第 3 章 磁場を 用いたナビゲーショ ン 法 25
3.2 磁気ナビゲーショ ン 法
3.2 磁気ナビゲーショ ン 法
3.2.1 環境磁場を 用いたナビゲーショ ン 法
磁性体が周囲に存在せず, 磁場が乱れて いない地点では, 磁場方位を 用いた姿勢推定が有 効である . し かし 実際の環境では, 鉄骨など の磁性体が磁場を 乱す区間が存在する ため, 姿 勢推定を 行う こ と が困難な区間も 存在する . Rahokら が提案し ている 磁気ナビゲーショ ン 法 では, こ のよ う な磁場の乱れを 利用し て 位置推定を 行う . ま た, それ以外の磁場の安定し て いる 地点では磁場方位を 用いた姿勢修正を 行う . こ れら は, 周囲の動的障害物(磁性体を 除 く)から 影響を 受けないため, 磁気ナビゲーショ ン 法は様々 な環境で利用する こ と ができ る .
Fig. 3.1には, 磁場の乱れを 用いた位置推定法の概念図を 示す. 鉄骨など の磁性体は, 残
留磁場(residual magnetism)と 呼ばれる 磁場を 生成する . 残留磁場は磁性体によ り 生成さ れ る ため, 強さ が場所毎に変化し , 時間的には安定する と いう 性質を 持つ[22]. 磁気ナビゲー ショ ン 法では, オド メ ト リ によ る 位置推定の累積誤差を 磁場の乱れを 利用し て 修正する . ま た, 磁場の乱れを 用いた位置推定のみでは正確な経路追従が行え ないため, 磁場方位を 用い た姿勢修正も 行う .
Fig. 3.1: Conceptual figure of a localization method based on residual magnetism [40]
3.2.2 磁場地図
ロ ボッ ト の経路は, 移動距離およ び姿勢から リ ニアに表現する こ と ができ る . こ こ でいう リ ニアと は, ループ等を 考慮せずに一次元的に直線的なリ スト と し て表現でき る こ と を 指し て いる . こ の経路情報に基づいて 環境磁場情報M = [m0,m1, ...,mn]T を 記録する こ と で,
3.2 磁気ナビゲーショ ン 法
経路上の磁場について 知る こ と ができ る . こ こ で, nは磁場データ を 記録し た地点(ノ ード) の数であり , mは3軸磁場強度と その磁場方位を 表す. こ こ では, 経路情報に基づいて環境 磁場を 記録し たも のを 磁場地図(magnetic map)と 定義し , こ れを リ ニアな磁場地図と 呼ぶ こ と と し て いる .
Fig. 3.2には, 磁場地図を 用いた磁気ナビゲーショ ン 法の実装例を 示す. 経路に沿っ て 磁
場強度を 記録し , 磁場の変化を 識別する . 磁場方位を 用いる こ と で, ロ ボッ ト 自身の姿勢を 利用し なく と も リ ニアな地図表現を 行え る . さ ら に付加情報と し て, 各ノ ード に環境磁場の 性質を 表す情報を 記録する . こ れには, 磁場の乱れのパタ ーン を 識別する ための識別情報s と , 磁場を 制御に利用する 量を 調整する 重み情報wの2種類を 用いる . こ れら を 利用し て 経路周辺の磁場の性質を 把握し , 磁場を ロ ボッ ト の制御に対し て 有効利用する .
Fig. 3.2: Implementation example of the magnetic navigation method [40]
3.2.3 ナビゲーショ ン ア ルゴリ ズム
Fig. 3.3には, 磁気ナビゲーショ ン 法の制御アルゴリ ズム図を 示す. 磁気ナビゲーショ ン
法は, 磁場地図, 位置推定モジュ ールそし て コ ン ト ロ ーラ モジュ ールから 構成さ れる . 磁場 地図は, 自律走行を 行う 事前に作成し て おく . 前述し たよ う に, 磁場地図には経路情報に対 応し た磁場情報と 付加情報が記録さ れて いる .
Fig. 3.4には, リ ニアな磁場地図に記録さ れた磁場の乱れを 用いて 自己位置推定を 行う 際
の概略図を 示す. 走行距離に対応し て 磁場強度を 記録する こ と で, 経路上における 磁場の変 化を 識別でき る . 位置推定モジュ ールにおいて , 磁場地図に記録さ れた値Mと 磁気セン サ の観測値mt, およ びエン コ ーダの観測値∆dを 利用し て ロ ボッ ト の状態xを 修正する . な
3.2 磁気ナビゲーショ ン 法
Fig. 3.3: Control diagram of the magnetic navigation method [40]
お磁気ナビゲーショ ン 法では, ロ ボッ ト の状態を 走行距離dのみで表すこ と と し て いる .
Fig. 3.4: Conceptual figure of localization based on magnetic fluctuation [40]
し かし 走行距離の修正のみでは, 経路に対する 横方向の誤差が累積する . そこ でこ の誤差 を 修正する ために, 走行経路の左右の磁場地図lM, rM を 利用する . すな わち , Fig. 2.8, 2.10に示す磁場の乱れを 利用する こ と で, 経路に対する 横方向の誤差を 修正する . こ のよ う な, 横方向の誤差修正を 行う こ と ができ る 磁場の乱れが存在する 区間を 識別する ために, 識 別情報sを 利用する . こ の詳細について は後述する .
コ ン ト ロ ーラ では, ロ ボッ ト の現在位置に対応し た磁場地図上の磁場情報miと 磁気セン サの観測値mtの差分を 求め, こ れを 零にする よ う な制御を 行う こ と を 基本と し て いる . し かし , 磁場が乱れた地点など でこ のよ う な制御を 行っ た場合, ロ ボッ ト が蛇行する こ と があ る . こ れを 防ぐ ために, 付加情報siと wiを 利用し て 求めた差分を 修正する こ と で, 制御に 利用する 偏差eを 求める . 最終的に, 求めた偏差eの各値が零になる よ う にロ ボッ ト の姿勢