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第 5 章 新語における混種語の特徴

5.3 混種語の造語パターンにおける特徴

5.3.1 混種語における語種の造語パターン

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組み合わさった語は日本語の方が多いことが分かる。このように日本語と韓国語の混種語は異 なる語種の造語成分と多様に結合しているが、その比率はかなり違っている。その相違点の詳 細については<表 17>のところで述べている。

一方、この結果を野村(1984)の分析結果と比べてみると特に目立つのは混種語の有無である。

同じβ単位の分析であるにもかかわらず差があるということは、最近の新語としての混種語の 形成にβ単位以下の混種も行われていることを示している。このような点からするとβ単位に よる分析は適切ではないという可能性も考えられる。しかし、逆にこのことは最近の新語、特 に混種語の特徴であるとも言えるであろうが、それについては裏付けが必要であろう。混種語 の使用を除くと本研究の調査対象の新語は野村(1984)の「「漢外」>「漢固」>「固外」>「漢固 外」」の順と同様であり、「漢外」の比率までほぼ同じであることが分かる。また、混種語の造 語成分の語種は「漢語>外来語>固有語>混種語」の順で、野村(1984)の結合量による造語力の 順と同様であることが分かる。しかし、野村(1984)の分析では混種語の造語成分の割合までは 提示していないのでそれによる比較まではできなかった。

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<表 18>日本語の混種語の新語における造語パターン

語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数

10

1

1

12

1

1

3

1

3

82

17

1

38

3

16

1

1

1

2

2

2

1

1

53

1

6

2

1

1

2

50

11

2

1

22

10

1

4

1

1

1

1

4

1

1

1

111

8

1

1

1

18

2

2

1

32

1

6

1

9

2

3

1

1

1

1

1

1

2

2

12

8

1

1

14

1

10

1

3

1

1

5

1

1

177

14

2

1

30

3

17

1

1

1

1

1

1

1

1

1

4

3

1

2

1

1

造語成分7 造語成分8 造語成分9

造語成分1 造語成分2 造語成分3 造語成分4 造語成分5 造語成分6

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<表 19>韓国語の混種語の新語における造語パターン

20

1

5

5

1

1

2

1

228

19 69

3

22

2

4

1

1

2

1

1

3

32

7

1

1

1

2

3

1

3

147

2

1

20

3

12

1

3

1

2

16

1

2

1

語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数 語種 個数

1

24

1

1

208

1

31

5

1

3

1

44

2

3

2

107

1

24

3

1

16

2

22

1

1

15

1

1

1

161

3

12

3

1

1

6

1

35

1

1

2

186

31

1

2

19

2

1

172

8

1

2

41

3

1

17

2

造語成分7 造語成分8 造語成分9

造語成分1 造語成分2 造語成分3 造語成分4 造語成分5 造語成分6

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上の二つの表からは韓国語に比べて日本語の方の造語パターンが多様であることが一目で 分かる。まず、「造語成分 1」の語種によって後ろの造語成分がいくつまで用いられているかを 見てみよう。日本語は「造語成分 1」が固有要素の場合は「造語成分 6」まで、漢語要素の場 合は「造語成分 9」まで、外来要素の場合は「造語成分 6」まで、混種要素の場合は「造語成 分 5」まで用いられており、漢語要素で始まる新語が他の語種で始まる新語のパターンより長 く用いられている。つまり、長い語の組み合わせは漢語要素で始まると言えるのである。さら に、その語数も造語パターンも一番多い。一方、韓国語は「造語成分 1」が固有要素の場合は

「造語成分 4」まで、漢語要素の場合は「造語成分 5」まで、外来要素の場合は「造語成分 5」

まで、混種要素の場合は「造語成分 3」まで用いられており、漢語要素と外来語要素で始まる 新語が他の語種で始まる新語のパターンより長く用いられている。ただし、その語数と造語パ ターンは漢語要素で始まる新語の方が多い。このように、両言語の類似点は漢語要素で始まる 語が他の語種で始まる語に比べてその組み合わせが多様であることや混種要素で始まる語が 両言語ともに一番短いことなどである。

次は「造語成分 1」の各語種別に最終造語成分の語種を見てみる。日本語は「造語成分 1」

が固有要素の場合は固有要素と漢語要素が、漢語要素の場合は漢語要素が、外来要素の場合は 外来要素と漢語要素が、混種要素の場合は漢語要素が用いられている。最終造語成分には混種 語はない。すなわち、固有要素と外来要素で始まる語の最終造語成分にはそれぞれ二種類の語 種があり、漢語要素と混種要素で始まる語の最終造語成分は漢語要素のみである。どの語種で 始まっても最終造語成分には漢語要素があるのである。一方、韓国語は「造語成分 1」が固有 要素の場合は固有要素と漢語要素が、漢語要素の場合は漢語要素と外来語要素が、外来要素の 場合は漢語要素が用いられている。混種要素の場合は「造語成分 4」まで用いられている語が ない。韓国語は固有要素と漢語要素で始まる語の最終造語成分にはそれぞれ二種類の語種があ り、外来要素で始まる語は漢語要素のみである。韓国語も日本語と同様にどの語種で始まって も最終造語成分には漢語要素があることが分かる。以上、造語パターンから見られる特徴につ いて「造語成分 1」の各語種別に述べたが、「5.3.2」では各造語成分別の語種の分布について 述べ、その造語パターンから見られる特徴をもっと詳しく把握することにする。