第 4 章 きょうだい構成が世代間職業移動に与える影響とその趨勢
4.3 方法
4.3.1 データ
本章で使用するデータは,SSMデータである.長男であるかどうかを識別す るためには出生順位ときょうだいの性別構成を把握しなければならず,それが
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実現できた2005年と1995年の調査データを統合したデータセットを作成した.
4.3.2 変数
(1) 職業階層の分類
世代間職業移動の測定にあたっては,職業階層をどのように分類するかが極 めて重要な問題となる.その分類についてはさまざまな方法が提案されている が , 本 研 究 で は Goldthorpe に よ っ て 示 さ れ て い る 階 層 分 類 図 式 を 参 照 す る
(Erikson and Goldthorpe 1992; Goldthorpe 1987).表 4.2に示したのは国際比較 研究においてよく使用されている改訂版7分類であり,このうちの自営農業層 と農業層を合併して作成したEGP6 分類を分析に用いることとした.
表4.2 EGP 7-Class Schema
階層 含まれる職種
ランク
3階層 出身 到達
Ⅰ+Ⅱ サービス
専門職・管理職・経営者・
ノンマニュアル労働の監督者
1 1 サービス
Ⅲ
単純ノンマニ ュアル
事務職・販売職・サービス的職業 2 2 中間
Ⅳab 自営 小規模所有者・自営職人・店主 2 2 中間
Ⅳc 自営農業 自作農・第一次産業の自営業者 3 2 中間
Ⅴ+Ⅵ 熟練労働
熟練マニュアル労働者・
マニュアル労働の監督者
2 2 労働者
Ⅶa 非熟練労働
半熟練労働者・非熟練労働者・
単純労務従事者
3 3 労働者
Ⅶb 農業 第一次産業の労働者 3 3 労働者
EGP6 分類を用いる理由としては,日本社会では農業労働者に当てはまるの は配偶者が農業を営んでいる妻やその子どもたち,すなわち家族従業者と考え られる者が大半を占め,性質的にそれらの人々は自営農業層に近いためである.
その意味で 6 分類は日本の社会移動研究においてよく用いられる分類である
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(三輪2006;Ishida et al. 1995).加えて,EGP6分類よりさらに自営業と農業を
まとめてひとつのカテゴリにした 5 分類の職業階層変数も作成した.5 分類の 職業階層変数を作成したのは,自営業と農業は継承性の高い職業であるという 共通点があり,それらをまとめることで直系制家族的規範の影響をよりとらえ やすくなるのではないかと考えたためである.また,世代間職業移動表を作成 する際にセル度数が0になってしまう箇所を極力つくらないという狙いもある.
(2) その他の変数
その他の変数については以下のとおりである.まず,出生順位については長 男・一人っ子と中間子,末子に分類した.本章で用いるデータセット内では一 人っ子が少なく適切な推定結果が得られない可能性があること,末子はきょう だい内で長男と同様に特異な位置づけにいるとされることを考慮した(白佐
2004a).地域を示す変数としては前章と同様に佐藤(粒来)(2004)に倣って親
の居住地が東日本の場合を1とする東日本ダミーを作成した.
コーホートの区分についても基本的には前章と同様であるが,前章では戦後 生まれの人々がそれほど多くいなかなったのに対して,本章では分析に耐えう るサンプル・サイズが確保できる.よって,戦前生まれのコーホート,戦後10 年から産業復興期生まれのコーホート,高度成長期から産業転換期生まれのコ ーホートの3つに大きく区分した.実際に仕事をしている時点での社会背景を イメージしやすいように,本章では30 歳時コーホートを用いることとした.第 1コーホートは1955 年から1975年コーホート(1925 年から1945年生まれ),
第2コーホートは1976年から1985年コーホート(1946年から1955年生まれ),
そして第 3 コーホートが 1986 年以降コーホート(1956 年から 1975 年生まれ)
である.
4.3.3 統計的手法
世代間職業移動の開放性を検討するためには,周辺度数の影響を統制できる 対数線形モデルを用いるのがより適切である.本章では,前述したコーホート 区分を用いてデータを3分割し,それぞれの移動表について,移動の構造に出 生順位による違いがみられるかどうかを検証した.分析には ℓem1.0 を使用し
85 た.