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基礎分析①: 「農家の次三男」説に関する分析

第 4 章 きょうだい構成が世代間職業移動に与える影響とその趨勢

4.4 分析結果

4.4.1 基礎分析①: 「農家の次三男」説に関する分析

85 た.

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所属する者の比率に大きな差がみられている点が特徴的である.

図 4.1 では,出生順位別にみた農民層に所属する者の比率を,出生コーホー トごとに算出した結果である.折れ線が右下がりになっているのは,戦後の労 働市場の構造変動の影響によって,農民層に所属する者が少なくなっているた めであることは容易に理解できよう.それを確認したうえで,出生順位別の比 率の推移をみていこう.

戦前生まれのコーホートでは,それぞれの出生順位内に占める農民層の比率 がもっとも高いのは長子,それに次いで一人っ子であり,中間子と末子におけ る比率にあまり相違がみられないことから,長男が農家を継ぐ場合が多かった ことがわかる.

しかし戦後になると,状況が少しずつ変化していく様子がみてとれる.まず 産業復興期ごろまで,換言すれば農業人口が半数を占めていた 1955 年ごろま では「長子」における農民層の比率が高い.すなわち一人っ子ではなく,きょ うだいのいる長男では農業を営んでいる者の比率が高いが,一人っ子に占める 農民層の比率は産業復興期生まれの世代では末子のそれと変わらないものとな っている.高度成長期の1956 年から1965年にかけては,一人っ子における農 民層の比率が長子の比率よりも高くなっていることが読みとれる.

次に,中間子や末子の推移をみてみると,戦前生まれの出生コーホートでは 農民層の比率が長男や一人っ子に比較して小さかったが,特に中間子において は高度成長期生まれコーホートにおいてその比率が大きくなっている.そして もっとも新しい1966 年以降生まれの世代では,農民層自体の比率は少ないが,

中間子,長子,一人っ子,末子の順で比率が並んでいる.

これまで確認してきたことより,長男か次三男かによって,就農しているか どうかに違いがみられることと,その関連性が戦前生まれの世代と戦後の高度 経済成長期とで異なっている可能性があることが示された.少なくとも戦前に 関しては,長男が農家の後継ぎとなる「農家の次三男」説が支持されそうであ る.

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4.1 出生順位別,出生コーホート別の農民層比率の推移

しかしながら既に言及したとおり,「農家の次三男」説には地域性がみられる と考えられる.そこで東日本と西日本にサンプルを分割したうえで,図 4.1 と 同様の集計を行った.その結果が,図4.2 と図4.3 である.

4.2 東日本における出生順位別,出生コーホート別の農民層比率の推移 0.0

5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

1925-35 1936-45 1946-55 1956-65

1966-(%)

独子 長子 中間子 末子

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

1925-35 1936-45 1946-55 1956-65

1966-(%)

独子 長子 中間子 末子

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4.3 西日本における出生順位別,出生コーホート別の農民層比率の推移

東日本と西日本とで,グラフの形状が大きく異なっているのがわかる.また,

全国版のグラフと東日本のグラフの形状が似通っていること,加えてグラフの 高さが東日本では高く,全国版では低くなっていることも確認できる.

西日本のグラフに注目してみると,全国版や東日本と比較してどの出生順位 であっても農民層の比率が低いことが明らかである.その中でも農業を営んで いる者のうちで多いのは,戦前生まれを総じてみると一人っ子と長子であると いえるが,それと中間子との差はそれほど大きくない.しかし,末子について

は 1936‐1945 年コーホートで他の出生順位のきょうだい員よりもはっきりと

農民層比率が低くなっている.続いて西日本の戦後生まれの動向をみてみると,

全体的に比率は小さいがおおむね東日本の動向と類似しているといえよう.

以上をふまえると,佐藤(粒来)(2004)の指摘するように,「農家の次三男」

説が特に戦前の東日本において顕著にみられるものであり,地域を区別せずに 農家の次三男説の検証をするのは適切ではないと判断できる.したがって,「農 家の次三男」説は広く浸透してはいるけれども,全国的な通説であるとまでは いえないだろう.他方で戦後については,東日本と西日本で注目するほどの大 きな違いはみられず,移動の均質化が起こっている可能性も考えられる.

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

1925-35 1936-45 1946-55 1956-65

1966-(%)

独子 長子 中間子 末子

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