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乱流境界層大規模秩序構造

ドキュメント内 衝撃波の干渉を伴う (ページ 116-120)

第6章 . 超音速乱流境界層

6.2 乱流境界層大規模秩序構造

Fig. 6.2.1 Instantaneous flow field to visualize near wall streak ( blue: y+ < 100, u' = -0.07 ) and outer layer streak structure ( green: y+ > 100, u' = -0.05 ): ( a ) 0 < x/δ*0 < 140 and ( b ) 160 < x/δ*0 < 300.

動の結果を参照すると,静温度に対する結果の値が壁から離れた位置で減尐していることを確認 できる.よって,これは空間発展型DNSにおいて得られる傾向であると考えられる.

図6.1.10 は温度と主流方向流速の相関係数を表した図であり,いくつかの実験,計算結果と比

較したものを示している.これらの値は Strong Reynolds Analogy ( SRA ) と呼ばれ,密度変化があ まり大きくない場合や中程度のマッハ数においては -1.0になるといわれている.しかし,これら の結果を見ると圧縮性の実験以外の結果は -1.0とはなっていないことが確認できる.超音速乱流 境界層の数値計算においては,SRA 理論の仮定が完全に一致することはなく,修正 Reynolds

Analogyと数値計算の結果がよく一致することがGuarini et al. ( 2000 ) の研究では示されている.

Fig. 6.2.2 Instantaneous flow field to visualize near wall streak ( blue: y+ < 100, u' = -0.07 ) and outer layer streak structure ( green: y+ > 100, u' = -0.05 ): ( a ) overall view, ( b ) near wall streak in enclosed region ( y+ < 100 ) and ( c ) outer layer streak structures in enclosed region ( y+ > 100 ).

さらに,低速ストリークについては,壁からの距離で色分けし,対数則が成立する前の粘性スケ

ールでy+ < 100の領域を青色で示し,それ以上の領域を緑色で示す.これらの図からは,まず,

下流に進むにつれて乱流構造が大きくなっていくことが確認できる.またその壁垂直方向の高さ は境界層厚さ ( δ ) 程度であるということが確認できた.さらに,下流では,乱流バルジ構造を形 成しており,その主流方向の長さは,境界層厚さの3 ~ 5倍程度であると確認できた.

下流の構造について詳しく調べるために,図6.2.2 ( a ) において黄色で囲んだ領域 ( x/δ*0 = 40,

z/δ*0 = 18 ) について,壁面近傍領域のy+ < 20と外層領域のy+ > 100に分けて示す.まず,壁面近

傍の領域には,細かいストリークが複数存在していることを確認できる.ストリーク同士の間隔 は,後ほどスペクトル ( 図6.2.4 ) を用いて示すが,粘性スケール ( z+ ) でおおよそ100となって おり,これまでの壁面近傍乱流秩序構造の研究とよく一致している. また,内層では低速ストリ ークが合体している点が多くみられ,そのため,“人”という文字が主流方向にいくつも並んだよ うな構造に見える.この構造は,Toh & Itano ( 2005 ) によって行われた低レイノルズ数チャネル 乱流DNSの結果から導出した大規模構造形成過程の中の壁面近傍構造に類似している.一方,外 層においては,内層より大きなスケールの低速ストリークが存在することを確認できる.

図6.2.3は,先ほどと同じ領域においての低速ストリークと渦構造の関係について示している.

図6.2.2と同様に,図6.2.3 ( a ) において黄色で囲んだ領域 ( x/δ*0 = 40, z/δ*0 = 18 ) について,壁 面近傍領域のy+ < 20と外層領域のy+ > 100に分けて示す.まず壁から離れた図6.2.3 ( c ) を見る と,アーチ型の渦が主流方向に並んで存在するヘアピンパケットが形成されていることが確認で きる.また,低速ストリーク同士の距離が近いところでは渦同士が互いに干渉している領域が存

x/δ*0=160 200 240 300

y/δ*0

z/δ*0 0 0

18 10

y

+

< 20 y

+

> 100

(a)

(b) (c)

Fig. 6.2.3 Instantaneous flow field to visualize the coherence between streaks and vortex structures at y+ <

100 ( yellow: Q = 0.007, blue: u' = -0.05 ) and y+ > 100 ( white: Q = 0.01, green: u' = -0.05 ): ( a ) overall view; ( b ) near wall structures in enclosed region ( y+ < 100 ) and ( c ) outer layer structures in enclosed region ( y+ > 100 ).

在することも確認できる.一方,壁面近傍の図を見ると,壁から離れた領域に比べ,縦渦が多く,

スケールの小さな渦構造が多いことを確認できる.しかし,詳しく観察するとスケールの小さな アーチ状の渦構造が主流方向に並んでいることを確認できる.Adrian ( 2000, 2003 ) らが非圧縮性 乱流境界層の実験によって示したPIVの結果と比べると,壁からの位置によって階層的なヘアピ ンパケットが存在するという結果によく類似しており,圧縮性境界層においても同様のメカニズ ムによって大規模構造が形成されるのではないかと推測できる.さらに,壁面近傍にはスケール の小さな低速ストリーク構造が存在し,境界層厚さ程度の点においては,同様の領域に大規模構 造が確認されることから,内層構造と外層構造に相互作用が存在することにより大規模構造が形 成される可能性が考えられる.

図6.2.4に,Pre-multiplied スペクトルの結果を示す.図6.2.4 ( a ) は,時間によるスペクトル,

図6.2.4 ( b ) は,スパン方向のスペクトルの結果を示す.また,縦軸は,粘性スケールによる壁垂

直方向距離を示している.まず,時間によるスペクトルを見ると,領域全体を通して2 ~ 3程度の 波長を示しており,非圧縮性DNS/LES研究 ( Schlatter et al. ( 2009, 2010 ) ) の結果とよく類似して いる.また,スパン方向のスペクトルについても内層では,100となっており,y+ < 50程度まで 成立していることが確認できる,また,外層では境界層厚さ程度の高さにおいて 0.8 となってお り,これらの結果も非圧縮性の研究とよく類似している.

z x y y

+

< 100 y

+

> 100

y/δ*0

z/δ*0 0 0

18 10

x/δ*0=160 200 240 300

(a)

(b) (c)

Fig. 6.2.4 Contours of one-dimensional spanwise pre-multiplied spectra, Spectra is normalized with u'2: ( a ) pre-multiplied temporal spectra and ( b ) pre-multiplied spanwise spectra.

6.3 6 章のまとめ

主流マッハ数2.3の超音速境界層において空間発展DNSを実施し大規模構造と壁近傍の秩序構 造について考察を行い以下のような知見を得た.

 基礎的乱流統計量については,適切なスケーリングを施すことでこれまでの非圧縮,圧縮性 流に対する研究によるデータとよく一致するデータを得た.

 低速ストリーク ( 低速塊 ) は下流において乱流バルジ構造を形成し,また,乱流バルジ構造 内では,ヘアピンパケットなどの階層的な渦構造や壁近傍における隣接する低速ストリーク 同士の相互作用が確認できた.これらは,Adrian ( 2000, 2003 ) らが非圧縮性乱流境界層のPIV による観測によって報告している結果と類似している.

 壁近傍 ( y+ <50 ) にはλz

+ = 100程度の低速ストリークが存在した.一方,壁から離れた位置

ではλz/δ = 0.8程度の低速ストリークが存在し,この構造は境界層厚さ ( δ ) 程度まで広がっ

ている.これらは,Schlatter et al. ( 2009, 2010 ) らの非圧縮性乱流境界層DNS,LESによる結 果とよく一致した.

log

10

t +

) y+

log

10

z+

) y+

2

) (

RMS t uu

u

 

(a) (b)

2

) (

RMS z uu z

u

k  

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