第1章 序論
3.2 スカート部フリクション数値計算法
3.2.7 計算手順の概要
以上の諸関 係式か ら油膜圧 力,油 膜厚さ, 摩 擦力を求め るため の数値計 算のフ ロー チャート図を図3-16に示す.計算の流れの概要は,
①最初のクランク角度のhとスクィーズ項 h tは仮定する.
②平均レイノルズ方程式(3-19)の差分式(3-37)をSOR法で解き圧力分布 pi,jを求める.
収束条件は pi(,nj)とpi(,nj 1)の差が0.5%以内とした.
③スクィーズ項の計算は式(3-30), (3-31)を満足するスクィーズ速度h&をニュートンラ フソン法で求める.h&k 1とh&kの差が0.2%以内になったとき収束したと判定した.
④得られた スクィーズ 速度から 次のクラ ンク 角度の油膜厚 さhはオイラー法(73)により 求める.
⑤クランク角度を進めて油膜厚さを求め,サイクル的に収束するまで計算を繰返し,摩 擦力を求める.クランク角度 0 度と 720 度の油膜厚さの差が 1%以内となった時,収 束したと判定した.
⑥3.1.8 項で求められるスカート荷重は油膜厚さ分による荷重の増加は考慮されないの で油膜厚さ分オーバラップ量が増えるとし,図 3-14,表 3-1 のオーバラップ量とオ ーバラップ荷重の関係を用いスカート荷重を補正する.補正した新たなスカート荷重 を用いて再度計算を行い,油膜厚さがサイクル的に収束するまで計算を繰返す.収束 の判定はクランク角度 90 度においてスカート荷重補正前の油膜厚さと荷重補正後の 油膜厚さの差が 1%以内か否かで行った.
ここで数値計算の際のスカート部分割数(格子点数)と計算精度,計算時間について調 べた結果を図 3-17 に示す.格子点数が 700 以上ではフリクションの値はある一定値に 近づいており,これ以上分割数を増やす必要がないことが分かる.したがって本研究で は分割数を 26×26(格子点数 729)程度とし計算時間の短縮を図った.また本計算法では 計算途中での振動や発散はなく,すべての計算条件で収束した.
なお,プログラムはマイクロソフト Visual C++ Ver. 6.0 を用いて作成し,パソコン で計算を実行した.
図 3-16 スカート部計算のフローチャート 式(3-37)のpi,jはSOR法で解き,油膜が分担できる荷重whを求める
式(3-33)のpsをSOR法により解き,psの積分値F (h&)を求める 式(3-30)よりF(h&)を求める
h&をニュートンラフソン法の式(3-34)を用いて繰り返し計算する
1
h&k とh&kの差が
0.2%以内か
次のクランク角度 1の油膜厚さh 1は dt
h h
h &
1
流体摩擦力の計算 筋状部摩擦力の計算 固体接触摩擦力の計算
油膜厚さから固体接触の荷重 wbを求める スカート荷重 wsから油膜分担荷重求 whを求める
入力データの読み込み
ボア,ストローク等のエンジン諸元,運転条件,オイル粘度 摺動面形状・面積,表面粗さ,スカート荷重データ,など
クランク角度 720 度か
クランク角度 0 と 720 度の 油膜厚さ h0とh720の差は 1%以内か
表(3-1)により油膜厚さ分のオーバラップ荷重を 補正し新たなスカート荷重を求める
クランク角度 90 度における
スカート荷重補正前の油膜厚さh90(n)と補正後 h90(n+1)の 差は 1%以内か
終了
最初のクランク角度 の初期油膜厚さh,h&は仮定する
①
②
③
④
⑤
⑥
⑥
No
No
No
No
図 3-17 スカート部の格子点数(分割数)と計算精度および時間 CPU:Pen4, 3.0 GHz
0 5 10 15 20 25
0 500 1000 1500 2000 格子点数
計算時間 H
0 1 2 3 4 5
スカートフリクション kPa
計算時間 フリクション