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時間平均流れ場

ドキュメント内 衝撃波の干渉を伴う (ページ 64-76)

第3章 . ランダム撹乱による衝撃波/超音速境界層における乱流遷移

3.3 ランダム撹乱による衝撃波/超音速境界層における乱流遷移

3.3.1 時間平均流れ場

流れ場の特徴を強調するために,図3.3.1に平均密度と圧力場について示す.x = 50δ*0 から境 界層が剥離をし始め,それに伴い発生した圧縮波が下流で反射衝撃波を形成していることを確認 できる.入射衝撃波と境界層が干渉する点においてはexpansion fanを確認することができ,さら に下流では境界層で発生した圧縮波が遠方で反射衝撃波を形成していることを確認できる.そし て,x = 130δ*0程度で境界層が再付着していることがわかる.これらの様子は,Déley & Dussauge

( 2009 ) らが示している概略図に一致している.

図3.3.2には,壁面摩擦係数と壁面圧力分布を示す.剥離領域において壁面摩擦係数は負の値を

取ることを確認できる.また,壁面圧力は,剥離領域前半において急激に値を上昇した後,いっ たん一定の値となり,再付着領域近傍において再び値を急上昇することを確認できる.

図3.3.3 ( a ) ~ ( e ) では,流れの非定常性を考えるために剥離領域のいくつかの点における壁面

摩擦係数の確率密度分布を考察する.ここで,確率密度分布は,剥離領域の異なる7 点について N区間に分けて考察した.区間の分け方は次の通りである.

0 100 200

0 0.002 0.004 0.006

1 1.2 1.4 1.6

x/ δ * 0

C f p w a ll /p 0

-2 -1 0 1

0 0.002 0.004 0.006

C f

ξ

Teramoto (1.2%) Experiment

Skin-friction

Wall pressure

Fig. 3.3.3 ( a ) ~ ( e ) PDFs of skin friction along a bubble at locations and ( f ) percentage of the mean flow in term of forward ( red circle ) /reversed flow ( black circle ): ( a ) x = 40δ*0; ( b ) x = 80δ*0; ( c ) x = 120δ*0; ( d ) x = 140δ*0 and ( e ) x =160δ*0.

1 , 1 )

1(

min max

min     

C C for i N

N C i

C f f f

fi        (3.2.1)

ここで,Cfmax ( Cfmin ) はそれぞれの点における最大 ( 最尐 ) 壁面摩擦係数を表している.また,

この区間は,流れの特徴が反映されるように考慮し,十分細かくNを分割した.

x = 40δ*0 は,剥離領域上流であり全て正方向に流れていることを確認できる.一方,流れが剥

離をし始める ( b ) において,壁面摩擦係数は負の値を取り始めることを確認できる.衝撃波との 干渉を終えた ( c ) においては壁面摩擦係数のほとんどが負の値であることがわかる.さらに,再 付着領域の ( d ) においても,全ての壁面摩擦係数が正の値を取るわけではないことを確認できる.

ランプによる衝撃波と乱流境界層との干渉を調べた研究結果 ( Dolling & Or ( 1985 ),Loginov

( 2006 ) ) と比較すると,干渉前 ( b ) における分布はよく一致しているのに対し,干渉点 ( c ) に

おいては,ピークははっきりしないものの乱流のように明確な二つのピークをもっていない.一 方,剥離を伴う非圧縮性の遷移境界層 ( Alam & Sandham ( 2000 ) ) の結果と比べるとよく一致し ていることを確認でき,層流と衝撃波の干渉では乱流の結果ほど明確な剥離泡の変化を伴わない と考えられる.

(a)

(b)

(c)

(d)

(e) N

N

N

N

N

Cf

Cf

50 100 150

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

(f)

x/δ*0

Percentage time

Fig. 3.3.4 Turbulence intensity distributions: ( a ) 0.000 < u'rms / U<0.027( 7 contour levels); ( b ) 0.000 <

v'rms / U<0.005( 10 contour levels ) and ( c ) Reynolds stress -0.047 < u'v'/ U<0.016( 10 contour levels).

流れの様子を概観するために,図3.3.3 ( f ) に,流れ方向の関数として順流れと逆流の割合を示

す.図3.3.2と見比べると剥離点および再付着点は,逆流の割合が50% 程度の位置に存在するこ

とを確認できる.

図3.3.4には主流方向,主流垂直方向流速変動のR.M.S.値とレイノルズ応力を時間とスパン方向

について平均した値を示している.主流方向流速変動は干渉点の直前の領域であるx = 100δ*0 程 度から急激に大きくなり,またその領域も広がっている.その後,干渉点近傍において最大値を 取り,干渉後の領域では壁から離れた位置において極大値を取るようになる.一方,主流垂直方 向流速変動においては,主流方向流速変動よりもかなり下流で極大値をとっており,この結果か ら衝撃波を伴う流れ場は,非等方的に乱流へと遷移をしていることを確認できる.レイノルズ応 力も主流垂直方向流速変動と同様の傾向を確認することができる.

そこで,この非等方性を確認するために速度非等方テンソルの不変量について考察する.

ij k k

j i

ij

u u

u

b u

3

 1

, (3.3.2) さらに,その不変量のスカラーは

ki jk ij ji

ijb bb b

b

  Ⅲ

Ⅱ , (3.3.3)

Fig. 3.3.5 Anisotropy invariant maps of the Reynolds stress tensor in the boundary layer at various streamwise locations: The red line shows present case. The blue line shows without shock turbulent boundary layer (M = 2.3, Reδ*0 = 4000) and the black line shows Lumley triangle. ( a ) the example of turbulent boundary layer case; ( b ) x = 80δ*0; ( c ) x = 120δ*0; ( d ) x = 160δ*0 and ( e ) x = 200δ*0.

と書ける.Lumley ( 1977 ) が示したように,実現しうる乱流場の状態は次のような不等式

9 6 8

22 ⅡⅢ (3.3.4)

を満たさなければならない.この実現領域を不変量Ⅱ-Ⅲのグラフに示したものを Lumley triangle という.乱流境界層における速度非等方テンソルの不変量の例として,図3.3.5 ( a ) には,主流マ

ッハ数M = 2.3,入口レイノルズ数Reδ*0 = 4000における乱流境界層の数値計算結果から計算した

速度非等方テンソルの不変量を示した.

( a ) Mean streamwise velocity ( b ) Van Driest transformed mean streamwise velocity

Fig. 3.3.6 Distribution of mean streamwise velocity at various streamwise stations.

この例では,不変量は壁面近傍では Two-componentsに沿って分布する.これらの領域は,粘性 層からバッファー層に一致する.さらに,対数層になるとAxisymmetric expansionに沿って分布す るようになり,外層に近づくにつれて,Isotropicに沿うようになる.

図3.3.5 ( b ) ~ ( e ) には衝撃波を伴う乱流遷移境界層の結果を示す.なお,ここでは衝撃波を伴

わないケースの境界層厚さ ( y = 10δ*0 ) 以内の領域についての計算結果をプロットしている.

剥離領域前半の図3.3.5 ( b )では,Two-componentsに沿って分布しOne-component付近まで近づ いていることを確認できる.この状態は干渉点 ( x = 110δ*0) まで続くが,干渉点を過ぎると ( 図

3.3.5 ( c ) ) Two-componentsに沿う部分が尐なくなり,Axisymmetric expansionに沿って分布するよ

うになる.さらに,この傾向は,再付着後の領域にも強く影響を及ぼしていることを図3.3.5 ( d ) か ら確認できる.図3.3.5 ( e )では,衝撃波を伴わない乱流境界層の結果と一致していることがわか る.すなわち,衝撃波の影響を受け境界層の乱流構造は大きく変形をしており,下流で衝撃波を 伴わない乱流境界層の結果と一致するようになるには,剥離領域と同程度の距離 ( 70δ*0 ~ 80δ*0 ) を必要としていることが示されている.

この結果は,十分発達した乱流境界層に対する衝撃波の影響について調べたShahab ( 2011 ) の 計算結果と剥離領域前の様子 ( x = 80δ*0) を除けば,よく一致している. Frohnapfel ( 2007 ) の研 究 に よ る と ポ リ マ ー や 界 面 活 性 剤 に よ っ て 抵 抗 低 減 さ れ た 乱 流 境 界 層 で は 共 通 し て

One-component近傍まで近づくことが報告されており,x = 80δ*0における結果はこれによく一致

している.よって,One-component近傍まで近づく分布は,壁面摩擦係数が本来の境界層に比べ小 さくなったときに生じると考えられる.すなわち,x = 80δ*0における結果は剥離領域が大きく,

十分な逆流領域が存在することに起因すると考えられ,十分な逆流領域が存在しない Shahab

( 2011 ) の計算結果との相違点となって表れている.

図3.3.6 ( a ) には,平均主流方向流速分布を示す.x = 80δ*0 になると境界層の剥離が大きくな

り,下流のx = 100δ*0 では, y < 1.5δ*0 において平均速度分布に逆流が生じていることを確認で

0 0.5 1

0 2 4 6 8

y/ δ *

0

u/U

x/δ*0 = 80 x/δ*0 = 100 x/δ*0 = 110 x/δ*0 = 140 x/δ*0 = 160 x/δ*0 = 200

10

0

10

1

10

2

10

3

0

10 20

y

+

u

vd

uvd=y+

uvd=1/0.41(lny+)+5.2 x/δ*0 = 140

x/δ*0 = 160 x/δ*0 = 200 x/δ*0 = 260

Fig. 3.3.7 Three-dimensional view of shock wave/turbulent boundary layer interaction, plotted by second invariant of velocity gradient tensor ( Q = 0.01 )and reported by yellow; colored isosurfaces represent pressure.

きる.また,y = 0.5δ*0 付近に変曲点が存在することを確認できる.干渉点 ( x = 110δ*0 ) を過ぎ るとこの変曲点は壁から離れ,速度分布は混合層のような分布に一度なり,x = 200δ*0 になると 乱流境界層に近い分布となっていることがわかる.

図3.3.6 ( b ) に壁スケールによる平均主流方向流速分布を示す.uvd はVan-Driest変換した主流

方向流速である.x = 140δ*0 では対数則から大きく外れていることが分かる.その後,下流に進 むにつれ対数則に近づいていき,さらに下流のx = 260δ*0 になると,非常に狭いが対数則と外層 を示す領域が現れてくることを確認できる.

3.2.2 瞬間場

この節では,衝撃波を伴う境界層に比較的大きな撹乱 ( 3% ) を流入させた場合に渦構造がどの ように下流で変化し,break downに至るのかということを中心に議論を行う.

まず,図3.3.7に干渉点近傍の衝撃波と渦構造についての全体像を示す.図3.3.7では,干渉点 よりも上流には,弱い縦渦構造が尐量見られるだけで,ほとんど渦構造を観測することができな い.しかし,干渉点より下流では強い縦渦構造だけでなく横渦構造も現れており流れが複雑で三 次元的になっていることが分かる.これらの観測は,十分発達した乱流境界層に対する衝撃波の 影響について調べたPirozolli et al. ( 2006 ) の計算結果とよく一致しており,衝撃波によって渦構 造に大きな影響が及ぼされることがわかる.

0 6

12 1860

100

140

180

Fig. 3.3.8 Isosurface plot of second invariant of velocity gradient tensor ( Q = 0.005 ): ( top ) top view and ( bottom ) side view.

Fig. 3.3.9 Isosurface plot of low-speed streak ( u' = -0.1 ): ( top ) top view and ( bottom ) side view.

図3.3.8には,上述したシナリオをさらに詳しく見るためにx-y面とx-z面における渦構造を示

し,さらに,図3.3.9にはx-y面とx-z面における低速ストリーク構造を示す.干渉点よりも上流 の弱い縦渦構造が衝撃波と干渉することによって強い縦渦構造だけでなく横渦構造となって干渉 点より下流に表れていることが図3.3.7よりも明確に観測することができる.また,干渉点よりも 上流でできた低速ストリーク構造がこれらの強い渦構造の出現に伴い,干渉点より下流において 崩壊していることも確認できる.

y/δ*0z/δ*0

x/δ*0

y/δ*0z/δ*0

x/δ*0

Fig. 3.3.10 Time sequence Isosurface plot of second invariant of velocity gradient tensor Q: ( a ) t = 230δ*0 / U;( b ) t = 250δ*0 / U; ( c ) t = 270δ*0 / U; ( d ) t = 290δ*0 / U and ( e ) t = 300δ*0 / U.

干渉点よりも上流の縦渦構造の衝撃波との干渉よる時間変化を図3.3.10 に示す.干渉点よりも 上流の縦渦構造は,干渉点を通過すると互いに交差し始め,また,交差することによって急激に 強くなりながら下流へと流れていくことが観測できる ( 3.3.10 ( b ), ( c ) ).そして,それらの縦渦 構造は,近傍の縦渦構造と結合しアーチ型の横渦構造となる ( 3.3.10 ( d ) ).このアーチ型の横渦 ができると流れは急速に複雑化し三次元していくことが分かる.

次に図3.3.11には,干渉点前後におけるスパン方向渦度ωzの時間変化を示す.剥離領域の前半

で形成された剥離せん断層が干渉点を通過すると,急激にひずみはじめbreak downへと至ること を確認できる.

剥離領域内の構造をより詳細に把握するため,剥離泡内の平均流速に対するトポロジー構造を 図 3.3.12 に示す.ここでは,再付着領域近傍において赤色の破線で表された剥離領域に沿ってフ ォーカス構造を形成していることを観測できる.このフォーカス構造が x = 120δ*0 程度の再付着 領域においてその構造が大きく変化していることを確認でき,この構造の変化が,図3.3.10に

x/δ*0 z/δ*0z/δ*0z/δ*0z/δ*0z/δ*0

(a)

(b)

(c)

(d)

(e)

Fig. 3.3.11 Time sequence of spanwise vorticity ωz at z = Lz/2: ( a ) t = 210δ*0 / U;( b ) t = 240δ*0 / U; ( c ) t = 260δ*0 / U; ( d ) t = 280δ*0 / U and ( e ) t = 300δ*0 / U.

Fig. 3.3.12 Mean streamline: ( top ) at z/δ*0 = 12.0, x-y plane; ( bottom ) at y/δ*0 = 1.0, x-z plane; red broken line shows zero mean longitudinal velocity.

y/δ*0y/δ*0y/δ*0y/δ*0y/δ*0

x/δ*0 (a)

(b)

(c)

(d)

(e)

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