32 エネルギー永続地帯指標2008年版総合集計表より
<事例> 地熱技術開発株式会社(発電)
地熱技術開発(株)は、長野県小谷村において温泉熱発電の実証研究を行っている。これは、
NEDO の「新エネルギーベンチャー技術革新事業」に採択された「温泉エコジェネシステ ムの開発」プロジェクトであり、2007年度より開始されている。
図表 装置の概念設計
開発仕様項目 空冷式 水冷式
温泉水流量、kg/s 8.104 8.104 温泉水入口温度/出口温度、℃ 85 / 50 85 / 50
冷却媒体温度(年平均)、℃ 14 14
入力熱量、kW 1,187.48 1,187.48 出口熱量、kW 1,122.45 1,118.18
発電端電力、kW 60.43 64.44
冷却系統消費電力、kW 10.44 4.79
送電端電力、kW 50.00 59.66
熱効率、% 4.21 5.02
単位温泉水消費量、kg/kW-h 583.5 489.0 単位電力量、watt-h/kg 1.71 2.04
図表 システム概念図
出典:「温泉エコジェネシステムの開発 中間年報」(2007, NEDO)
<事例> 「滝川ふれ愛の里」(熱利用)
北海道滝川市の天然温泉日帰り入浴施設「滝川ふれ愛の里」では、源泉の温泉熱をヒートポン プで熱回収し、循環ろ過している温泉浴槽の加温に利用すると共に、シャワーや床暖房等の給湯・
暖房や、空調用の冷水・温水供給に利用している。
図表 システムの概要
竣工 1997年
延床面積 3,567m2
源泉温度 31℃
温泉湯量 500L/分 主要機器
冷房・床暖房用水熱源ヒートポンプ 2台 加熱能力 1,005MJ/h 冷却能力 720MJ/h 給湯用水熱源ヒートポンプ 2台
加熱能力 1,005MJ/h 補助熱源機:電気温水器 定格72kW
出典:「温泉DEヒーポン!温泉ホテル省エネモデル集」(2008, 経済産業省 北海道経済産業局)
およびNPO法人 健康と温泉フォーラム ホームページ
(http://www.onsen-forum.jp/enterprise/webworkshop/group-saving/saving01.html)
図表 システム概念図
出典:「温泉DEヒーポン!温泉ホテル省エネモデル集」(2008, 経済産業省 北海道経済産業局)