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第7章 ニーズアセスメント枠組み作成

第Ⅱ節 作成結果

最終的に、46 項目の求められる行動になり、12 の能力サブカテゴリー、4 つの役割カ テゴリーに区分された。<能力開発システムを管理するリーダー役割>、<教育プログラ ム企画運営の教育責任者の役割>、<個人、集団、組織の変化を推進する役割>、<エビ デンスに基づく実践を推進する役割>の 4 つの役割になった。4 つの役割ごとに、表 5-1

(p164)、表 5-2(p165)、表 5-3(p166)、表 5-4(p167)に、結果を示した。最終決 定した行動を≪ ≫で示し、その下に、統合に活かした項目を色分けして並べた。〈文献 からの概念整理〉は緑色、〈先駆的病院インタビュー〉は青色、〈専任教育担当者インタビ ュー〉は赤色、で示した。以下の説明文では、文献:[ ]、トップマネジメント:『 』、

専任教育担当者:〈 〉で、項目を示す。

1.能力開発システムを管理するリーダー役割

看護部組織において、周囲が、能力開発のリーダー役割を果たしているというイメージ をもつには、【看護スタッフ能力開発の全体枠組みを構築する能力】、【看護スタッフの能 力を把握し評価する能力】、【「看護スタッフ能力開発」の過程を統制する能力】の 3 つの

能力を発揮して仕事を成し遂げていく必要がある(表 5-1、p162)。

1)看護スタッフ能力開発の全体枠組みを構築する能力

全体枠組みを構築するためには、以下の 3 つの行動が求められる。

(1)≪能力開発および教育の理念とビジョンの成文化ができる≫

(2)≪能力開発の課題・目標を抽出し教育ミッションの成文化ができる≫

(3)≪人材開発システム全体を理解し役割と連携体制を成文化できる≫

全体枠組み構築のためには、人材開発に関する幅広い情報収集が求められていた。文献 では、[行政の報告書、最新トピックス、顧客ニーズなどの情報を収集する]。先駆的病院 インタビューでは、『看護の人的資源に関する外部環境を把握する』、『組織の経営方針や人 事戦略を理解する』、『看護に関する法律や社会の変化を把握する』、『看護の人的資源に関 する内部環境を把握する』、『人材開発システム全体像の中に教育を位置づける』、『看護部 の教育理念、方針、人材像を理解する』であった。これら 7 項目は、全体枠組み構築の全 工程で必要な認知的側面の知識スキルである。これらの内容を理解して、最終的にどのよ うな行動をとる必要があるかという視点で他の項目を確認した。文献からは、[組織の方針 を受けて、教育理念、教育目的・目標、ミッションを提案する]、[目標と現実のギャップ を診断し、能力開発の重点課題と教育の長期目標を設定する]であった。また、専任教育 担当者インタビューでは、〈能力開発および教育の理念・ビジョンが成文化できる〉〈能力 開発の人事戦略的目標が提案できる〉、〈能力開発の将来課題や施策が提案できる〉であっ た。

以上の全体枠組み構築に必要な内容は、「理念、目的、目標、ミッション、課題、長期目 標」であるが、その中で、まず「理念とビジョン」の明確化が出発点になる。また、全体 枠組み構築するという仕事を成し遂げるためには、考えたことを「成文化できる」ことが 必要であると考え、≪能力開発および教育の理念とビジョンの成文化ができる≫とした。

それを受けて次に、「課題、目標、ミッション」を陳述する必要があるので、≪能力開発 の課題・目標を抽出し教育ミッションの成文化ができる≫とした。

次に人材開発に関わる人の連携体制である。先駆的病院インタビューで『人材開発シス テム全体像の中に教育を位置づける』、『個人の最大パフォーマンスが引き出せる最適な人 材開発施策を考える』とあった。ここから「人材開発」システムそのものを作るのではな く、人材開発システム全体を理解して、能力開発活動に関連づけて体系的に取り組むこと だと判断した。そこで、文献からの[教育目標を達成するための組織機構と連携システム を提案する]に統合させて、≪人材開発システム全体を理解し役割と連携体制を成文化 できる≫とした。

2)看護スタッフ能力を把握し評価する能力

看護スタッフ能力を把握し評価するためには、以下の 5 つの行動が求められる。

(4)≪看護スタッフの個人履歴を記録保管するしくみをつくり個人と全体を把握できる≫

(5)≪看護現場や委員会に参加してスタッフの能力を観察把握できる≫

(6)≪能力別・役割別に人材層に区分して期待される能力を成文化できる≫

(7)≪能力アセスメントのための評価指標と評価方法が開発できる≫

(8)≪採用,配置,報酬,昇格など能力評価を必要とする人事業務を支援できる≫

まず、看護スタッフ全員の人材プールを記録データによって把握することである。文献 では、[個々のスタッフのポートフォリオを保管し組織の人材の特徴を把握する]とあっ た。インタビューデータでは、『個人と集団の能力開発状況が把握できるシステムを作る』

と〈個人と全体の能力評価状況が把握できるしくみを作ることができる〉であった。ポー トフォリオは一つの方法であって、重要なことは、個と全体が把握できる「しくみづくり」

であると判断し、≪個人履歴を記録保管するしくみをつくり個人と全体が把握できる≫

とした。

次に、記録だけでなく、自分が実際に看護スタッフの実践を観察し把握することである。

文献からの[看護現場に出向いて観察やスタッフとのコミュニケーションから情報収集す る]と、先駆的病院インビューの『看護現場の教育ニーズを把握する』、『看護現場に入っ て看護能力の実態を把握する』を統合して、≪看護現場や委員会に参加してスタッフの 能力を観察把握できる≫とした。看護スタッフの能力を観察できる場面は病棟だけとは 限らないので委員会も入れた。

以上のような方法で看護スタッフの能力を把握したならば、次は、『人材の実態から独 自の人材フレームをつくる』ことと、[人材層別に期待する到達目標を明確にする]こと である。インタビューデータでは、『ラダー別の能力評価指標を開発する』とあったが、

病院によっては必ずしもラダーを導入しているとは限らないので、「能力別・役割別」と いう言葉を用いて、≪能力別・役割別に人材層に区分して期待される能力を成文化でき る≫とした。

次に、人材層別に成文化した「期待される能力」を、誰がいつどこでどのような方法で 評価するのかといった評価するしくみ、つまり『能力評価運営システムを作る』ことに取 り組む必要がある。インタビューデータで、〈ラダー段階別の能力評価指標と評価方法が 開発できる〉とあったように、病院独自の評価の「指標」と「方法」の開発が必要となる ため、≪能力アセスメントのための評価指標と評価方法が開発できる≫とした。

そして、先駆的病院インタビューの『人材開発システム全体像の中に教育を位置づける』

と、『個人の最大パフォーマンスが引き出せる最適な人材開発施策を考える』が示すよう に、人材開発システム全体の中で、能力評価システムを機能させる必要がある。つまり、

能力評価と教育の連動だけでなく、[人事と連携させる看護スタッフの職務遂行能力を評 価するしくみを作る]ことが重要である。このしくみの中で、専任教育担当者は、≪採 用,配置,報酬,昇格など能力評価を必要とする人事業務を支援できる≫ことによって、

自らの【看護スタッフ能力を把握し評価する能力】を周囲に認知させ、能力開発システム のリーダー役割を果たすことになる。

3) 「看護スタッフ能力開発」の過程を統制する能力

能力開発の過程を統制するためには、以下の 5 つの行動が求められる。

(9)≪経営会議では、能力開発のリーダーとして意見交換できる≫

(10)≪方針や企画を通していくために、組織のあらゆる人に説明・説得・交渉できる≫

(11)≪活動過程において人的資源と財源を調整し問題解決スキルを使って対処できる≫

(12)≪全ての能力開発活動を記録モニターし活動展開しながら評価改善できる≫

(13)≪教育や労働に関する関係法令や倫理原則に従って運営できる≫

文献の[会議では、簡潔明瞭に説明ができ建設的に意見交換する]と、先駆的病院イン タビューの『進捗状況を上層会議で説明し企画を推進していく』を併せて、会議場面にお ける行動として、≪経営会議では能力開発のリーダーとして意見交換できる≫とした。

会議も含めたあらゆる機会や場で、〈企画書を作って説明できる〉と〈企画を通すため に職員に交渉し師長に説得できる〉といった行動が教育担当者の学習ニーズとして出てい た。そこで、≪方針や企画を通していくために組織のあらゆる人に説明・説得・交渉で きる≫とした。

また、同じく能力開発の過程において、文献では、[人的資源と財源を調整し、効果的 な交渉を行う]と、[効果的にコミュニケーションをとり問題解決スキルを使って対処す る]が必要であった。人との交渉はやコミュニケーションは上記で既に採り上げたので、

ここでは、≪活動過程において人的資源と財源を調整し問題解決スキルを使って対処で きる≫という表現にした。

次に、文献の[全ての能力開発活動を記録保管し評価データにする]や、先駆的病院イ ンタビューの『能力開発活動のデータを分析しながら評価改善していく』や、専任教育担 当者インタビューの〈システム活用の結果に基づいて評価改善できる〉からは、能力開発 にも PDCA サイクルを回すことが重要であることが示唆された。データを記録しモニタリン グすることによって、活動と評価改善を循環させることができると判断し、ここでは、≪

全ての能力開発活動を記録モニターし活動展開しながら評価改善できる≫という表現に した。

最後に、文献の[労働や教育に関する法律や倫理的原則に基づいて活動する]と、専任