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第 3 章 きょうだい構成が学歴に与える影響とその趨勢

3.3 方法

3.3.1 データ

本章で使用するデータは,NFRJ データである.NFRJ データは回答者の子ど

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も(上から3番目まで)に関する詳細な情報を得ることができるデータで,先 に述べた課題の検証に適したデータである.1998 年,2003 年,2008 年のデー タを統合したうえで,回答者を親,回答者の子どもをきょうだいとみなしきょ うだいデータとして分析を行う.分析対象となるのは6413家族に属する,13631 人のきょうだいである.

3.3.2 変数

用いた変数は以下のとおりである.出身階層を表す変数としては両親学歴を 用いた.これは,父親の教育年数と母親の教育年数のうち,年数が長い方を採 用して作成した.また,「相続-教育代替」説の検証にあたっては,父親の職業 が農業である場合を1とする父親農業ダミーを用いた.続いてきょうだい規模 については一人っ子,2 人きょうだい,3人きょうだい,4人以上のきょうだい の4カテゴリにしている.先行研究ではきょうだい数を線形であつかうものが 多いが,一人っ子を含めて分析すること,一人っ子ときょうだいのいる子ども とでは経験する家庭環境が異なることを考慮して,量的変数ではなく質的変数 としてあつかうこととした.地域を示す変数としては,佐藤(粒来)(2004)に 倣って親の居住地が東日本の場合を 1とする東日本ダミーを作成した.

個人の属性を示す変数については,長男ダミー,男性ダミー,18 歳時コーホ ートを用いた.長男ダミーは,きょうだい内で最初に生まれた男性が 1,それ 以外が 0 となる変数である.18 歳時コーホートについては,1953 年から 1973 年コーホート(1935 年から 1955 年生まれ),1974 年から 1983 年コーホート

(1956 年から1965年生まれ),1984 年から2001年以降コーホート(1966 年か ら1983年生まれ)の 3つに区分した.最後に,従属変数としては子どもの学歴 を「高等学校卒業まで」,「専門学校」,「短期大学・高等専門学校」,「四年制大 学」の4カテゴリとした.記述統計量は表3.2 に示すとおりである.

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3.2 記述統計量

3.2(続き) 記述統計量

3.3.3 統計的手法

これまでの研究の多くは,同じ家族に属する子どもの情報を用いるのではな く,異なる家族に属する個々の人々がもつ家族属性の情報や出生順位の情報に よって,きょうだい構成要因と学歴との関連を検討してきた.つまり,男性で あることがもつ意味や第1 子であることの意味が,どの個人にとっても等しい ことが仮定されていたといえる.

しかし実際のところ,たとえば農家の長男とホワイトカラー職の父親をもつ 長男とでは,長男であることの意味が異なるかもしれない.また,出身階層が 高い場合とそうでない場合とでは資源の保有量に違いがあるため,親の子ども への資源配分のメカニズムが異なっていることも考えられる.ゆえに可能であ れば,同じ家族に属している子どもの情報を用い,家族属性要因の影響を適切

平均値 標準偏差 長男ダミー 0.37 0.48 男性ダミー 0.52 0.5 18歳時コーホート

1953-1973年 0.12 0.33 1974-1983年 0.3 0.46 1984-2001年 0.58 0.49

学歴カテゴリ 2.69 1.29 個人属性変数(LEVEL1) n=13631

従属変数

平均値 標準偏差

両親学歴 11.91 2.52

父親農業ダミー 0.05 0.22 きょうだい規模

一人っ子 0.15 0.36 2人きょうだい 0.57 0.49 3人きょうだい 0.22 0.42 4人以上きょうだい 0.05 0.23 東日本ダミー 0.61 0.49

家族属性変数(LEVEL2) N=6413

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に統制したうえで個人の教育達成の差異を検証することが望ましい.

上記の問題を解決できるのが,前章で提示したマルチレベル分析である.マ ルチレベル分析は,入れ子構造にあるデータを分析するのに適した手法である.

本章ではきょうだい内の教育達成の規定要因とその趨勢を検証するわけである が,マルチレベル分析の文脈に当てはめれば,前章の図 2.1 のように家族が第 2水準,個人が第1水準ということになる.

本章では従属変数が質的変数であり,カテゴリが3 つ以上あることから,マル チレベル多項ロジスティックモデルによる推定を行った.基準カテゴリは高等 学校卒業までであり,高等学校卒業までの学歴に比べた各学歴の得やすさに対 してそれぞれの独立変数がどのような効果をもっているかが検証される.なお,

分析にはHLM6.02を使用した.