H.3 複合材料の平均特性
I. 3 1 次元波動方程式 — 双曲型偏微分方程式
を得る。したがって次のように固有関数と固有値を得る。
vn(x)=sin (nπx
a
), λn=−k
(nπ a
)2
(I.37a, b) 境界条件によって固有関数と固有値が違ってくることを実感して欲しい。したがってvの初期条件を考慮して 解v(x,t)を求めると,最終的な解u(x,t)が次のように求められる。
u(x,t)=∑∞
n=1
⟨fˆ(ξ), vn(ξ)⟩
⟨vn(η), vn(η)⟩ exp (λnt)vn(x)+{
Tl+(Tr−Tl)x a }
(I.38)
I.2.5 非斉次問題
最終的に非斉次の一般的な問題は
∂u(x,t)
∂t =k∂2u(x,t)
∂x2 +F(x) と非零境界条件で与えられる。解法については波動方程式の節で説明する。
演習問題I-1
1. 次の熱伝導方程式を与えた境界条件の下で解け。
∂u(x,t)
∂t = ∂2u(x,t)
∂x2 , (0<x<1,0<t) u(0,t)=0, u(1,t)=0 ただし初期条件は
u(x,0)=
−1, 0≤x<1/2
+1, 1/2≤x≤1
とし,t=0, 0.0005, 0.0025, 0.01, 0.06の解を図示せよ。このノートの結果を公式として用いるのではな く,各自基礎式から始めて級数解を求めよ。
2. 0<x<1, 0<tで次の問題を解け。
∂u
∂t = ∂2u
∂x2 +cosx
初期条件と境界条件はu(0,t)=2,u(1,t)=3,u(x,0)=5とし,t=0, 0.0005, 0.0025, 0.01, 0.06の解を図 示せよ。
3. 0<x<1, 0<tで次の問題を解け。
∂u
∂t = ∂2u
∂x2 +sinx, ∂u
∂x(0,t)=0, u(1,t)=0, u(x,0)=cos 7πx
で定義される。熱伝導方程式とは異なり時間tについて2階の微分方程式なので,二つの初期条件が必要だ。
通常それは次式のように初期の変位(形状)と速度で与えられる。
u(x,0)=u0(x), u(x˙ ,0)=v0(x) (I.40a, b) 図I.2の上図の長さaの弦の境界条件の場合は
u(0,t)=0, u(a,t)=0 (I.41a, b)
で与えられ,同じ図I.2の下図のような棒の場合は
u′(0,t)=0, u(a,t)=0 (I.42a, b)
で与えられる。以下しばらくは
t:=c t (I.43)
と再定義(無次元化)しておくと,波動方程式は次式で表される。
¨
u(x,t)=u′′(x,t)+g(x,t) (I.44)
I.3.2 固有値問題
まずは固有値問題を定式化しなければならない。分布外力が無くg(x,t)≡0の場合,対応する固有値問題は fn′′(x)=λn fn(x)
と次の境界条件で与えられることは前節からの類推で理解できると思う。
fn(0)=0, fn(a)=0 この場合もλn<0の場合にのみ意味のある固有関数が存在し
fn(x)=An sinξnx+Bn cosξnx, ξn≡ √
−λn
となる。この一般解を境界条件に代入すればBn =0とAn sinξna =0を得るので,ここでも第2式から意味の ある解が存在するためには
sinξna=0 → ξna=nπ → ξn=nπ
a , λn =−(nπ a
)2
, fn(x)=sin (nπx
a )
でないといけないことがわかり,非零の固有関数が求められる。
I.3.3 斉次問題
弦の振動解を固有関数の級数解で仮定しよう。
u(x,t)=∑∞
n=1
cn(t) sin (nπx
a )
(I.45) これを分布外力の無い波動方程式(I.44)に代入すれば
∑∞
n=1
¨ cn(t) sin
(nπx a
)=−∑∞
n=1
(nπ a
)2
cn(t) sin (nπx
a )
となるので,sin (jπx
a )
を乗じて0からaまで積分し,式(I.24)の直交性を利用すれば
¨
cj(t)=−(jπ a
)2
cj(t) を得る。このODEの一般解は
cj(t)=Aj sin (jπt
a
)+Bj cos
(jπt a
)
なので,式(I.43)の置き換えを元に戻して次式を得る。
cj(t)=Aj sin (jπct
a
)+Bj cos
(jπct a
)
したがって弦の変位が次のように求められる。
u(x,t)=∑∞
n=1
sin (nπx
a ) {
An sin (nπct
a
)+Bn cos
(nπct a
)}
(I.46) 最後に式(I.46)を初期条件式(I.40)に代入して
u(x,0)=∑∞
n=1
Bn sin (nπx
a
)=u0(x), u(x˙ ,0)=∑∞
n=1
(nπc a
) An sin
(nπx a
)=v0(x)
となるので,ここでもfj(x)と内積をとって直交性を利用すれば Bj⟨fj(x),fj(x)⟩=⟨u0(x),fj(x)⟩, (jπc
a )
Aj⟨fj(x),fj(x)⟩=⟨v0(x),fj(x)⟩ を得るので,次のように積分定数が求められる。
Aj= a jπc
⟨v0(x),fj(x)⟩
⟨fj(x),fj(x)⟩ = 2 jπc
∫ a
0
v0(x) sin (jπx
a )
dx, Bj= ⟨u0(x),fj(x)⟩
⟨fj(x),fj(x)⟩ = 2 a
∫ a
0
u0(x) sin (jπx
a )
dx
0.5 1
−1 u(x,t)1
u0
x a tc
a =0
0.3 0.5
1.0 0.7 1.2
O
図I.3 例 例: 境界条件が次式で与えられる場合を解こう。
u0(x)=
u0
2x
a 0<x< a 2 u0
( 2−2x
a
) a
2 <x<a
, v0=0
各自解いて欲しいが,その解は u(x,t)
u0 =8 π
∑∞
n=1
sinnπ/2 n2 sin
(nπx a
) cos
(nπct a
)
となる。図I.3の実線が級数の5項を用いた結果で,破線が40項を用いたものだ。もちろん正解は区分的な直 線なのだが,たった5項の場合でもかなりいい精度を示しているのは興味深い。
I.3.4 非斉次問題
分布外力が存在しg(x,t),0の場合を解こう。式(I.45)を波動方程式(I.39)に代入すれば
∑∞
n=1
¨ cn(t) sin
(nπx a
)=−∑∞
n=1
(nπc a
)2
cn(t) sin (nπx
a
)+g(x,t)
となるので,sin (jπx
a )
を乗じて0からaまで積分して直交性を利用すれば
¨
cj(t)⟨fj(x),fj(x)⟩=−(jπc a
)2
cj(t)⟨fj(x),fj(x)⟩+⟨g(x,t),fj(x)⟩
を得る。ここで⟨fj(x),fj(x)⟩=a/2なので次式になる。
¨
cj(t)=−(jπc a
)2
cj(t)+gj(t), gj(t)≡2 a
∫ a
0
g(x,t) sin (jπx
a )
dx ここでpj(t)で特解を表すと,一般解は
cj(t)=Aj sin (jπct
a
)+Bj cos
(jπct a
)+pj(t)
である。したがってu(x,t)の一般解は次のようになる。
u(x,t)=∑∞
n=1
sin (nπx
a ) {
An sin (nπct
a
)+Bn cos
(nπct a
)+pn(t) }
(I.47) 最後に式(I.47)を初期条件式(I.40)に代入すれば
u(x,0)=∑∞
n=1
(Bn+pn(0)) sin (nπx
a
)=u0(x), u(x˙ ,0)=∑∞
n=1
{(nπc a
)
An+p˙n(0) }
sin (nπx
a
)=v0(x)
となるので,ここでもfj(x)との内積をとって直交性を利用すれば (Bj+pj(0))
⟨fj(x),fj(x)⟩=⟨u0(x),fj(x)⟩, {(jπc a
)
Aj+p˙j(0)
}⟨fj(x),fj(x)⟩=⟨v0(x),fj(x)⟩
を得る。したがって積分定数が次式のように求められる。
Aj= a jπc
{2
a
∫ a
0
v0(x) sin (jπx
a )
dx−p˙j(0) }
, Bj= 2 a
∫ a
0
u0(x) sin (jπx
a )
dx−pj(0) 演習問題I-2
4. 次の波動問題を解け。
∂2u(x,t)
∂t2 =∂2u(x,t)
∂x2 +x(1−x), 0<x<1,0<t ただし,境界条件をu(0,t)=0,u(1,t)=0とし,初期条件をu(x,0)=sinx,∂u(x,0)
∂t =cosxとする。
I.4 直角座標系のポテンシャル方程式 — 楕円型偏微分方程式
2次元あるいは3次元の熱伝導方程式と波動方程式はそれぞれ次のようになる。
∂u(x,t)
∂t =∂2u(x,t)
∂x2 +∂2u(x,t)
∂y2 (
+∂2u(x,t)
∂z2 )
+g(x, y(,z)), ∂2u(x,t)
∂t2 =∂2u(x,t)
∂x2 +∂2u(x,t)
∂y2 (
+∂2u(x,t)
∂z2 )
+g(x, y(,z)) これが定常状態の場合には,次式のようにラプラシアン作用素で支配方程式は表される。
∂2u(x,t)
∂x2 +∂2u(x,t)
∂y2 (
+∂2u(x,t)
∂z2 )
+g(x, y(,z))=0 (I.48)
これはポテンシャル方程式と呼ばれる。これも固有値問題を介して解いてみよう。
例として0<x<a, 0< y <bの2次元領域を対象とし,境界条件を次式で与える。
u(0, y)=A(y), u(a, y)=B(y), u(x,0)=C(x), u(x,b)=D(x) (I.49a, b, c, d) このままでは零境界条件が無いので固有値問題の定式化ができない。そこで,どこかに零境界条件が適切に含 まれるようにこの問題を三つの別々の問題に分解しておこう。
u(x, y)=u1(x, y)+u2(x, y)+u3(x, y)
としたとき,u1とu2は式(I.48)でg(x, y) ≡ 0とした場合の解で,u3はg(x, y)を考慮した特解とする。そし てu1(x, y)は
∂2u1(x, y)
∂x2 +∂2u1(x, y)
∂y2 =0 を満足して境界条件が
u1(0, y)=A(y), u1(a, y)=B(y), u1(x,0)=0, u1(x,b)=0 で与えられるものとし,これに対しu2(x, y)は
∂2u2(x, y)
∂x2 +∂2u2(x, y)
∂y2 =0 と境界条件
u2(0, y)=0, u2(a, y)=0, u2(x,0)=C(x), u2(x,b)=D(x) を満たすものとする。最後にu3(x, y)は
∂2u3(x, y)
∂x2 +∂2u3(x, y)
∂y2 +g(x, y)=0 と次式の零境界条件を満足するものとする。
u3(0, y)=0, u3(a, y)=0, u3(x,0)=0, u3(x,b)=0
u2(x, y)の問題を変数分離法で解こう。そのためにu2(x, y)=X(x)Y(y)と置くと,ポテンシャル方程式は X′′(x)
X(x) =−Y′′(y) Y(y) =−µ2
と分解できる。プライムはそれぞれの引数に関する微分を表す。こうするとX(x)に対する境界条件だけが零境 界条件になる。解くべき問題は
X′′(x)+µ2X(x)=0, with X(0)=0, X(a)=0 のような固有値問題にできて,固有値と固有関数が
µn=(nπ a
), Xn(x)=sin
(nπx a
)
と求められる。µnが求められたので,Y(y)の問題も解けて一般解が Y(y)=cn exp
(nπy a
)+dn exp
(−nπy a
)
となるから,u2(x, y)の一般解が級数解で次のように表される。
u2(x, y)=∑∞
n=1
{ cn exp
(nπy a
)+dnexp
(−nπy a
)}
sin (nπx
a )
最終的にはまだ使ってない境界条件から積分定数cnとdnが求められるが,その際必要になるのが固有関数の 直交性だ。各自解いてみて欲しい。u1(x, y)の問題も同様に解くことができる。
最後にu3(x, y)の問題の固有値問題は,周囲の零境界条件の下の
∂2f3(x, y)
∂x2 +∂2f3(x, y)
∂y2 =λf3(x, y)
で定式化できるので,一般解が u3(x, y)=∑∞
n=1
∑∞
m=1
cnmsin (nπx
a )
sin (nπy
b
), λnm=−(nπ
a )2
−(nπ b
)2
と求められる。これをu3(x, y)のポテンシャル方程式に代入して固有関数の直交性を利用すれば,積分定数cnm が次のように求められる。
cnm=Gnm λnm
, Gnm≡
∫ a
0
∫ b
0
g(x, y) sin (nπx
a )
sin (nπy
b )
dxdy ここには方針を書いただけなので,各自実際に手を動かして欲しい。
演習問題I-3
5. 次のポテンシャル問題を解け。
∂2u(x, y)
∂x2 +∂2u(x, y)
∂y2 =F(x, y)
∂u
∂x(0, y)=0, ∂u
∂x(a, y)=0, u(x,0)=C(x), u(x,b)=D(x).
I.5 円盤上の熱伝導方程式
I.5.1 極座標系の熱伝導方程式
極座標系のラプラシアンを数学の教科書からコピーすれば,極座標系の波動方程式は
∂2u(r, θ,t)
∂r2 +1 r
∂u(r, θ,t)
∂r + 1 r2
∂2u(r, θ,t)
∂θ2 +g(r, θ,t)= ∂u(r, θ,t)
∂t , 0<r<R0, 0< θ <2π, 0<t (I.50) となる。以下簡単のためにk=1と(無次元化)する。初期条件は
u(r, θ,0)=u0(r, θ) (I.51)
で与えられ,境界条件は
|u(0, θ,t)|<∞, u(R0, θ,t)=0 (I.52a, b) で与えられる。第1式は円盤中央で変なことが起きない条件だ。さらに実はθ方向の連続性も与える必要があ り,例えば次式で与えられる。
u(r,0,t)=u(r,2π,t) (I.53)
I.5.2 円盤上の固有値問題
対応する固有値問題は次式で与えられる。
∂2v(r, θ)
∂r2 +1 r
∂v(r, θ)
∂r + 1 r2
∂2v(r, θ)
∂θ2 =λ v(r, θ) (I.54)
ここでも変数分離法を用いるために
v(r, θ)=R(r)Θ(θ) (I.55)
と置くと,式(I.54)は次のように分解される。
r2d2R dr2 +rdR
dr −λr2R
R =−
d2Θ dθ2
Θ must be =µ(const.)
4 8 12
−0.5 0.5 1
x J0(x)
J1(x)
J2(x) O
4 8 12
−1
−0.5 0.5
x Y0(x)
Y1(x)
Y2(x) O
図I.4 Bessel関数 したがって,まずΘ(θ)については
d2Θ
dθ2 +µΘ =0. となるが,連続条件式(I.53)からは解が2π周期でないといけないから
µ=n2, Θ(θ)∼sinnθ cosnθ (I.56a, b) と求められる。ここにnは0を含む非零の整数だ。
一方,R(r)についての方程式は
r2R′′+rR′−(
n2+λr2)
R=0 (I.57)
となる。プライムはrに関する微分だ。境界条件も
R(R0)=0, |R(0)|<∞ (I.58a, b)
となる。実はλ <0でないといけないことも証明できるのでλ=−β2と置けば r2R′′+r R′+(
β2r2−n2)
R=0 (I.59)
となるが,これは第n次のBessel方程式と呼ばれる。Bessel方程式の解はBessel関数と呼ばれ,形式的に
R(r)=Jn(βr) および Yn(βr) (I.60a, b)
と書かれる。Jn(βr)はn次の第1種Bessel関数で,Yn(βr)はn次の第2種Bessel関数だ。図I.4にその特徴を 示した。
表I.1 第1種のBessel関数の零点
m 1 2 3 · · ·
n=0 (J0) 2.40 5.52 8.65 · · · n=1 (J1) 3.83 7.02 10.2 · · · n=2 (J2) 5.14 8.42 11.6 · · · ... ... ... ... ...
式(I.58b)のようにr = 0で解は有界でないといけなかった
ので,図からも明らかなようにYn(βr)の方は解の候補にはならな い。したがってR(r) = Jn(βr)と求められるので,これを境界条件 式(I.58a)に代入すれば
R(R0)=Jn(βR0)=0 (I.61) でないといけない。図I.4と表I.1を用いると,例えばJ0に対して はβに順に添え字を二つ付けて
βR0≃2.40→β01≡ 2.40
R0 , βR0≃5.52→β02≡ 5.52
R0 , βR0≃8.65→β03≡ 8.65 R0 · · · となり,J1に対しては
βR0≃3.83→β11≡ 3.83
R0 , βR0≃7.02→β12≡ 7.02
R0 , βR0≃10.2→β13≡ 10.2 R0 · · ·