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支配方程式

ドキュメント内 構造と連続体の力学基礎 (ページ 95-98)

A.1.1 運動場の仮定と合応力

z x

z w(x)

u(x)

ux(x,z)

uz(x,z)

B A

−w(x) γ(x) n

ϑ(x)

図A.1 Timoshenko梁の運動場 第4章では,梁の軸線と断面の直交性が変形後も

保持されるという,いわゆるBernoulli-Euler梁の定 式化をした。その仮定の範囲内で求められる直応力 とつり合うせん断応力が放物線分布することは,第

4.6.1節で示した通りで,しかもそれは平面問題の解

式(3.199b)とも整合していた。より(連続体力学と

して)正確な梁理論を求めたければ,この放物線分 布に対応するせん断変形を予め考慮して梁理論の定 式化をし直せばいいが,ここではもっと簡便な古典 的理論を誘導する。なおこの章では簡単のために括 弧無しの太字で行列を表している。

その理論はTimoshenko梁理論と呼ばれ,

Bernoul-li-Eulerの仮定を緩め,ある断面には一様なせん断変

形が発生すると仮定する。すなわち基本的な仮定のうちの式(4.2)の代わりに

xz(x,z)=γ(x) (A.1)

を前提とする。ただ,梁理論では梁の上下面には直接外力が作用することは無いので,せん断ひずみもそこで 零にならなければならないことを踏まえると,この断面内一様な(zの関数ではない)せん断ひずみ分布は容 認できない。しかしせん断変形は細長い梁にとっては2次的なものであり,この程度の差異について別途調整

(後述のktの導入)ができるなら,これで簡便でかつ精度のいいモデルが構築できると考えられる。

この仮定に従って梁の運動を記述したのが図A.1である。図から明らかなように,断面内任意点のx,z方向 変位成分は微小変位の範囲内で,これも式(4.3)の代わりに

ux(x,z)=u(x)+zϑ(x), uz(x,z)=w(x) (A.2a, b) となる。ここにϑ(x)は軸のたわみ角ではなく断面の回転角を表している。式(A.1)左辺に式(3.6)のひずみ変 位関係を用いて式(A.2)を代入すると

xz(x,z)=ϑ(x)+w(x)=γ(x) → ϑ=−w+γ (A.3)

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という関係を得る。ここにプライムはxに関する微分を表す。つまり,式(4.4)のθに代わるϑはたわみ角−w には一致せず,せん断変形分のγだけずれる。以上より伸びひずみは

ϵxx(x, y,z)=u+zϑ=u+z−w′′) (A.4) となる。

直応力は1次元のHookeの法則式(3.183a)に,せん断応力はHookeの法則式(3.46)に従うものとすれば,

以上のひずみ成分をそれに代入することによって σxx=Eϵxx=E {

u+z(

γ−w′′)}

, σxz=2Gϵxz=Gγ (A.5a, b) となる。ここにEGはそれぞれYoung率とせん断弾性係数である。x軸が図心を通るように選べば,これ を用いて断面に発生する合応力は

N(x)

A

σxxdA=EA u, M(x)

A

zσxxdA=EI−w′′)=EIϑ, V(x)

A

σxzdA=GktAγ (A.6a, b, c) と定義され,変位と関係付けられる。ただし簡単のために均質材料でできた等断面の梁とした。また,せん断 力の定義式(A.6c)のktはその定義通りなら1になるはずだが,前述のように本来一様ではない断面内のせん 断変形を一様な場γ(x)で近似したことを補正するために導入された係数で,断面形状とPoisson比に依存[17]

する。例えば

kt(円形断面)=6(1+ν)

7+6ν , kt(矩形断面)= 10(1+ν)

12+11ν (A.7a, b)

といった値を持つ。ちなみに,文献[17]の誘導からも明らかなように,第4.6.1 (1)節の最後で求めたせん断応 力の最大値と平均値の関係を表す係数(矩形の場合の3/2)とは全く関係無いことには注意すること。

A.1.2 つり合い式と境界条件

つり合い式と境界条件は第4.9節と同様,3次元の仮想仕事式に前節の変位場・ひずみ場と断面力の定義と を代入すれば求めることができる。式(A.2)の変位場と式(A.3) (A.4)のひずみ場の変分は

δuxu+zδϑ, δuz=δw, δϵxxu+zδϑ, 2δϵxz=δϑ+δw と表される。Bernoulli-Euler梁とは異なりせん断成分もあるので,内力仮想仕事項は

V

xxδϵxx+2σxzδϵxz) dV =

0

{∫

A

σxxu+zδϑ)+σxz(δϑ+δw)} dAdx となる。こにれ式(A.6)で定義した断面力を用いると

=

0

{Nδu+Mδϑ+V(

δϑ+δw)}

dx と書くことができるので,部分積分すると

=[Nδu+Mδϑ+Vδw]0

0

{Nδu+( MV)

δϑ+Vδw} dx を得る。あるいは式(4.26)の記号を用いると

=ni[Nδu+Mδϑ+Vδw]x=0,ℓ

0

{Nδu+(

MV)δϑ+Vδw}

dx (A.8)

とも表すことができる。

体積力と表面力による仮想仕事項については,Bernoulli-Euler梁の対応する項におけるたわみ角−wを断面 の回転角ϑに置き換えるだけでいいので,それぞれ

0

(pδu+mδϑ+qδw) dx, [Fiδu+Ciδϑ+Siδw]x=0,ℓ (A.9a, b) と書くことができる。以上の式(A.8) (A.9)をすべて結合すると,Timoshenko梁の仮想仕事式は

[(niNFiu+(niVSi)δw+(niMCi)δϑ]x=0,ℓ

0

[(N+pu+(

MV+m)δϑ+(

V+q)δw]

dx=0 (A.10)

のように表現できる。したがって断面力で表したつり合い式は

N+p=0, V+q=0, MV+m=0 (A.11a, b, c) と表される。以下分布モーメント外力mは無視する。さらに境界条件は

{u=ui あるいは niN=Fi

}, {

w=wi あるいは niV=Si

}, {

ϑ=ϑi あるいは niM=Ci

} (A.12a, b, c) となる。ここにniは式(4.26)で定義した記号であり,ui等は端部で与える変位量である。たわみ角の境界条 件を除けば他はBernoulli-Euler梁の式(4.25)と同じである。ここではせん断変形を許しているので,梁の中間 載荷点等では軸線が滑らかでたわみ角が連続するとは限らないが,その代わり断面の回転角ϑは連続しなけれ ば連続体としての梁の連続性は失われてしまう。したがって,モーメントの境界条件に対応する変位の境界条 件はたわみ角の代わりにϑを与える条件で与えられなければならないのである。つまり回転角についての境界 条件については,γそのものや−wを与えるようなことはできないし,この2者が中間載荷点や中間支点で連 続になる必要も無いことには十分注意する必要がある。

A.1.3 たわみで表した支配方程式

前節で示したように,軸方向の問題は初等梁理論のそれと同じなので,以下では曲げ問題のみを扱う。不静 定構造を解くことを念頭に置いて,曲げ問題の支配方程式と境界条件式をたわみw(x)で表しておく。式(A.6) を式(A.11) (A.12)に代入し,式(A.3)を考慮してγとϑを消去すると,つり合い式は

EIw′′′′+q−αtq′′=0 (A.13)

となり,境界条件式(A.12)は

w=wi あるいは ni

{−EIw′′′−αtq}

=Si, (A.14a)

−w−αt (

w′′′t q EI )

i あるいは ni{−EIw′′−αtq}=Ci (A.14b) と表される。ここに

αtEI

GktA =ℓ2αt, αtE

G(λt)2, λt≡ ℓ

I/(ktA)

(A.15a, b, c) と定義した。λtはTimoshenko梁の細長さの特性を表す一種の細長比である。構造力学公式集の中にはkt

のPoisson比を無視したものもあるので,ここでも幾何量である細長比λtの方に組み込んである。G → ∞の

極限でαt→0およびαt→0になり,上式はすべて初等梁理論の支配方程式に一致する。

式(4.88)には両端単純支持の静定梁の中央における解を示したが,左半分の任意点のたわみは w(x)=− P

12EI x3+ P2

16EI x+ P

2GktAx (A.16)

となる。このときせん断変形γ(x)は

γ(x)= P

2GktA (A.17)

なので,上式第3項がこのせん断変形によるたわみ成分であることがわかる。当然前2項がBernoulli-Euler梁 の解である。また等分布外力qが作用した両端単純支持梁の場合は

w(x)= q

24EI x(x−ℓ)(

x2−ℓx−ℓ2) + q

2GktAx(ℓ−x) (A.18)

となるが,この場合のせん断変形は

γ(x)=− q GktA

( x−ℓ

2 )

(A.19) となることから,せん断変形によるたわみ成分wshear(x)は

wshear(x)=

x

0

γ(ξ) dξ (A.20)

で求めることができ,果たして上式(A.18)の第2項に一致する。

次に不静定梁の例として両端固定梁を解いておこう。まず中央に集中外力Pが作用した場合の左半分のたわ みは

w(x)=− P

12EI x3+ P

16EI x2+ P

2GktAx (A.21)

となる。このときのせん断変形γ(x)は両端単純支持梁と同じなので,上式第3項がこのせん断変形によるたわ

み成分wshear(x)であることがわかる。また等分布外力qが作用した場合の解は

w(x)= q

24EI x2(ℓ−x)2+ q

2GktAx(ℓ−x) (A.22)

となる。第1項がBernoulli-Euler梁の曲げの解であり,第2項がせん断変形によるたわみwshear(x)である。

最後に右端を∆だけ強制的にたわませた場合の解を求めてみると w(x)= ∆ 1

3 x2(3ℓ−2x)+ ∆ 12αt

3(1+12αt)x(ℓ−2x) (ℓ−x) (A.23) となり,これも曲げ成分とせん断成分に分解表示が可能になっている。せん断によるたわみ成分は両端と中央 では生じていないのは興味深い。というのも,せん断変形とせん断力は

γ= 12αt

ℓ(1+12αt), V= 12EI∆

3(1+12αt) =12EI∆ ℓ3

(

1− 12αt 1+12αt

)

(A.24a, b) と一定になっているからだ。ただしこの場合には,せん断変形の影響の仕方は前の例のようなαt倍という形で はなく,12αt/(1+12αt)という影響係数で支配されていることは覚えておいて欲しい。

ドキュメント内 構造と連続体の力学基礎 (ページ 95-98)