• 検索結果がありません。

基礎式(レイノルズ方程式)と仮定

第1章  序論

2.7  実働時のスカート変形量測定法

3.1.2  基礎式(レイノルズ方程式)と仮定

本章で記述するフリクション計算は流体潤滑状態の摩擦力と境界潤滑状態の摩擦力を 求める方法である.流体潤滑の摩擦力は表面粗さを考慮した Patir(21)(22)らの平均レイ ノルズ方程式を解き求めるのであるが,ここではその元となるレイノルズ方程式とその 前提条件について主に記述する.レイノルズ方程式は潤滑の教科書に一般的に記載され ている内容(例えば文献(59))であるため概略を示す. 

レイノルズ方程式は微小流体部分に働く力の釣り合いと流れの連続の条件とから得ら れるが,この方程式を導くために次の仮定を設ける. 

 

<仮定 1> 

(1) オイルはニュートン流体である.即ち,流れの剪断応力は剪断速度に比例する. 

(2) 慣性力は無視できる. 

(3) 重力は無視できる.油膜内に働く重力は圧力および剪断力に比べてはるかに小さい. 

(4) 油膜厚さは摺動面の寸法に比べて非常に小さい.したがって粘度,圧力は油膜厚さ 方向に一定とみなせる. 

(5) 摺動面の表面でオイルは摺動面と同一の速度を有する. 

(6) 流体の粘度は一定とする. 

 

図 3-1 に示すように上下の摺動面の速度を U2,U1とし,x 軸,y 軸,z 軸を図に示し たようにとる.油膜中の中に各辺の長さが dx,dy,dz である微小直方体を考え,これ に働く方向の力の釣り合いを考える.この場合流体に働く慣性力は(2)により無視する から,圧力 pと剪断応力 を考えればよい.これらの力は図 3-1 に示すように釣り合っ ているから次式が成り立つ. 

0 dxdy zdz dxdy

dydz x dx

p p

pdydz  

したがって次式が成り立つ. 

z x

p       (3-1)  仮定(1)によりux方向の速度成分, を流体の粘度とすると次式が成り立つ. 

 

                   

z u 

これを式(3-1)に代入すると  z

u z x

p       (3-2)  仮定(4)により式(3-2)をzに関して積分できる.また仮定(5)により速度uに関して次式 が成り立つ. 

0

zu U1  h

zu U2 

ここでhは摺動面の任 意の位置 xyおよび時刻tにおける油膜厚さであ る.一般の形 で書けば次式で表される. 

t y x h

h , ,  

したがって式(3-2)および(3-3)から次式を得る. 

1 1 2 2

2

1 z U

h U zh U

x z

u p        (3-4) 

このuzに関して0からhまで積分すれば単位幅当たりの方向に流れる流量Gxが求ま る.即ち, 

U h U x p dz h

u G

h

x 1 12 1 2 2

3 0

      (3-5)  右辺第1項は圧力勾配による流量,第2項は壁面速度による流量を表す. 

同様にy方向の速度成分vを積分してその方向の流量Gyを得る. 

y p dz h

v G

h

y 1 12

3 0

      (3-6)  ここでy方向には摺動面は運動していないからU1U2に相当する速度は0である. 

今,図 3-2 に示すように油膜内の微小角柱(dx dy h)について微小時間dtの間に角柱 の4側面から流入する体積と流出する体積の差は,図中上側のz方向の速度 h tによ る角柱の体積増加分に等しい(連続の条件)から次式が成り立つ. 

(3-3)  図 3-1  微小流体に働く力の釣り合い

U2

zdz

U1

x z

y

τ

p dx

x p p dx

dz

                       

dxdydt t dxdt h y dy

G G G dydt x dx

G G

Gx x x y y y  

したがって次式を得る. 

t 0 h y G x

Gx y       (3-7)  この式に式(3-5),式(3-6)を代入すると 

t h x

U h y U

p h y x p h

x 6 1 2 12

3 3

      (3-8) 

これが油膜内における圧力 p の時間的,空間的分布を支配する基礎方程式であり,レ イノルズ方程式と呼ばれている.

本研究では基礎方程式として表面粗さ形状が考慮できる Patir(21)(22)らの平均レイノ ルズ方程式を用いた.Patir らの命名による平均レイノルズ方程式とは表面粗さがある 場合に隙間を流れる油の流量を xGxyGyのように圧力流れに対する修正係数 x, y と,剪断流れに対する修 正係数 Sを用いて表し ,レイノルズ方程式に修 正係数を付加 する事で表面粗さの影響を表す理論モデルである.Patir(21)(22)らの修正係数を導入する と,式(3-8)のレイノルズ方程式は次の形に修正される. 

t h U x

x U U h y U

p h y x p h x

S t t

y

x 6 1 2 6 1 2 12

3 3

        (3-9)  ここで,U2 0,U1 Uとすると式(3-9)は次のように表される. 

t h x x

U h y p h y x p h x

S t t

y

x12 12 2

3 3

      (3-10) 

ただし,htは Patir(21)(22)らの定義による局所油膜厚さの平均であり(詳細は図 3-18(b),

式(3-44)を参照), は2表面間の合成RMS粗さを示す. 

x z

y

x dx Gx Gx t

h

y dy Gy Gy Gx

Gy

図 3-2  油膜内における流れの連続 dx

dy

<仮定 2> 

ここで以下の項目を本研究におけるスカート部とリングの計算に共通の仮定とする. 

(7) 摺動面形状は変形せず,摺動面全体の傾きはないとする. 

(8) 摺動面内のオイルは十分にあるとする.