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第8章 教育ニーズ実態調査

第Ⅲ節 教育ニーズ調査の結果

1.「求められる行動」4 段階評価の 46 項目間の比較

教育担当者と看護部長を併せた 223 名の 46 項目 4 段階評価の結果を図 2.(p175)に示 した。「あまりできていない」と「全くできていない」を併せた『できていない』比率が高 い順に上から順位を付けて並べた。( )内は、先の質問で「要求あり」と答えた人数(無 回答を除く)に相当する。以下、『できていない比率』が、50%以上、40%台、30%台、20%

台に分けて、その項目群の特徴を確認していく。文章中の( )は、『できていない』の 回答者人数と比率である。

1)50%以上の 12 項目(1 位~12 位)

上位 12 項目のうち、<エビデンスに基づく実践を推進する役割>が 5 項目あった。1 位

〈能力開発活動のアウトカム指標を開発して評価研究ができる〉:(162 名,82.8%,n=195)、 2 位〈研究を行ったスタッフがエビデンスに基づく看護実践を行っているかどうか追跡で きる〉:(146 名,76.4%,n=191)、3 位〈能力開発活動に最新の研究成果や新しい理論やモ デルを活用できる〉:(125 名,61.3%,n=204)、6 位〈院内の研究チームの中で率先して調 査者、協力者、評価者として率先して研究活動ができる〉:(114 名,56.4%,n=202)、12 位〈スタッフが研究成果を看護実践に活用できるよう支援ができる〉:(99 名,50.2%,n

=198)であった。

<教育責任者の役割>の 3 項目が入っていた。4 位〈看護管理者の能力開発を意図した 教育プログラムが開発できる〉:(118 名,61.2%,n=196)、5 位〈教育プログラムが現場の 看護の質の向上に寄与したかどうか評価できる〉:(130 名,60.2%,n=216)、9 位〈研修で 学んだ知識スキルを現場で活用し行動変容したか評価できる〉:(118 名,54.3%,n=218)

であった。

<リーダー役割>の 2 項目が入っていた。7 位〈採用、配置、報酬、昇格など能力評価 を必要とする人事業務支援ができる〉:(91 名,55.5%,n=164)、10 位〈能力開発活動を記 録モニターしながら活動展開しながら評価改善できる〉:(50.8%)になった。

<変化を推進する役割>の 2 項目が入っていた。8 位〈プロジェクトメンバーが成長で きるようチーム構築を促すことができる〉:(104 名,54.8%,n=190)と、11 位〈プロジェ クトチームを立ち上げチームを導くことができる〉:(98 名,51.6%,n=190)であった。

2)40%台の7項目(13 位~19 位)

7 項目のうち<個人、集団、組織の変化を推進する役割>が 5 項目入っていた。13 位〈学 習成果に対するフィードバックを提供して学習意欲を引き出すことができる〉:(96 名,49.5%,n=194)、14 位〈変革のビジョンを描き関係者にわかりやすく説明説得でき

なものを見極めることができる〉(88 名,44.4%,n=191)、17 位〈スタッフのキャリアニー ズやニーズに合った学習経験を見出す支援ができる〉:(80 名,41.9%,n=191)、18 位〈ス トレスメネジメントおよびメンタルヘルスの支援ができる〉:(78 名,40.4%,n=193)であ った。

<リーダー役割>が 2 項目入っていた。16 位〈能力アセスメントのための評価指標と評 価方法が開発できる〉:(88 名,43.5%,n=202)、19 位〈方針企画を通すために、組織のあ らゆる人に説明説得交渉ができる〉(83 名,40.3%,n=206)であった。

3)30%台の 11 項目(20 位~30 位)

<リーダー役割>の 5 項目が含まれていた。20 位〈活動過程において人的資源と財源を 調整し、問題解決スキルを使って対処できる〉:(79 名,38.1%,n=207)、21 位〈教育や労 働に関する関係法令や倫理原則に従って運営できる〉:(78 名,37.4%,n=209)、22 位〈看 護スタッフの個人履歴を記録保管するしくみを作り個人と全体が把握できる〉:(69 名,35.4%,n=195)、25 位〈経営会議では、能力開発リーダーとして意見交換できる〉:(65 名,32.6%,n=199)、29 位〈能力別・役割別の人材層に区分して期待能力を成文化できる〉:

(62 名,30.4%,n=204)であった。

<教育責任者の役割>の 3 項目が含まれていた。23 位〈中堅層のリーダーシップの開発 を意図した教育プログラムが開発できる〉:(77 名,35.2%,n=219)、24 位〈教育プログラ ムに掛る直接経費と間接経費の年間予算が計上できる〉:(68 名,34.1%,n=199)、30 位〈新 人看護職員の教育指導を担うスタッフの教育プログラムが開発できる〉:(66 名,30.3%,n

=218)であった。

<変化を推進する役割>の 2 項目が含まれていた。27 位〈現場の学習に役立つ資源(図 書、情報、人)を整備して必要時に提供できる〉:(65 名,31.1%,n=209)、28 位〈部署の 教育担当者が OJT の企画運営ができるように支援できる〉:(66 名,31.0%,n

=213)であった。

<エビデンスに基づく実践を推進する役割>の 1 項目が含まれていた。26 位〈スタッフ が研究の知識スキルが身に付くよう、研究活動の支援ができる〉:(64 名,31.4%,n=202)

であった。

4)20%台以下の 16 項目(31 位~46 位)

<変化を推進する役割>の 3 項目が含まれていた。31 位〈部署における学習や教育に関 する問題が発生した場合、支援できる〉:(64 名,29.6%,n=216)、33 位〈臨床現場で看護 スタッフと協同的な良い人間関係を築くことができる〉:(50 名,26.6%,n=208)、38 位〈部 署の管理者と連携協働しながら人材育成を支援できる〉:(36 名,16.4%,n=220)であった。

<リーダー役割>の 4 項目が含まれていた。32 位〈人材開発システム全体における役割

体制の成文化ができる〉:(57 名,26.6%,n=214)、35 位〈看護現場や委員会に参加してス タッフの能力を観察把握できる〉:(44 名,21.2%,n=207)、36 位〈能力開発の課題の抽出 と教育ミッションの成文化ができる〉:(44 名,20.0%,n=220)、39 位〈能力開発や教育の 理念・ビジョンの成文化ができる〉:(32 名,14.3%,n=217)、であった。

<教育責任者の役割>の 9 項目が次のような順位で並んだ。34 位〈成人学習の原理に基 づいて学習意欲を引き出す教育展開ができる〉:(48 名,21.9%,n=220)、37 位〈研修で学 んだ知識スキルの理解度や習得度の評価ができる〉:(42 名,19.1%,n=220)、40 位:〈期待 能力と現実とのギャップを把握して教育ニーズがアセスメントできる〉(29 名,13.3%,n

=218)、41 位〈年間到達目標を設定して多様な能力開発手段を組み合わせてコース設計が できる〉:(28 名,12.9%,n=218)、42 位〈新人看護職員の教育プログラム全体をデザイン し企画運営ができる〉:(22 名,10.2%,n=216)、43 位〈研修の企画運営に関係する人々と 連携協働し全体調整および進捗管理ができる〉:(21 名,9.7%,n=217)、44 位〈研修に対す る対象者の満足度について評価できる〉:(19 名,8.6%,n=221)、45 位〈研修の学習目標を 設定して目標達成のための内容・方法の設計ができる〉:(17 名,7.7%,n=219)、46 位〈研 修の企画運営に関わるスタッフに助言指導できる〉:(11 名,5.0%,n=219)。

このように、集合研修の企画運営に関する項目が下位に並び、「できている」と認識して いる傾向にあった。

2. 「求められる行動」

4

段階評価に対する「教育担当者」と「看護部長」の比較

46 項目の求められる行動 4 段階評価について、教育担当者(自己評価)と看護部長(上 司評価)の中央値の差について、Mann‐WhitneyU 検定を行った。その結果を 4 つの役割ご とに述べる。いずれの項目も教育担当者の平均ランク値が低く、「できていない」と認識し ている傾向にあった。

1)能力開発システムを管理するリーダー役割

リーダー役割 13 項目のうち、以下の 9 項目に有意な関係がみられた(表 11-1.p176)。 以下に、能力ごとに有意な関係があった項目の検定結果を示す。

(1)看護スタッフ能力開発の全体枠組みを構築する能力

〈能力開発や教育の理念・ビジョンの成文化ができる〉は、U=4495.5,p=0.001、〈能力開 発の課題の抽出と教育ミッションの成文化ができる〉は、U=4283.5,p=0.000、〈人材開発 システム全体における役割体制の成文化ができる〉は、U=4173.5,p=0.000、であった。

(2)看護スタッフ能力を把握し評価する能力

U=3811.5,p=0.009、〈看護現場や委員会に参加してスタッフの能力を観察把握できる〉

は、U=4182.5,p=0.002、〈能力アセスメントのための評価指標と評価方法が開発できる〉

は、U=4227.5,p=0.025 であった。

(3)看護スタッフ能力開発活動を統制する能力

〈方針企画を通すために、組織のあらゆる人に説明説得交渉ができる〉は、U=4250.5、p

=0.007、〈活動過程において人的資源と財源を調整し、問題解決スキルを使って対処でき る〉は、U=4240.0,p=0.004、〈能力開発活動を記録モニターしながら活動展開しながら 評価改善できる〉は、U=3720.5,p=0.000 であった。

2)教育プログラム企画運営の教育責任者役割

教育責任者 15 項目のうち、14 項目に有意な関係がみられた(表 11-2.p177)。以下、能 力ごとに、有意な関係があった項目の検定結果を述べる。

(1)年間教育プログラムを設計する能力

〈期待能力と現実とのギャップを把握して教育ニーズがアセスメントできる〉 は、U

=4143.5,p=0.000、〈年間到達目標を設定して多様な能力開発手段を組み合わせてコース設 計ができる〉は、U=4271.5,p=0.000、〈教育プログラムに掛る直接経費と間接経費の年間 予算が計上できる〉は、U=3680.0,p=0.001、〈研修の学習目標を設定して目標達成のため の内容・方法の設計ができる〉は、U=4340.0,p=0.000、〈成人学習の原理に基づいて学習 意欲を引き出す教育展開ができる〉は、U=4337.0,p=0.000、〈研修の企画運営に関係する 人々と連携協働し全体調整および進捗管理ができる〉は、U=5065.0,p=0.020、〈研修の企 画運営に関わるスタッフに助言指導できる〉は、U=4407.5,p=0.000 であった。

(2)集合研修の企画運営を総括する能力

〈研修に対する対象者の満足度について評価できる〉は、U=4872.0,p=0.003、〈研修で学 んだ知識スキルを現場で活用し行動変容したか評価できる〉は、U=4731.5,p=0.006、〈教 育プログラムが現場の看護の質の向上に寄与したかどうか評価できる〉は、U=4665.0,p

=0.005、であった。

(3)特定の教育プログラムを展開する能力

〈新人看護職員の教育プログラム全体をデザインし企画運営ができる〉は、U=4290.0,p

=0.000、〈新人看護職員の教育指導を担うスタッフの教育プログラムが開発できる〉は、

U=3899.5,p=0.000、〈中堅層のリーダーシップの開発を意図した教育プログラムが開発で きる〉は、U=4693.0,p=0.002、〈看護管理者の能力開発を意図した教育プログラムが開発