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4 海洋再生可能エネルギー開発の実際

4.1 発電システム

4.1.1 洋上風力発電

ある。ダリウス型風車やジャイロミル型風車の羽根は、ともに飛行機の翼と同じ断面をし ており、ダリウス型風車では羽根を弓形に曲げている。これら風車は、小型の風力発電機 に使用されることが多い。

垂直軸抗力型には、サボニウス式、パドル式、クロスフロー式、S 型ロータ式などがあ る。サボニウス風車は円筒を縦半分に切って円周方向にずらした形をしたものである。パ ドル風車は、風速計によく使われている半球形の受風面を持つ風車である。

図4.1.1 風車の分類

出典:西華産業株式会社ウェブサイトから (2) 風車の構造

プロペラ式風力発電システムを例として、風車の構造を 図4.1.2に示す。風力発電 システムは、機能ごとに区分すると、①風力エネルギーを機械的動力に変換するブレード などのロータ系、②ロータの回転動力を発電機へ伝える伝達系、③発電機本体などの電気 系、④発電機の運転・制御を行う制御系、および⑤発電機本体などを支持する基礎・構造 系からなっている。

それぞれの系に含まれる代表的な構成要素を表 4.1.1に示す。

図4.1.2 洋上風車(着床式)の構造例 出典:NEDO「再生可能エネルギー技術白書初版」2012

表 4.1.1 プロペラ式風力発電機の構成要素例

出典:NEDO「風力発電導入ガイドブック」(20082月改訂第9版)

主な機器の特徴を次に記す。

① ブレード

中大型のプロペラ型風力発電機では、ブレードの回転により生じる騒音、ブレードの

製作コスト、製作工場から設置場所への輸送などの得失から、3枚翼型が主流となって いる。ブレードの材質は、軽量で耐久性のあるガラス繊維強化プラスチック(GFRP) が主として使用され、必要に応じて雷対策、塩害対策などの工夫がされている。

② 発電機

発電機には、交流発電機である誘導発電機あるいは同期発電機が使用される。誘導発 電機には出力変動による電圧変動の問題があるが、発電機の構造が簡単で製造コストが 低い。同期発電機は電圧制御が可能であり、電力系統への影響が少なく、コスト高だが 発電電力の品質が良く実用機への採用が増えている。

③ 増速機

増速機は、ロータ軸の回転数を交流発電機が要求する入力回転数に増速するための歯 車装置で、ブレードと発電機の中間に置かれる。

④ 運転・制御系

風車は、風速が上がればブレードの回転速度は上がり発電機の出力が増える。しかし、

一定の速度を超える強風では、ブレードの回転速度が過大となってブレードの破損事故、

あるいは発電機の出力が過大となって発電機の焼損事故等が、惹き起こされる恐れがあ り、風車の出力(回転)を制御する必要がある。

風車の回転速度を制御する代表的な方法は、ピッチ制御と呼ばれる方法であり、風速 と発電機の出力を検知して、発電機出力が目標値(定格値)となるように、ブレードの 取付け角(ピッチ角)を変化させて、風車の回転速度を制御する方法である。

ピッチ制御は、台風等の強風時にブレードのピッチ角をゼロ度、すなわちブレードを 風向に平行(フェザー状態)にすることで、ロータを停止させる機能としても利用され ている。

風車の回転速度を制御する方法として、ほかにストール(失速)制御と呼ばれる方法 がある。

ストール(失速)現象とは、流れの中で翼の迎角を大きく(流入角度を大きく)して いくと、翼の上面で流れの剥離が起こり、急激に揚力を失う現象のことである。

ピッチ角を固定した風車では、流入する風の風速でブレードへの相対流入角が変わる。

一定以上の風速ではストール現象が起き、ブレードが揚力を失うようなブレード形状と して、風車の出力(回転)を抑制する方法をストール制御と呼んでいる。

図 4.1.3 は、ピッチ制御・ストール制御の出力特性を模式的に示したものである。一

定風速以上になると発電を開始(カットイン)し、発電機定格出力に達する風速以上で は、ピッチ制御もしくはストール制御により出力制御を行い、更にある風速以上では危 険防止のため発電を停止(カットアウト)する制御を行う。

ピッチ制御はピッチ角を変えるための油圧装置等が必要となりコスト面では割高にな るが、ストール制御に比べて定格風速付近での発電効率を良くすることができ、定格風 速を超えた領域においても細かい制御が可能である。

図4.1.3 ピッチ制御機・ストール制御機の出力特性

出典:エネルギア総研レビューNo.9「風力発電における運転制御方法(ピッチ制御・ストール制御)

風車のロータを風向きに追従させる制御をヨー制御という。

プロペラ型風車には、タワーやナセルの風下側でロータが回転するダウンウインド型 風車とロータがタワーやナセルの風上側で回転するアップウインド型風車とがある。

ダウンウインド型風車では、ロータに働く空気力そのものが自動的にロータを風向き に追従させる力として働くため、ヨー制御に特別な駆動機構は必要としない。しかし、

タワーによる風の乱れを受けるなどのデメリットもあって、タワーの風上側にロータ面 が向くようにしたアップウインド型風車が大型風車の主流となっている。

アップウインド型風車では、ナセル上に設けた風向センサーで風向を検出し、ロータ を風向きに追従するよう旋回させる駆動装置をナセルとタワーの間に設け、ヨー制御を 行っている。

その他、ナセル内に安全のため台風時や点検時にロータの回転を停止させるブレーキ 装置が設けられている。

⑤ 系統連系など電気系

交流発電機の出力を他の発電機に接続された電力系統に並列に繋ぎ送電することを系 統連系と呼ぶ。風力発電で発電した電力は、一般には電力会社の電力網と接続し送電す ることになる。風力発電で発生した電力の電圧や周波数の変動が発生すると電力会社の 系統全体の品質に悪影響を及ぼすため、厳しい電力の品質管理が求められる。交流発電 機の出力を電力系統に連系する場合、図 4.1.4 に示すとおり、変圧器によって電圧変換 のみを行って直接系統に接続するAC リンク方式、発電機の交流出力を一旦コンバータ により直流に変換したのちインバーターにより電力系統と同じ周波数の交流に変換する 電力変換装置を使用した DC リンク方式がある。DC リンク方式では、風力発電システ ムに固有の問題である風速変動にかかわらず、電圧や周波数の制御が可能であり、風の 強さに応じてもっとも効率の良いロータの回転数において運転できる可変速運転が可能 となるため大型機に主に採用されている。

図4.1.4 プロペラ型風力発電システム 出典:NEDO「風力発電システムの設計マニュアル」1996

洋上風力発電における施設配置概念図を図4.1.5に示す。洋上に風力発電機を設置し、

運転監視や系統連系のための施設を陸上に設置、その間を送電ケーブルや海底送電ケー ブルで結んでいる。大規模な洋上風力発電施設などでは、大量の電気を効率良く送電す るために風車近くの洋上に変電設備を設けて高圧化し送電することもある。

図4.1.5 洋上風力発電システムの施設配置概念図

出典:NEDO「再生可能エネルギー技術白書初版」2012

⑥ 基礎や浮体

洋上風力の発電施設を支持する構造物には、構造形式として大きく分けると、海底に 直接基礎を設置する着床式と、浮体を風車の基礎として利用する浮体式がある。図4.1.6 に示すように、およそ水深 60mまでは着床式が、60m 以上では浮体式が選択されてい る。

図4.1.6 洋上風力発電施設の支持構造物形式と水深の関係 出典:NEDO「再生可能エネルギー技術白書第2版」2014

(“Dynamics Modeling and Loads Analysis of an Offshore Floating Wind Turbine” (2007, NREL)よりNEDO作成)

図4.1.7に様々な着床式支持構造物の形式を示す。

着床式支持構造物は、モノパイル式、重力式、ジャケット式(格子梁式)の3つの基 本的な形式に分類される。モノパイル式の発展形として3本のパイルを使用するトリパ イル式や4本または8本のパイルを使用するドルフィン式があり、トリポッド形式と呼 ばれるモノパイル式とジャケット式のハイブリッド形式やハイブリッド重力式と呼ばれ るジャケット式と重力式のハイブリッド形式もある。

水深30mまでの水深では、海底に1本の杭を打ち込むモノパイル式やコンクリートの ケーソンを基礎とする重力式が主に用いられている。水深がおよそ30m~60m海域では、

施工の難易度、経済性からトリポッド式やジャケット式が有利となる。

例えば、スコットランド近くの北海にあるベアトリスウインドファーム実証プロジェ クトでは、水深45mにおいて2基の5MW風車がジャケット構造物の上に設置されてい る。国内で稼働中の洋上風車の場合では、酒田港と瀬棚港においてドルフィン式が、鹿 島港ではモノパイル式、銚子沖では重力式、北九州沖では重力・ジャケット式(ハイブ リッド式)が採用されている。