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目次 1. 本調査の目的と実施方法

2. 国内の ICT 活用教育における著作物等の利用実態

2.3 ICT 活用教育に係る権利者側のライセンシング体制

2.3.3 写真

2.3.3.1 管理団体や窓口

写真分野の著作権等管理事業者としては一般社団法人日本写真著作権協会(以下「JPCA」とい う99。)等が挙げられる。もっとも、JPCAでは、同協会が管理する写真素材をインターネットに 公開したり、メールで送信したりするといった電子的な利用については一切許諾を行っていない

100。そのため、ICT活用教育における写真の利用にあたっては、写真エージェントに使用料を支 払って利用する場合が多く、その他に著作権者から個別に許諾を得て利用する場合もある101

主要な写真エージェントとしては株式会社アマナイメージズ(以下「アマナ」という。)、ゲッ ティ・イメージズ・セールス・ジャパン合同会社(以下「ゲッティ」という。)が挙げられる。

また、株式会社クリエイティヴ・リンク(以下「クリエイティヴ・リンク」という。)は、教育 機関・研究機関を対象に、AFP通信社の報道写真を中心とした1,000万枚を超える写真や、ニュ ース映像、ニュース記事をアカデミック価格で利用できるサービス「AFPWAA」を提供している。

AFPWAA のデータベースには、AFP通信社が権利を保有する報道写真の他、世界各国の通信社

やフォトエージェンシーが権利を保有する写真が含まれている。

ータ化による電子的な複製(PDF、TIFF形式等のファイルを作成する複製を含む)、②①の複製物の電子的な複 製、のいずれかに該当するものをいい、「電子媒体複製等」とは、電子媒体複製又はサーバ蓄積をいうとされてい る。

JCOPYの使用料規程では、「小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学、大学院、大学校、専修学校およ

び知識・技能等を教授するために設置されたその他の教育施設(予備校、私塾、カルチャースクール等を含む)」

とされている。

99 昭和46年に設立され、写真の著作権に関する管理業務等を行っている。「教育目的の利用の写真データベース」

として「E-photo・グラフィカ」というシステムを運営している。当システムは、利用手続きが複雑である文化財

などの写真を、教育利用目的に限り、広く、簡易に利用できるようにするものである。文化財などの写真につい て、著作権の処理のみならず、所蔵者との折衝を含めて、集中管理可能とするシステムである。この「教育目的 の利用」の範囲は、試験問題作成などの著作権の権利制限を受けているものから、過去問題集のような二次使用、

参考書などの一般市販教材、学校で使われる副教材、通信教育教材、予備校・塾等のテキスト、模擬試験などで の利用も含まれることとされている。http://e-photo.jpca-graphica.jp/参照。

100 E-photo・グラフィカ「FAQ」https://e-photo.jpca-graphica.jp/about/faq.aspx参照。

101 東京大学へのヒアリング調査による。

51 2.3.3.2 管理状況と使用料規定

各社・サービスにおいて利用できる管理著作物の点数は下記のとおりである。

図表 2-22 写真に関連する団体や企業の管理著作物数

名称 管理著作物数

アマナ 2500万点以上のコンテンツを保有しており、写真・イラスト素材 の検索結果は300万点以上、ニュース・エンタメ写真の検索結果 は1,800万点以上

ゲッティ クリエイティブ写真(広告・販促用写真素材、イラスト及びアー カイブ写真)の検索結果は1,100万点以上、エディトリアル写真

(最新ニュース・スポーツ・ファッション・セレブ写真)の検索

結果は5,200万点以上

AFPWAA 1,000万点以上の写真と約10万点のニュース映像

※検索はいずれも平成27年3月時点

①アマナ

アマナでは教育機関向けの特別な規定はないが、使用用途として「インターネット、携帯サイ ト、イントラネット/オンラインマガジン、電子ブック」、「教科書・教材/表紙・記事中」にお ける使用料規定を設定している。

図表 2-23 アマナにおける使用料規定

■「インターネット、携帯サイト、イントラネット/オンラインマガジン、電子ブック」用途 単位:円 掲載期間 ~1ヶ月 ~3ヶ月 ~6ヶ月 ~12ヶ月 ~3年 ~5年

(税抜) 20,000 24,000 32,000 40,000 60,000 80,000

(税込) 21,600 25,920 34,560 43,200 64,800 86,400

※期間内・申請内容内の使用箇所数は不問

■「教科書・教材/表紙・記事中」用途

単位:円 使用箇所 使用サイズ ~B7 ~B6 ~B5 ~B4 ~B3 ~B3 CD/DVD 中面、1枚

もの

(税抜) 20,000 24,000 28,000 32,000 40,000 48,000 20,000

表紙 (税抜) 30,000 36,000 42,000 48,000 60,000 72,000

※使用期間:4年間以内

②ゲッティ

ゲッティでは、教育目的利用を対象とした使用料規定を設定していないが、見積もりシミュレ

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ーターで写真ごとに用途を指定して使用料を算出する。例えば、「出版/エディトリアル」の中の

「教科書・教材・テキストの中面」の用途において102、「電子配信あり」のオプション、使用期間

最長7年で1枚18,000円等となっている。

③AFPWAA

クリエイティヴ・リンクと契約を締結することにより、AFPWAAのウェブサイトから写真・図 版・映像等の素材をダウンロードすることができ、ダウロードした素材を利用できる範囲は、図 表2-25のとおりである。教員は、教育用施設や学会等においての写真素材を組み込んだプレゼ ンテーション用データの映写幕又はモニターでの上映や、写真素材のアクセス制限を課したサー バへの複製及び受講生に限定した配信が可能である。一方、学生は、写真素材を用いた作品等を 学校への提出のためにその講義を担当する教員とその受講生のみがアクセスできるウェブサーバ 又はFTPサーバにアップロードする行為が許されている103

図表 2-24 AFPWAA の素材利用範囲

教員 (1)教科書、基本書、副読本、もしくは学術論文で使用すること。

(2)講義、授業等に使用する紙の資料で使用すること。

(3)講義、授業等で行うプレゼンテーション用データとして使用すること。

(4)素材をCD-R 等に収録して受講生に配布すること。アクセス制限を課したサー

バにアップして受講生に配信すること。

(5)学会での研究発表資料、プレゼンテーションのデータとして使用すること。

学生 (1)学校に提出するために作成するレポート、論文(懸賞論文を含む)などで使用

すること。

(2)受講する講義等で製作する作品で使用すること。

(3)学校内で行われるクラブ、サークル等、自主活動として行う研究発表に際して、

会場内で配布される資料やプレゼンテーション用データとして使用すること。

(4)学内新聞又は同人誌等、学校内で行われる自主活動として製作される出版物で 使用すること。

また、定員数を基準とするオンラインデータベースの年間利用料金は下記のとおりである104

102 この用途でカバーされる内容:教科書/教育・研修用テキストの中面(電子書籍の中面)での編集/報道目的で の使用

103 AFPWAA「利用規約」http://www.afpwaa.com/term.html#kiyaku03参照。

104 この他に、必要な素材のみ個別に利用許諾を受けることができる「デジタル素材パッケージ」プランがあり、

教員個人も利用可能である。

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図表 2-25 AFPWAA の年間利用料金 単位:円

学則による収容定員数 年間利用料金(税抜)

1,000人未満 個別見積り

1,001~10,000人 1,500,000 10,001~20,000人 2,000,000 20,001~50,000人 3,000,000

※例えば学生数5,000人の学校なら、1人あたりの年間利用金額は300円となる

2.3.3.3 許諾を得る方法の簡便さ

アマナ、ゲッティとも、会員登録(無料)することでウェブサイトから写真の権利処理や使用 料の支払いが可能である。料金は使用料規定を目安に個別協議が必要な場合もあるが、同一の写 真を複数回利用する場合には見積もり条件を登録しておけるような機能も用意されている。

AFPWAAを利用するには、教育機関がクリエイティヴ・リンクと契約を締結した後、教員や学

生がアカウント登録を行う。登録後は、ウェブサイト上でログインを行うことにより、写真の検 索、ダウンロードが可能となる。

2.3.4 文芸作品