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マ ルチナビゲータ システム に基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

第 4 章 幾何ラ ン ド マーク を 併用し た分散制御に基づく 磁気ナビゲーショ ン 法 37

4.3 マ ルチナビゲータ システム に基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

4.3.1 自律移動に用いる データ ベース

本手法では, 自律走行を 行う 経路にて 一度ロ ボッ ト を 手動で走行さ せ, その際に得ら れた セン サデータ を 基に自律移動を 行う . データ ベースの構成はTable 4.1に示すよ う になっ て いる . 走行距離と その地点を 通過し た際のロ ボッ ト の姿勢θに従っ て , 磁気セン サの観測値 m, およ び幾何情報gが記録さ れて いる . なお, 走行距離と 姿勢はオド メ ト リ によ っ て 推定 さ れた値を そのま ま 使用し , 幾何情報について は後述する . 前章において 述べた, 磁気ナビ ゲーショ ン 法において 用いた磁場地図と 違い, ロ ボッ ト の姿勢に関する 情報も 含んでいる こ と に注意さ れたい. 姿勢の情報が含ま れる 理由について も 後述する .

4.3.2 マルチナビゲータ システム

本研究において は, ロ ボッ ト に経路追従を 行わせる 制御モジュ ールを ナビゲータ と 定義し て いる . こ のナビゲータ が複数存在し , それぞれが異なる セン サ情報に基づき 経路追従を 行 う . こ れを 実現する ために実装し たシステムの概略図を Fig. 4.1に示す. 各ナビゲータ が制 御入力や加減速時間など のパラ メ ータ を 出力し , ま た同時に優先度を 出力する . こ れら の出 力は共有メ モリ に集めら れ, すべて のナビゲータ が互いの状況を 把握する こ と ができ る . そ し て , 速度管理モジュ ールが優先度や加減速時間を 考慮し な がら 実際の制御入力を 決定し , アク チュ エータ を 駆動さ せる .

4.3 マルチナビゲータ システムに基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

Table 4.1: Topological magnetic and geometric maps Travel Heading Magnetic Geometric distance direction informationM informationG

d0 θ0 m0 g0

d1 θ1 m1 g1

... ... ... ...

dn θn mn gn

... ... ... ...

Fig. 4.1: Multi-navigator system [46]

4.3 マルチナビゲータ システムに基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

オド メ ト リ に基づく ナビゲータ

今, 時刻tにおいて 自己位置(走行距離)推定を 行っ た結果, ロ ボッ ト はn番目のノ ード に存在し , 姿勢がθtである と 推定さ れたと する . 以下の議論において は, ロ ボッ ト の状態 はすべて こ の通り である と 仮定し , ま た, 自己位置推定法において は後述する . こ のと き , オド メ ト リ に基づく ナビゲータ は, 以下の偏差eoを 零にする よ う に角速度を 制御する .

eon−θt (4.1)

オド メ ト リ に基づく ナビゲータ は, 姿勢推定の結果に基づいて 走行制御を 行う . そのため,

データ ベースにロ ボッ ト の姿勢を 記録し て いる .

幾何情報に基づく ナビゲータ

本手法において 用いる 幾何情報の取得方法を 示し た図を Fig. 4.2に示す. ロ ボッ ト 前方に 搭載さ れたLIDARに対し て , 距離r, 角度αの観測範囲を 左右に設定する . こ の範囲に存 在する 障害物ま での最小の垂直距離を , 左右それぞれgl, grと し , こ の2つの値を 幾何情報 と し て 使用する . データ ベースの構築時にも 同様の観測を 行い, n番目のノ ード に記録さ れ る 幾何情報gnを (gl, gr)T と 定める . なお, 周囲に障害物が存在せず, 幾何情報が得ら れな かっ た場合には, こ れら の情報は利用さ れな く な る .

Fig. 4.2: Geometric landmark observation [46]

今, 時刻tにおいて 幾何情報と し てgl,t, gr,tを 観測し て いたと き , 幾何情報に基づく ナビ ゲータ は, 以下の偏差egの各成分を 零にする よ う に角速度を 制御する .

eg = (eo, −gl,n+gl,t, gr,n−gr,t)T (4.2) 幾何情報に 基づく ナビゲータ は位置推定の結果を 補正する よ う に 走行制御を 行う ため, ロ ボッ ト の姿勢に関する 偏差も 成分と し て 含むこ と と し て いる . なお, 通常の幾何ラ ン ド マ ー

4.3 マルチナビゲータ システムに基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

ク を 用いて 自己位置推定を 行う 方法では, 幾何ラ ン ド マーク を 用いてロ ボッ ト の状態を 推定 する . 一方で提案手法では, 幾何ラ ン ド マ ーク を 用いて経路追従のための速度指令を 決定す る こ と で位置の補正を 行う . 前述の通り , こ れは磁場を 用いた自己位置推定法によ り , おお ま かな位置認識が行える こ と を 仮定し , そこ から 幾何ラ ン ド マーク を 併用し て正確に位置補 正を 行う こ と を 狙いと し て いる ためである .

磁場情報に基づく ナビゲータ

ロ ボッ ト は平坦な地面を 移動する と 仮定し , 磁気セン サは地面と 水平面の磁場方位と セン サの成す角mθを 観測でき る も のと する . 今, 時刻tにおいて , 磁気セン サがmθ,tを 観測し て いたと き , 磁場情報に基づく ナビゲータ は, 以下の偏差emを 零にする よ う に角速度を 制 御する .

em =mθ,n−mθ,t (4.3)

磁場情報に基づく ナビゲータ は, 姿勢推定の結果に関わら ず, 磁場方位を 用いて 姿勢修正の みを 行いな がら 走行制御を 行う . 前章で述べたRahokら によ っ て 提案さ れた磁気ナビゲー ショ ン 法と は異なり , 提案手法では, 指定経路の左右の磁場情報, およ び走行制御を 行う 際 に使用する パラ メ ータ が存在し な い(式(3.2)). そのため, 地面と 水平面の磁場方位のみを 用いて ロ ボッ ト を 制御する こ と と し て いる .

磁場およ び幾何情報に基づく ナビゲータ

磁場およ び幾何情報に基づく ナビゲータ は, 上述の2種類のナビゲータ を 組み合わせたも のと な る . そのため, 以下の偏差egmを 零にする よ う に角速度を 制御する .

egm= (em, −gl,n+gl,t, gr,n−gr,t)T (4.4)

優先度設定

優先度は, 事前に各ナビゲータ に一定の値を 与え , セン サの観測値が有効と 判断さ れた場 合にその値, そう でない場合には0と する . なお, 優先度の最も 高いナビゲータ によ る 速度 指令が, 実際に採用さ れる 速度指令と なる . すなわち , 各ナビゲータ に初期に与える 優先度,

およ びセン サの観測値を 有効と 判断する ための条件設定が, 提案手法によ る ナビゲーショ ン の精度に関わる 重要な要素と なる . こ れら の設定は, 以下に示す経験則的なルールによ っ て 与え る も のと する .

4.3 マルチナビゲータ システムに基づく 磁気ナビゲーショ ン 法

ま ず初期に与え る 優先度に関し ては, 経路追従能力の高いナビゲータ 程, 高い優先度を 与 え る こ と と する . すなわち , 常にセン サの観測値が有効と 判断さ れる 場合において , 最も 経 路追従精度が高いナビゲータ の優先度を 高く する . ま ず, 磁場およ び幾何情報に基づく ナビ ゲータ は, 2種類のセン サ情報を 用いて 補正を 行う ため, 最も 経路追従の精度が高く なる と いえ る . そのため, こ のナビゲータ の優先度を 最も 高く 設定する . オド メ ト リ に基づく ナビ ゲータ は, 外界の情報を 用いて ロ ボッ ト の位置誤差を 修正する こ と ができ ないため, こ のナ ビゲータ の優先度は最も 低く 設定する .

幾何情報に 基づく ナビゲータ は, 外界の幾何的配置を 考慮し た補正を 行う こ と ができ る ため, 経路追従精度が高く なる よ う に思え る . し かし ながら , 提案手法の実装のアイ ディ ア は, Fig. 1.2に示すアイ ディ アに基づいて いる . 幾何情報に基づく ナビゲータ は, オド メ ト リ に基づく ナビゲータ を 補正し ながら 走行さ せる も のである ため, 位置認識が曖昧な状態で 補正を 行う こ と と なる . そのため, う ま く 幾何情報が利用でき ない場合には, 容易に経路か ら 逸脱し て し ま う 可能性が高く なる . その一方で, 磁場情報に基づく ナビゲータ は, 幾何情 報を 用いる よ り 正確ではないが, 大ま かな精度で自律移動を 行う こ と ができ る . そのため提 案手法では, 1)磁場およ び幾何情報, 2)磁場情報, 3)幾何情報, 4)オド メ ト リ に基づく ナ ビゲータ と いう 順で優先度を 高く 設定する こ と と し た.

磁場情報を 用いて いる ナビゲータ の優先度を 決定する にあたり , 以下に示す変数rzを 定 義する .

rz = 1−|mz,n−mz,t|

∆mz,max

(4.5) こ こ で∆mz,maxは, z軸方向の磁場強度の予測さ れる 最大の差であり , ∆mz,max = 1と し ている . こ の値は, 磁場地図を 構築し た際と 現在のセン サ観測値の差分を 表し た変数と なり , 1に近い程その差分が小さ いこ と を 意味する . そこ で, こ の値に適当な閾値を 設け, その閾 値を 下回っ た場合に, 磁場情報を 用いて いる ナビゲータ の優先度を 0にする . なおこ の閾値 の値は, 実験的に0.998と し た. 幾何情報に基づく ナビゲータ によ り ロ ボッ ト を 制御する こ と で, 外界と の位置関係を 利用し た補正を 行う こ と が可能と なる . し かし , 単純な偏差での 位置補正を 行う ため, 容易に動的障害物の影響を 受けて し ま う . そこ で, 幾何情報のに関す る 偏差gn−gtの値の絶対値が1.0 mを 越え て いた場合には, 幾何情報を 用いる ナビゲータ の優先度を 0にする . なお, オド メ ト リ に基づく ナビゲータ の優先度は, 常に一定値である と する .