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検証結果の考察

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7−1  各研究(知見)の関係     

以上のように、本論文の実証は3つの研究(研究1:第4章、研究2:第5章、研究3:   

第6章)から構成される。この章では、これら3つの実証研究から得られた知見に関する    考察と、それぞれの相互関係を示す(図表7−1)。   

(図表7−1)各研究の知見   

研究1では、まず、M &Aや提携の目的のなかでコスト低減が重要な意味を持つことを示し    た。その上で、企業間関係の構築を通じたコスト低減効果が、当該企業を取り巻く環境条    件、及び、低減対象となったコストの種類によって影響される可能性を質問紙調査データ    のカイ2乗検定によって検証した。研究2では、財務状況の好ましさ・環境条件・低減対    象コストの関係性について、研究1で分析対象にしなかった企業間関係の非構築企業を含    めた検証を実施した。ここでは、経済企画庁の実施した企業行動アンケート調査のデータ    を対数線形モデルを用いて分析した。研究3では、企業間関係構築によるコスト低減・経   

営上のパフォーマンス・財務指標の改善効果の3つの変数間の因果関係を典分散構造分析   

によって検証した。ここでは、研究1・研究2では実施しなかった企業間関係の構築前と    後の財務数値の変化を取り上げ、企業間関係構築によるコスト低減と会計上の効果との関   

係を考察した。   

7−2  研究1の検証結束に関する考察     

研究1の前半では、わが国の製造業における企業間関係構築にはコスト低減を目的とす   

る場合が存在し、コスト低減を、企業間関係構築を通じて行うときには、当該企業の成長    性と低減対象コストには一定の関係性が存在することを示した。   

1990年代の日本の製造業に関しては、「市場の拡大」、「研究開発力の強化」、i コスト低    減」がM&Aや提携による外部資源の獲得の主要目的になっている場合が多く観察された。   

このうちコスト低減を目的とする企業間関係構築では、業種によって低減対象コストが異    なり、成長力のある産業は上流コスト、成長力の低い企業は下流コストを低減対象とする    傾向がみられた。この傾向は、提携に比べてM&Aでより明瞭であった。また、企業間関係     

の構築によりコスト低減効果が生じたと認識する企業が出現する程度は、提携よりもM&A      が高かった。このように、コスト低減を目的とする企業間関係の構築に関して、市場の成      長性と低減対象となるコストの種類、企業間関係構築の効果の間に因果性を推定できた。     

そこで研究1の後半では、質問紙調査で得られたデータを用いて、この因果性を検証した。     

その結果、企業間関係の構築によって達成される企業パフォーマンスは、M&Aと提携では異    なる分野で発揮される傾向が観察された。ここでは、主要事業に係る市場の成長性が高い企    業は、提携よりもM&Aを実施した場合の方がコスト低減効果を得られ易く、研究開発効果と    市場拡大効果はM&Aよりも提携から得られ易いことが示唆された。     

コスト低減効果に関しては、M&Aの場合、成長市場に属する企業が中流コストを低減対象   

にするとコスト低減効果が生じる可能性が高かった。このことは、企業間関係構築によって      コスト構造の改善を図るには、相手企業の価値連鎖を自社の価値連鎖に再編・統合するのに      有利な組織統合の手法を採用することが効果的であることを示唆している。     

提携の場合については、成長ないしは成熟市場に属する企業が中流コストを低減対卑とす    る場合にコスト低減効果が生じる可能性を観測したが、この程度はM&Aの場合に比べると弱      い傾向にあった。   

M&Aと提携を組織統合力の強弱で比較すると、前者は双方の企業の価値連鎖やコスト構造     

の統合・管理に関して、提携よりも強い支配力・影響力を有する。鵬方、提携は組織統合      に関する影響力はM&Aに比べて強くはないが、相手企業の経営資源を利用するには、迅速      性や柔軟性の面で優れている。それゆえ、研究開発や市場対応などの相手企業の経営資源      の迅速な導入が業績に直結するような分野で提携の効果が観察されたものと判断できる。   

さらに、企業間関係を構築する企業どうしは、類似した環境条件を有する場合が多く、     

そうした条件を満たす結合がなされる場合にはコスト低減効果などのパフォーマンスが高      くなる傾向にあった。ここからは、企業間関係の構築に際しての不確実性を少なく出来る      ほど、そこから得られるパフォーマンスも高くなることが示唆されている。   

以上の知見から、次のことがいえる。まず、M&Aや提携によって外部経営資源の導入を図    る場合、その目的(コスト低減、研究開発、市場拡大)に応じた関係構築、すなわちM&A      か提携の選択を行う必要がある。相手企業の価値連鎖に踏み込んだ統合が重要ならばM&A、     

相手企業の資源導入に迅速性を求めるならば提携が効果的である。また、コスト低減に関      しては、主要事業に係る市場の成長の程度も判断材料として重要であり、かつ、低減対象      コストの選択も企業間関係構築の成否に影響する。また、類似した環境条件を有する企業      どうしの結合は、高いパフォーマンスに結びつく可能性が期待できる。   

7−3  研究2の検証結果に関する考察   

研究2では、M&A・提携を実施した企業■ しなかった企業の対比と、企業間関係構築はコ      スト効果だけに止まるのか財務状況まで影響するのかについての分析を行った。     

ここでは、財務状況・市場環境・低減対象コスト・企業間関係の態様、の4変数間の関    係性を検証した。これは、第4章で残された課題、すなわち、企業間関係の非構築企業と    構築企業の差、及び、企業間関係構築によるコスト低減と財務業績との関係性の存否につ    いての知見を得るための実証である。   

実証の結果、成熟市場に属する企業が中流コストの低減とM &Aを実施した場合に、好ま    しい財務状況との有意な交互作用を観測した。また、成熟市場に属する企業が中流コスト    の低減と提携を実施した場合にも、好ましい財務状況との有意な交互作用を観測した。     

っまり、M &A、提携ともに、好ましい財務状況との関係性が推定されたコスト低減の形態    は、低減対象コストを中流に設定し、かつ、当該企業の市場環境が成熟である場合に限られ   

た。それ以外の変数の組合せからは、有意な関係性を観察できなかった。     

特に、低減対象コストが中流に設定される場合に有意な関係性が研究1と同様に観癒さ    れたことについては、製造コストなどの中流コストは製造業におけるコスト構造のなかで主    要な部分を構成するので、低減努力の結果が現れやすいためと判断できる。     

一方、財務状況のデータはM &A、捷携ともに1999年時点のものであるが、好ましい財務   

状況と有意な交互作用が観察された幌Aの実施年は1995〜99年、提携の場合は19リ3・〜9/   

年となっている。すなわち、他Aの方が提携よりも、財務状況への反応速度が速い可能性が   

示唆される。     

以上のように、当該企業が置かれた市場環境によっては、企業間関係の構築によるコス    ト低減が好ましい財務状況と結びつく可能性を否定できないという知見が得られた。この   

知見に鑑みると、M &Aないしは提携を通じてコスト低減を実現して損益ベレスの財務状況の    改善を図るという意思決定を行う場合、当該企業の置かれた市場環境を詳細に分析し、自    社を取り巻く環境条件に十分に目を配ることが重要である。同時に、低減対象となるコス     

トの種類に表徴されるコスト低減のターゲットの明確化が必要である。   

7−4  研究3の検証結果に関する考察     

研究3は、企業間関係構築によるコスト低減が財務データに及ぼす影響の検証を主な目    的としている。これは、研究1及び研究2では、M&Aや提携によるコスト低減が財務業績に     

影響するか否かについての検証が、残された課題となっていたためである。     

ただし、企業間関係構築によるコスト低減が財務業績に結びつくとは限らないことから、   

「コスト低減」と「財務数値の変化」の間の因果関係に、M&Aや提携の目標達成度(経営上    のパフォーマンス)を変数として介在させた。これにより、企業間関係構築の効果に対し    て、質問紙調査による主観的評価と財務データによる客観的評価の差異を測定した。     

ここでは、企業間関係の構築形態をM&Aと提携に分類した上で、それぞれにおけるコス    ト低減精勤、研究開発活動、市場拡大活動が経営上のパフォーマンスや公表財務諸表の改   

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