第5章 小売業ブランド・コミュニティが 顧客ロイヤルティの結果行動におよぼす効果
5.6. 本章の小括
107 ティ同一性を効率的に高められる。
本研究において、コミュニティ・マーケティング活動の口コミ行動促進モデルを検証したことに より、企業がコミュニティ支援活動やユーザビリティの改善を行うことで、コミュニティ同一性が 高まり、それに連動して態度的ロイヤルティおよび行動的ロイヤルティが高まって、これまで以上 の口コミ行動が促進されるというプラスのスパイラルが生じることが明らかになった。ブランド・
コミュニティを立ち上げた企業は、コミュニティが活性化するよう、常にフォローしていくことで プラスのスパイラルを構築することができる。
(2) メンバー間相互作用の果たす役割
本章は、メンバー間相互作用重視度が低いブランド・コミュニティではコミュニティ支援活動の 方がオンライン・コミュニティ・ユーザビリティより大きな影響を与えていることを明らかにした。
オンライン・コミュニティを運営する小売業は、自社のメンバー間相互作用の活性化度合いに応じ て、活性化していないようであればこれまで以上にコミュニティ支援活動を積極的に行うことが有 効になる。また、メンバー間相互作用重視度が高いブランド・コミュニティでは低いブランド・コ ミュニティより、コミュニティ同一性が態度的ロイヤルティに与える影響が大きいことも明らかに なった。ブランド・コミュニティはメンバー間相互作用が活性化している方が望ましため、オンラ インやオフラインでイベントを行うなど、メンバー間相互作用が活性化するきっかけづくりや場の 提供を行う必要がある。
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が態度的ロイヤルティに与える影響が大きいため、ブランド・コミュニティは活性化されているこ とが望ましい。ブランド・コミュニティ活性化のためのマーケティング活動も併せて重視していく 必要がある。また、本章では、どのようなコミュニティ支援活動やオンライン・コミュニティ・ユー ザビリティ向上策が有効になるのかを、具体的なレベルで示した点で貢献度が高いと考える。ブラ ンド・コミュニティを運営する小売業は、本研究で示した具体的な対策に取り組むことでコミュニ ティ同一性および顧客ロイヤルティを高めることが期待される。
本章の二つの分析結果から、顧客ロイヤルティ(特に感情的ロイヤルティ)が高まるとブランド・
コミュニティに参加しやすくなり、ブランド・コミュニティ運営会社からの適切なマーケティング 活動を通じてブランド・コミュニティでの活動が活発になると、態度的ロイヤルティおよび行動的 ロイヤルティが高まり、さらなる口コミ行動を引き起こすという、口コミ行動のプラスのスパイラ ルが発生することとなる。小売業はブランド・コミュニティの場をつくり、その場が適切に活性化 するようマーケティング努力を行うことで顧客ロイヤルティの向上並びに口コミ行動のさらなる活 性化等の企業にとって望ましい顧客ロイヤルティの結果行動を導き出せるようになる。
5.6.2. 今後の課題
ブランド・コミュニティの参加要因分析の課題としては、はじめに、食品スーパーの二項ロジス ティック回帰分析の適合度が極めて低かったことが挙げられる。高い顧客ロイヤルティを持つ小売 ブランドとして、食品スーパーを挙げた回答数は3,484サンプルあり、全小売業態の中で最も多かっ た。しかし、ブランド・コミュニティ参加者は562サンプルで、参加率は16.1%となり、他の小売 業態と比較して最も低かった80 。その原因として、食品スーパーがブランド・コミュニティを立ち 上げていないこと、もしくはブランド・コミュニティが十分に認知されていないことが挙げられる。
食品スーパーが今後、ブランド・コミュニティを立ち上げ、その存在をアピールしていくことで、
食品スーパーのブランド・コミュニティ参加モデルの適合度が高まっていくと考える。また、食品 スーパー81をさらに高級食品スーパーと通常食品スーパーに分類するなどの細分化によっても適合 度が高まる可能性がある。
業態別分析において、ディスカウントストア、ショッピングセンター、ドラッグストアは、デー タ数の少なさやCFA の適合度指標の低さなどを原因として分析対象外とした。この点も、今後の 課題として挙げられる。今後、小売業のブランド・コミュニティが増え、その参加者が増加するこ とにより、本研究で分析できなかった業態についても分析ができるようになると考える。
van Doorn et al. (2010)やDholakia et al. (2004)が言及している消費者の消費目的もブランド・
コミュニティ参加や活性化に影響を及ぼしていると考えられる。本研究でも消費目的を説明変数と して検討したが、本研究が小売業横断的な調査で、様々な形態が多岐にわたっているため、有意な 要素として抽出できなかった。今後は、調査対象を絞り込むことにより、消費目的の影響を検証し ていく必要がある。
ブランド・コミュニティ参加後の態度・行動分析の課題としては、まだ小売業のコミュニティが 十分に消費者に浸透していないために、コミュニティ参加者のデータが十分に集められず、小売業 態別の分析を行えなかった点が挙げられる。今後、小売業コミュニティが浸透していく過程でデー タを十分に集められるようになれば、ブランド・コミュニティ参加後の態度・行動分析についても 業態間の違いを検討できるようになると考える。また、本章の調査が一時点の調査であることも課
80 図表5-10参照。
81 食品スーパーの研究については水野 (2009)が詳しい。関スパ方式をベースに食品小売業発展の経緯を詳しく解説している。
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題である。ブランド・コミュニティや小売ブランドに対する態度を時系列で、あるいは、少なくと も二時点で測定し、時点間の顧客のブランド・コミュニティ活動量が、ブランド・コミュニティや 小売ブランドの態度の向上にどのくらいの影響を与えるのかを検討することも興味深いテーマであ る。
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