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基礎分析①: 出生順位と配偶者選択に関する分析

第 5 章 きょうだい構成が結婚行動に与える影響とその趨勢

5.4 分析結果

5.4.1 基礎分析①: 出生順位と配偶者選択に関する分析

114 5.3.3 統計的手法

本章の多変量解析では,イベントヒストリー分析の一種である離散時間ロジ ットモデルによる推定を行う.イベントヒストリー分析を用いることで,分析 の対象となる年齢段階においてイベントが発生していない者も含めてパラメー タ推定を行うことができる.また,離散時間ロジットモデルはCox回帰モデル と同様に,イベントヒストリー分析においてよく用いられる分析手法である.

今回は初婚のタイミングを年齢で尋ねており,データ構造が1年単位となっ ている.Cox回帰モデルはイベントの発生について連続時間を仮定しており,

イベントの発生が同時であるサンプルが多くなるとパラメータ推定値の信頼性 が損なわれる可能性がある.

よって本稿では,データ上同時にイベントが起こっていてもその影響を受け ることのない離散時間ロジットモデルを採用した.男女ともに初婚というライ フイベントが起こるリスク期間については,イベントが滅多に起こらない時期 を除外し,男女とも結婚が可能となる18歳から40歳までとした.

また,性別によって平均初婚年齢が異なっていることや,先行研究の知見よ りきょうだい構成の影響には性差があると考えられることから,男女別に分析 を行う.なお,使用したソフトウェアはStata13.1である.

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表5.4 夫きょうだい構成と妻きょうだい構成のクロス集計表(全体%,括弧内は度数)

りも婿養子をとることを期待されるし,弟のいない長男の場合には,妹が婿養 子をとることよりも長男のもとに配偶者が嫁いでくることが期待される.一人 っ子同士ではいずれか一方の「家」にのみ入ることになると考えれば,その組 み合わせ自体が少ないという結果にも合点がいく.

上記のような構造には,職業階層や世代ごとに違いがみられるだろうか.継 承性の高い農業・自営業層とそれ以外に分けて分布を確認したのが,図5.1と 図5.2である.比べてみると,農業・自営業層において全体的に次三女と結婚 している者の比率が高いことがわかるが,全体的な分布の傾向については職業 階層による違いはそれほど大きくないようにみえる.

図5.1・5.2 職業階層別,夫のきょうだい構成別にみた妻のきょうだい構成

(左図:その他の職業階層,右図:農業・自営業層)

一人っ子 弟なし長女 弟あり長女 次三女 一人っ子 0.4 0.5 1.4 2.1 4.5 弟なし長男 0.8 2.7 8.7 8.6 20.9 弟あり長男 1.1 2.1 8.8 10.2 22.2 次三男 2.9 3.6 14.7 31.2 52.4

5.2 8.9 33.7 52.2 100.0(3560)

11.7 5.4 5.7 5.6

11.7 13.3 9.8 7.2

31.2 40.2 40.2

28.6

45.5 41.1 44.2

58.7

0%

20%

40%

60%

80%

100%

一人っ子 弟なし長男 弟あり長男 次三男 一人っ子 弟なし長女 弟あり長女 次三女

8.7 1.8 3.5 5.2

13.0

11.5 6.4 3.5

21.7 46.9

29.8 26.7

56.5

39.8

60.3 64.6

0%

20%

40%

60%

80%

100%

一人っ子 弟なし長男 弟あり長男 次三男 一人っ子 弟なし長女 弟あり長女 次三女

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図5.3・5.4 職業階層別にみた組み合わせ比率の推移

(左図:その他の職業階層,右図:農業・自営業層)

続いて結婚コーホートを考慮したうえで,職業階層ごとにきょうだい構成に よる組み合わせの違いがみられるかどうかを検討した結果が,図5.3・5.4であ る.この図では,全体でみた場合に起こりにくかった組み合わせ3つの,全体 に占める比率を計算してプロットした.近年に近づくほどにきょうだい規模の 縮小と画一化が進行したことをふまえると,弟なし長男や弟なし長女の比率が 高まるはずであり,それに伴ってそのような出生位置の個人同士の組み合わせ が生じやすくなると考えられるためである.

しかし,いずれの職業階層におけるいずれの組み合わせも近年に近づくほど ますます生じにくくなっている.結婚コーホートごと,さらに職業階層ごとに サンプルを区分したために,そもそもの度数が少なくなってしまっており断言 はできないが,きょうだい規模が縮小したとしても,配偶者選択における出生 順位の影響は残っている可能性を示唆することはできよう.

ここまでの記述的分析より考察されるのは,配偶者選択において自身のきょ うだい構成はもちろん,相手方のきょうだい構成が考慮されて配偶者選択が行 われていることである.特に,家系維持の役割を担う確率の高い長男や弟のい ない長女については,同じように家系維持の役割を担う相手とは結婚しにくい 構造があるようである.しかしこれは,あくまでも初婚を継続しているカップ ルだけに限定されている結果であることに留意する必要がある.未婚者が結婚 する際にも,すなわち配偶者をまさに選択する局面においても上記のように出

0.0 1.0 2.0 3.0

1945-75 1976-95 1996-一人っ子同士

一人っ子・弟なし長女 弟なし長男・一人っ子

0.0 1.0 2.0 3.0

1945-75 1976-95 1996-一人っ子同士

一人っ子・弟なし長女 弟なし長男・一人っ子

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生順位が影響を与えるのであろうか.それについて,次節以降で検証していこ う.