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極座標系における物理成分

ドキュメント内 構造と連続体の力学基礎 (ページ 140-143)

G MEMORANDUM H

C.4 極座標系における物理成分

注意して欲しいのは,例えば図C.1の斜交座標のときの基底ベクトルgiが式(C.9)で示したように単位量で はないこと等である。つまり,基底ベクトルを含むテンソル自体,例えばu =uigiそのものが物理量なのは間 違い無いが,その成分uiは必ずしも物理的な量だとは限らないということになるのだ。そこで,極座標(ξ1 = r,ξ2=θ,ξ3=z)の場合の各量を文献[26]から引用して列挙してみよう。まず基底ベクトルが

gr=i1 cosθ+i2 sinθ, gθ=−i1r sinθ+i2r cosθ (C.23a, b) となる。このgθが長さの次元を持っていることには注意すること。これから計量テンソル成分は

grr =1, gθθ=r2, grr =1, gθθ= 1

r2 (C.24a, b, c, d)

であり,Christoffelの記号が

Γrθθ =r, Γθθr=−r, Γrθθ=−r, Γθrθ=1

r (C.25a, b, c, d)

と表される。これを用いて応力表示のつり合い式σjij+ fi=0を誘導すると次のようになる。

∂σrr

rrr r +∂σrθ

∂θ −rσθθ+∂σrz

z +fr=0, (C.26a)

∂σrθ

r +3σrθ r +∂σθθ

∂θ +∂σθz

z +fθ=0, (C.26b)

∂σrz

rrz r +∂σzθ

∂θ +∂σzz

z +fz=0 (C.26c)

ここにfr, fθはそれぞれgr,gθ方向の体積力である。ただし,ここの応力テンソルや体積力ベクトルの成分は grとgθ方向の成分であり,特に後者の基底ベクトルは式(C.23)からも明らかなように長さの次元を持ってい ることから,この成分が必ずしも物理的な応力の成分にはなっていないことに注意が必要だ。そこで,それを 調整した物理的な成分を,基底ベクトルの大きさと単位を念頭に置いて

τrr ≡σrr, τrθrσrθ, τθθr2σθθ, τzz≡σzz, τrz≡σrz, τθzrσθz, qrfr, qθr fθ, qzfz (C.27a, b, c, d, e, f, g, h, i)

のように定義して上式を書き直すと

∂τrr

r +1 r

∂τrθ

∂θ +τrr−τθθ r +∂τrz

z +qr=0, (C.28a)

∂τrθ

r +2τrθ r +1

r

∂τθθ

∂θ +∂τθz

z +qθ=0, (C.28b)

∂τrz

rrz r +1

r

∂τzθ

∂θ +∂τzz

z +qz=0 (C.28c)

となり,これは物理的な量で表されたよく知られたつり合い式である。

また変位勾配は ur|r= ∂ur

r , ur|θ=∂ur

∂θ −r uθ, uθr =∂uθ

r +1

ruθ, uθθ= ∂uθ

∂θ +1

rur (C.29a, b, c, d) となるので,物理成分uを

vrur, vθr uθ (C.30a, b)

と定義すると,上式は ur|r= ∂vr

r , ur|θ= ∂vr

∂θ −vθ, uθr= ∂

r (vθ

r )

+ 1

r2vθ, uθθ= 1 r

∂vθ

∂θ +1

rvr (C.31a, b, c, d) に変換される。上の応力成分とスカラー(仕事)を通して対になるべきひずみ成分ϵi jを求めるために,計量テ ンソルを用いると

ur|r=grr ur|r= ∂vr

r, ur|θ=grr ur|θ= ∂vr

∂θ −vθ, uθ|r =gθθuθr=r∂vθ

r , uθ|θ=gθθ uθθ=r2 (1

r

∂vθ

∂θ +1 rvr

) (C.32a, b, c, d) と変換できるので,ひずみテンソル成分は

ϵrr =∂vr

r , 2ϵrθ=r

{1

r

ur

∂θ +∂vθ

r −1 rvθ

}

, ϵθθ=r2 (1

r

∂vθ

∂θ +1 rvr

)

(C.33a, b, c) と求められる。一方,式(C.23)と対になる基底の組は

gr=i1 cosθ+i2 sinθ, gθ=−i1

1

r sinθ+i2

1

r cosθ (C.34a, b)

なので,ひずみテンソル成分の物理成分εi j

εrrrr, εrθ=1

rϵrθ, εrr= 1

r2ϵθθ (C.35a, b, c)

と定義できる。したがって最終的に,ひずみの物理成分が εrr =∂vr

r , εrθ= 1 2

(1 r

ur

∂θ +∂vθ

r −1 rvθ

)

, εθθ= 1 r

∂vθ

∂θ +1

rvr (C.36a, b, c) と求められる。z方向成分については直角座標系とほぼ同様で

εzz =∂vz

z, εrz =1 2

(∂vr

z +∂vz

r )

, εθz= 1 2

(∂vθ

z +1 r

∂vz

∂θ )

(C.37a, b, c) となる。

このようにテンソル(数学)成分と物理成分は必ずしも一致しない。したがって,特に構成方程式を

σi j=Ci jklϵkl (C.38)

とモデル化したときの係数Cは物理的に意味を持たなければならないことにも十分注意しなければならない。

多分そのとき,適切な材料モデルであれば,上式のような数学的関係(テンソル方程式)も美しくなるし,同 時に

τi j=Ci jklεkl (C.39)

と表した物理的関係式(テンソル方程式ではない)も美しくなるのではないだろうかと想像するが,どうだろ う。一般的な曲線座標系でシェル理論を構築しようとしたときの難しさにちょっとだけ触れることができたと 思う。文献[101]では構造力学も含めて正確なテンソル表記が使われているので参考にして欲しい。

‘headquarter:’ 第1著者が在職中の帰省時に市営プール前バス停付近にある

道路標識には,一時,県警本部の英語名にこう記載されていた。インター ネットを通して(最初は間違って交通安全協会に)建設省(当時)に注意の メイルを送っておいたところ,数年してようやく‘s’が付いた。それにして も,一人のための一宿所‘quarters’(StarTrek1中の会話からの推量)であっ ても複数形を用いるのはなぜだろう。英語はやっぱり難しい。

‘Close.’ 国内では長年にわたり,既に閉店したドアに「閉じろ」という表示

が絶えない。なんと,某大学工学部教務事務の入り口ドアでも同じ状況であ る。ちょっと恥ずかしい。英文法の教育が徹底している現状であってもこれ である。ある発表会では既に‘choice’を動詞に使う日本人学生は多数だ。昨 今は,会話等の「使える英語」教育の必要性が叫ばれているが,そのうち,

米国映画に出てくるある種の人達が使う,例えば‘He don’t know nothing,

you know!’といった英語をスラスラしゃべることができる日本人が増えてく

るのであろう。この国の英語教育の将来が実に楽しみである。

1tmParamount Pictures.

破壊力学はどうしても好きになれない

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