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目次 1. 本調査の目的と実施方法

2. 国内の ICT 活用教育における著作物等の利用実態

2.3 ICT 活用教育に係る権利者側のライセンシング体制

2.3.4 文芸作品

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図表 2-25 AFPWAA の年間利用料金 単位:円

学則による収容定員数 年間利用料金(税抜)

1,000人未満 個別見積り

1,001~10,000人 1,500,000 10,001~20,000人 2,000,000 20,001~50,000人 3,000,000

※例えば学生数5,000人の学校なら、1人あたりの年間利用金額は300円となる

2.3.3.3 許諾を得る方法の簡便さ

アマナ、ゲッティとも、会員登録(無料)することでウェブサイトから写真の権利処理や使用 料の支払いが可能である。料金は使用料規定を目安に個別協議が必要な場合もあるが、同一の写 真を複数回利用する場合には見積もり条件を登録しておけるような機能も用意されている。

AFPWAAを利用するには、教育機関がクリエイティヴ・リンクと契約を締結した後、教員や学

生がアカウント登録を行う。登録後は、ウェブサイト上でログインを行うことにより、写真の検 索、ダウンロードが可能となる。

2.3.4 文芸作品

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図表 2-26 文藝家協会委託著作者数 全面委託 部分委託108 合計 権利者数 3,057 667 3,724

※平成27年3月現在

図表 2-27 JVCA 委託著作者数

総数 教育目的での利用109 その他の利用

一任型管理110 非一任型許

諾代行111 全面委託 部分委託112

権利者数 359 301 56 19 52

※平成27年3月現在

(2)使用料規程

①文藝家協会

文藝家協会の使用料規程では、主に「出版等」113、「日本放送協会の放送等」、「一般放送事業者 等の放送等」114、「上演・映画化等」、「録音・録画等」が対象となっている。教育機関での ICT 活用教育における著作物の利用については、使用料規程上「その他」115の事項として扱われてい

108 文藝家協会の契約約款に示された委任の範囲のうち、その一部について委任している権利者数。ちなみに電子 化について委任をしていない権利者は調査時点(平成273月)で2名とのことである。

109 教育目的(参考書・問題集・入試過去問題集・学校用図書教材等)に利用される場合、また、学校・教育委員 会等が自校の入試問題を二次利用する場合。

110 一任型管理の著作権者については、使用料規程に則して許諾を発行する。

111 著作権者が非一任型許諾代行で窓口を委託している場合は、申請の都度、JVCAから各著作権者に許諾の可否 や利用料等を確認する。

112 教育目的以外の利用について、その一部の許諾に関してJVCAが著作物利用の窓口となっている権利者数。

113 日本文藝家協会 著作物使用料規程(平成23413日)

(教育を目的とした利用)

8条 著作物を入試問題集・一般教養問題集・学習参考書・学校用図書教材等に複製し、公衆に譲渡する場合 の使用料は次のとおりとする。

(1)一作品の使用料は本体価格の5%に発行部数を乗じた額を本文総ページで割り、使用ページ割合を乗じた額 もしくは2000円のいずれかの高い額とする。

また使用ページ割合は1/4ページごとの面積計算とし、短歌、俳句は一首、一句を1/4ページとする。

(2)発行部数1300部以下については、一作品の使用料は本体価格の5%に発行部数を乗じた額を本文総ページ で割り、使用ページ割合を乗じた額もしくは円のいずれかの高い額とする。

また使用ページ割合は1/4ページごとの面積計算とし、短歌、俳句は一首、一句を1/4ページとする。

2 著作物を副読本に複製し、公衆に譲渡する場合の使用料は、本体価格の6%に発行部数を乗じた額を上限とし て利用者と本協会が協議して定める額とする。

(教科用CD等における利用)

9条 小学校又は中学校の教科用レコード、録音テープ、フロッピーデイスク等に収録された著作物で、教科 書に掲載したものの全部又は一部を利用する場合の使用料は、文化庁告示の補償金の2倍とする。

2 高等学校の教科用レコード、録音テープ、フロッピーデイスク等に収録された著作物で、教科書に掲載した ものの全部又は一部を利用する場合の使用料は、発行部数が1万部を超える場合は前項の規定を準用し、1万 部未満の場合は2万円を上限として利用者と本協会が協議して定める額とする。

3 前項における発行部数は、レコード、録音テープ、フロッピーデイスク等のそれぞれの発行部数を合算した 部数とする。

114 日本文藝家協会 著作物使用料規程(平成23413日)

23条 放送大学学園の行う放送において著作物を利用する場合の使用料は、著作物の性質、利用目的、利用方 法等を考慮して同学園と協議して定める額とする。

115 日本文藝家協会 著作物使用料規程(平成23413日)

(その他)

55 る。

文藝家協会にヒアリング調査を行ったところ、教育機関(営利非営利問わない)におけるイン ターネット送信を伴う利用については116以下の規定を内規として用意しているとのことであった。

図表 2-28 文藝家協会におけるインターネット送信に関する使用料単価

使用方法 単価

ウェブサイトに1年間掲載する場合 5,000円+消費税 イントラネット等、利用者が限定される

場合 3,000円+消費税

配信教材(教科書は除く。授業に伴う配 信に限る。)

1年間の配信の場合、1万人まで3,000円+消費税(内 訳:デジタル使用料1,000円/配信料2,000円)

- 2年目からは配信料2,000円のみ - 1万人を超えた場合は別途料金表に従う

なお、文藝家協会における文芸作品のインターネット利用117に関する許諾状況は図表2-29のと おりである118

図表 2-29 文芸作品のインターネット利用に関する許諾数119

(平成 26 年 9 月~平成 27 年 1 月申請分)

使用目的 件数

ホームページ掲載 359件

e-Learning教材 23件

PDF教材配信 367件

映像配信 222件

データ蓄積 572件

音声配信 4件

電子書籍配信 5件

合計 1,552件

また、ICT 活用教育に係る教材の提供者に関して、デジタル教科書における文芸作品の利用に ついては、文藝家協会では包括的利用許諾でなく、都度申請を受けることとしているとのことで 30条 その他本規程の規定を適用することができない利用方法により著作物を利用する場合は、著作物利用の

目的及び態様、その他の事情に応じて利用者と協議の上、その使用料の額又は率を定めることができる。

116 なお、教育機関における複製利用については、対面授業のための複製であれば法第35条の対象となり、許諾 申請は不要である。初等中等教育機関に関しては、日本著作権教育研究会や著作権利用等に関する教育NPO(通

称:教育NPO)を通じて、法第35条の対象となっていないような、公開研修等のための複製について申請がな

されることが多い。

117 入試問題(過去問)のウェブサイト掲載に関するものが多い。

118 申請者としては、大学や予備校が多い。また、初等中等教育機関に関しては、日本著作権教育研究会や著作権 利用等に関する教育NPO(通称:教育NPO)を通じての申請が多い。

119 大学、予備校、教材会社等、ICT活用教育に関わる許諾数。

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ある。例えば、指導者用デジタル教科書の場合、最初に申請を受けた際に固定額を決め、DVDへ の複製、サーバ配信の両方に対応した許諾を行っている120

②JVCA

JVCAでは、教育機関における著作物の利用については、使用料規程において、「印刷物におけ る利用」121、「コンピュータ・ネットワークにおける利用」を対象に、使用料が定められている122。 教育機関における利用については、教科書に掲載された著作物を教科用CD等に収録する場合と、

入試問題に用いられた著作物の二次利用のみが対象となっており、ICT 活用教育におけるそれ以 外の著作物の利用については、個別の類型としては使用料規程に明記されていない。したがって、

ICT活用教育においてJVCAが管理する文芸作品を利用する場合、各著作権者に個別に許諾申請 を行う必要がある。なお、教育分野での利用許諾の申請や問い合わせは、教材会社による実績が あるのみであり、教育機関からはほとんどないとのことである123

文芸作品分野では、文藝家協会、JVCA が教育分野における文芸作品の利用許諾を行っている が、前述のとおり著作権等管理事業者に権利を委託していない著作権者も多く、多くの場合は個 別に権利処理が行われている。

120 現状は1冊中、文芸作品1点あたりいくらという計算であり、文章の長さや販売数等は考慮されていないが、

その後新たな利用形態や学習者用デジタル教科書が加わったことに伴い、使用料の見直しを行おうとしていると ころである。ただし、学習者用デジタル教科書について、文藝家協会としては「利用する人数に基づいて使用料 を計算する方法」を求めているが、教科書会社側としては、「学校に販売するソフトの数を単位に使用料計算する 方法」を希望しており、合意に至っていない。

121 JVCAの使用料規程(平成2592日届出日)

(印刷物における著作物の利用)

5条 (略)

2 (略)

3 著作物を入試問題・一般教養問題集・学習参考書・学校用図書教材等に複製し、公衆に譲渡する場合の使用 料は、以下の計算式により算出される額、もしくは下表3に定める発行部数に応じた額のいずれか多い金額を 上限として利用者と本協会が協議して定める金額とする。(以下略)

4 学校又は教育委員会が、入学試験問題の二次利用に伴い、当該入学試験問題に掲載された著作物を印刷物に 複製し、公衆に譲渡する場合の使用料は、以下の計算式により算出される額、もしくは下表4に定める発行部 数に応じた額のいずれか多い金額を上限として利用者と本協会が協議して定める金額とする。(以下略)

(俳句・短歌の利用)

6条 (略)

(教科用CD、レコード、録音テープ、フロッピーデイスク等における利用)

7条 学校の教科用 CD、レコード、録音テープ、フロッピーデイスク等(以下、「教科用 CD等」という。 に収録された著作物で、教科書に掲載したものの全部又は一部を利用する場合の使用料は、著作権法第33条 第2項の規定に基づき文化庁長官が定める補償金(著作物の利用をした段階で適用される年度の補償金を基準 とするものとする。)の2倍を上限として利用者と本協会が協議して定める金額とする。

2 前項における発行部数は、教科用CD等の各媒体の発行部数を合算した部数とする。

122 JVCAの使用料規程(平成2592日届出日)

(コンピュータ・ネットワークにおける利用)

8条 学校又は教育委員会が、入学試験問題の二次利用における公衆送信に伴い、当該入学試験問題に掲載さ れた著作物をコンピュータで読み取り可能な形式で複製し、コンピュータ・ネットワークを用いて公衆送信す る場合の使用料は、使用期間に応じて下表に定める金額を上限とし、使用期間が1年間を超える場合は、下表 に定める額に1月ごとに月額1,000円を加算して算出した金額を上限として利用者と本協会が協議して定める 金額とする。(以下略)

123 使用料規程の第9条では、「その他本規程の規定を適用することができない利用方法により著作物を利用する 場合は、著作物利用の目的及び態様、その他の事情に応じて利用者と協議の上、その使用料の額又は率を定める ことができる。」としている。