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故障・信頼性

ドキュメント内 保全コスト平準化に向けた (ページ 32-36)

第 3 章 電力設備に対する保全活動

3.1 電力設備の信頼性

3.1.3 故障・信頼性

機器、装置などのハードウェアにおける故障(failure)とは、その要求機能を失うことで あり、災害等による破損も故障に含めるものと考える。信頼性とは、JIS Z8115によれば、

「アイテムが与えられた条件で要求された機能を果たすことのできる性質」と定義されて おり、したがって、信頼性が高いということは故障が発生しにくいことを意味する。

なお、上記意味での故障を機能故障と呼ぶ。設備を構造物と捉えると、その中の一部の部 品が故障していても、設備の機能故障とならず、稼働を継続することができる構造の設備 や故障もある。このような故障を潜在故障と呼ぶ。この場合、故障個所も発見できずに隠 れた故障となる場合もある。また、故障に派生して発生する故障を従属故障と呼ぶが、本 研究では、従属故障を故障に含めないものとする。

故障率(failure rate)とは、「ある時点まで動作していたアイテムが引き続く単位時間内に 故障を起こす割合」と定義される。設備の寿命分布を表す密度関数を、故障確率密度関数 と呼び、それをもとに、信頼性を定量的に示す信頼度(Reliability)を含め、各概念の定義を 行うと以下のようになる。

λ(t):故障率

f(t):故障確率密度関数(寿命分布を表す密度関数)

(t)

R :信頼度関数 (t)

F :不信頼度関数

とおくと、それぞれは次のように記述できる。

𝐹 𝑡 = 𝑃(0 ≤ 𝑠 ≤ 𝑡) = 𝑓 𝑠 𝑑𝑠

𝑡 0

𝜆 𝑡 = 𝑙𝑖𝑚

△𝑡→∞

𝑃(𝑡 < 𝑠 < 𝑡 + ∆𝑡 𝑡 ≤ 𝑠)

∆𝑡 = 𝑙𝑖𝑚

△𝑡→∞

1

∆𝑡∙𝑃 𝑡 < 𝑠 < 𝑡 + ∆𝑡 𝑃 𝑡 ≤ 𝑠

= 𝑙𝑖𝑚

△𝑡→∞

1

∆𝑡∙F(𝑡 + ∆𝑡)-F(𝑡)

(𝑡) = 𝑙𝑖𝑚△𝑡→∞

1 R(𝑡)

dF 𝑡 𝑑𝑡 =𝑓(𝑡)

𝑅(𝑡)

これらの関係を図 3.5に示す。また、動作時間に対する信頼度関数、および、不信頼度関 数のグラフイメージを図 3.6に示す。

図 3.5 故障確率密度関数、信頼度関数、不信頼度関数の関係

図 3.6 信頼度関数、不信頼度関数

また、一般に、故障率λ(t)は、その故障発生期間に応じて3つの期間に分けて考えられる ことが多い。

寿命 t 故障

確 率密 度

0 t

動作時間 t 信頼

度・ 不 信頼 度

0

F(t) R(t)

f(t)

R(t) F(t)

1) 初期故障期間(故障率減尐形:DFR)

初期故障は設備使用後の早い時期に、設備製品の不良、導入工事の不良、まはた、使用 環境との不整合などの原因で発生する故障である。そのため、設備導入時の試運転など 初期故障を低減するための施策が実施される。

2) 偶発故障期間(故障率一定形:CFR)

設備は、初期故障や务化による部品の故障と異なり、複数の故障原因を有する。故障率 が低く、ほぼ一定で推移する。

3) 摩耗故障期間(故障率増加形:IFR)

摩耗故障は、疲労と摩耗の务化現象になどによって、時間とともに故障率が大きくなる 期間である。そのため、保全コストが次第に大きくなる。設備の故障率が著しく増加し、

保全コストが経済的に見合わない状況になった場合、設備交換が行われる(この意味の 寿命は物理的寿命に含まれる)。そのため、予防保全の適用が有効である。

設備のライフサイクルにおける故障率λ(t)の推移は、务化を伴う設備の場合、バスタブ曲 線を描く。そのイメージを図 3.7 に示す。なお、半導体分野では、偶発故障期間を初期故 障期間の延長と考え、初期故障期間と摩耗故障期間の2つによる説明をしている文献もあ る[15]。

図 3.7 バスタブ曲線

故障率の推移パターンはその設備特性を反映したものであり、その故障原因により、初期 故障、偶発故障、务化による故障への分類がなされる。設備故障は、初期故障を除いて、

偶発故障と务化による故障に分類され、設備保全活動で予防的にその故障率改善が可能な 時間 t

0

初期故障

期間 偶発故障期間 摩耗故障期間

のは、务化による故障であるため、务化故障に対する故障原因のメカニズムの解明はその 故障率低減に大きな貢献する要素となる。

なお、ここで、設備に対する故障率を扱っているが、务化現象は、設備を構成するアイテ ム毎にその進展プロセスが異なっており、個々のアイテムの务化原因に対し、時系列的な 故障率、および、故障率の推移パターンを持つ。これらが設備に統合されて、設備の故障 率が定義される。これらについては、「設備単体保全モデル」の中で後述する。

このような务化プロセス、および、故障率推移が分かれば、一般的には、IFR期に、この 务化事象に対応する保全活動を行うことにより、务化状態を改善することができ、設備の 信頼性が回復する。すなわち、アイテム毎に、一定の信頼性を維持するため、保全コスト 低減を図りながら、適切な時期に適切な务化改善の保全活動を行う最適保全計画を策定す ることができる。これを当該設備に対する最適保全政策と呼ぶ。設備はアイテムから構成 される集合体であり、保全対象のアイテムの故障率改善が、設備としての故障率の改善に つながることにより、「設備」の信頼性の改善を見ることができる。このように、务化する 設備は、事前に故障兆候が見られた場合に、その兆候を除去する保全活動を行うことで、

延命化を図る施策がなされる。設備の最適保全政策は、その部品であるアイテムに対する 保全活動とその時期が決まれば、それらを総合して、設備の最適保全政策が決定する。

また、偶発故障は、偶発故障期間に発生する故障と定義されるのが一般的であるが、务化 故障のような故障に至るプロセスが十分解明されていないため、ある一定確率でランダム に発生する故障と捉えることができる。この意味では、摩耗故障期間であっても、偶発故 障はある一定の確率で発生するとみなすことができる。本論文では、この立場で、偶発故 障を捉える。設備・アイテムに対し务化事象の有無に関わらず、ランダム故障の考慮が必 要である。また、ランダム故障に対する保全方式は、事後保全となることが多く、設備の 冗長化を含めた対策が必要である。

以上から、設備のライフサイクルと故障の関係を、表 3-4のようにまとめることができる。

保全計画立案時には、例えば、遮断器のように保全の反復により、機能が回復する修理系 機器と、変圧器のように巻き線の保全が困難なために絶縁材の务化状況を監視する非修理 系機器に区分するなど、务化有無を含めた設備特性をもとに保全方式を決定することが重 要である。

ランダム故障 务化故障

定義 故障発生確率が一定で、設備の状態と 無関係に発生する。

設備の务化の結果として発生した故障 保全方式 保全活動による故障防止ができない。

事後保全による対応が多い。

务化状態を改善するための効果的な保 全があり、状態基準保全によりその適用 ができる。

特徴 故障発生確率が一定 务化が進展すると故障確率が増加する。

表 3-4 故障プロセスの分類

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