第1章 序論
3.3 リング部のフリクション計算法
3.3.2 記号およびモデル化
pC :接触部における面圧( WC/AC) [Pa]
t :時間 [sec]
U :リングの滑り速度 [m/sec]
W :リングに作用する全法線荷重(外力) [N]
WC :滑り面全体における接触部で支持される法線荷重 [N]
WCd :単位面積当りの接触荷重( WC/bl) [N/mm2] Wh :油膜で支持される法線荷重 [N]
z
x, :リング摺動面の座標系
xR :レイノルズの境界条件における油膜終端位置 [mm]
:境界潤滑膜の剪断強度を与える式(3-109)中の経験定数(0.08〜0.3) :球状先端の曲率半径(すべて同じ値と仮定する) [mm]
:表面粗さの方向性パラメータ
:中心線を基準とした表面曲線の高さ [mm]
:球状突起の面密度 [1/mm2]
:リング後方領域における筋状流れ部の幅の割合 :オイルの粘度(絶対粘度) [Pa・s]
1 :ピストンリングのポアソン比
2 :シリンダライナのポアソン比
:2表面の合成RMS粗さ( 12 22 ) [mm]
1 :ピストンリングのRMS粗さ [mm]
2 :シリンダライナのRMS粗さ [mm]
C :境界潤滑における剪断応力(単位面積当りの境界摩擦力) [Pa]
h :粘性による剪断応力(単位面積当りの摩擦力) [Pa]
str :筋状流れ部における剪断応力(単位面積当りの摩擦力) [Pa]
0 :境界潤滑膜剪断強さ,式(3-109)中の定数 [Pa]
(面圧 p 0の時,2 MPa とする)
S
X, :Patir(21)(22)らの定義による圧力流れ,剪断流れに関する修正係数
S f p f
f, , :Patir(21)(22)らの定義による摩擦力に関する修正係数 : 粗さ形状に関する経験定数,0.05 とする
/ : 粗さ形状に関する経験定数,0.0001〜0.001 とする
<無次元化>
ここで無次元化に関する定義式をまとめて記述する.
①滑り方向座標x及び関連変数
基準長さをリングの摺動長さbにとり無次元化する.
b B b b X x b X x b X x b
X x, R R, S S , O O, F F
②油膜厚さ及び関連変数
基準長さは合成RMS粗さ にとり無次元化する.
t t d d m m
H h H h
H h
H h, , ,
③時刻
クランク角速度 を基準として無次元化する.
t
T
④滑り速度U
基準をCR(クランク半径)とする.
R
N C
U U
⑤圧力
無次元化した時の数値が桁違いに大きくあるいは小さくならないように , を用い て無次元化する.⑥,⑦,⑧も同様である.
2 2 2
1 2 1
2 2
, 6 , 6
, 6
6 p
b P R
b p P R
b p P R
b p
P R
⑥法線荷重(リング周方向の単位長さl) l
W b
WN R 2
2
6
l W b R
WhN 2 h
2
6
l W b R
WCN C
2 2
6
⑦剪断応力,または単位面積当りの摩擦力
C C
A str str
h
Ah R Τ R Τ R Τ R
Τ , , 0 0,
⑧摩擦力(単位長さ当り)
l f b F R
l f b F R
l f b F R
l f b
F R , h h, C C , str str
⑨固体接触面積
d C C N
C A
bl
A A
⑩その他
CR
L b
(b) ピストンリングのモデル化および仮定
図 3-18(a)(b)に表面粗さ,境界潤滑における摩擦力を考慮したピストンリングのモ デル図を示す.リング,ライナの摺動面はともにある粗さがあるとし,摺動面形状は古 浜(23)と同じく放物線と直線から構成した.局所油膜厚さhtは図 3-18(b)に示すとおり リングとライナ間の粗さを含めた局所的な油膜厚さである.
<仮定>
本研究で行うピストンリングの計算においては次の仮定を行う.
(1) リングの摺動面には十分なオイルがあるものとする.この仮定は Top リング,2nd リング,オイルリングすべてに適用する.
直線部 放物線
b1
b
hd hm
接触面積 AC 外力W(法線荷重)
x z
0
滑り速度 U
RMS 粗さ 1
RMS 粗さ
2
bF b1
ライナ リング
(a) ピストンリング全体のモデル オイル
図 3-18 ピストンリングのモデル化 (b) 粗さの拡大図
ライナ リング
h
1
2
2
h 1
ht
2
1
(2) リングの捩じれや摺動面の傾きはないとする.
(3) 油膜の終端条件にはレイノルズの境界条件を用いる.
ここで図3-19に油膜終端部条件の代表的な例を示す.図の(a)は古浜(23)の境界条件を 示す.油膜終端は直線部の終わりに固定している.油膜終端を固定できるので計算が簡 単になる利点がある.図3-19(b)は本研究で用いるレイノルズの境界条件であり,p=0,
∂p /∂x= 0となる点を油膜終端xRとし,xR は条件 により変化する .すべり軸 受などで使 われる一般的な境界条件である.古浜の境界条件はすべり速度が速い場合には適応でき るが,上下死点などすべり速度が小さくなり油膜が薄くなっていく時には適応できない.
ただし,計算式導入の過程では説明の簡単化のため古浜の境界条件についても記述する.
図 3-19 油膜圧力終端の境界条件 z
0 x
b U
ライナ リング
(b) レイノルズの境界条件
x p
p=0,
0 0
x
p
xR オイル
z
0 x U b
ライナ リング
p
x p=0
0
(a) 古浜の境界条件 bF オイル
p2 p1
p2 p1
3.3.3 筒内圧を考慮したフリクション計算法(古浜の境界条件)