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第1章  序論

4.7  ピストン系全体のフリクション実験結果と計算結果

4.7.3  モード走行燃費の推定

4.8 4章のまとめ 

4.2 節ではスカート荷重計算時の主要なデータであるスカート剛性の測定結果につい て述べた. 

スカート部のフリクション計算時には外力となるスカート荷重の計算結果については 4.3 節において検討し,計算結果の妥当性を確認した. 

4.4 節においては新たに開発した分離型浮動ライナエンジンⅠによるリングとスカー ト部のフリクション測定結果について示した.その測定結果から,ガソリンエンジンで はスカート部のフリクション割合は仕様や運転条件の違いにより 35〜60%と大きく異 なってくる(図 4-17)事が分かった.フリクション低減のためにはスカート部仕様の十 分な検討が必要であることを指摘した. 

次にスカート部フリクションの測定値を用い計算精度の検証を 4.5 節において行った.

計算精度は摩擦力波形と FMEP の値を実験値と比較して判断するが,摩擦力波形を比較 する上で重要な点は,一つは荷重が作用する時および上・下死点付近の境界潤滑時の摩 擦力で あり, もう一 つは 行程中 央付近 での 流 体潤滑 時の摩 擦力で ある .摩擦 力波形と FMEP の計算値と実験値とを比較(図 4-22〜図 4-25)した結果よく一致することが分かっ た.以上の結果から計算精度は十分あり,計算方法が妥当であることを示した. 

計算精度が確認できたので計算によるスカート部フリクション低減策を 4.6 節で検討 し,いくつかの低減策を提案した.低フリクションのためには,スカート剛性を小さく する(スカートの肉厚を薄くする,(図 4-29))こと,摺動面積を一定にした場合には摺 動方向に対して横長の形状にする(図 4-30)こと,スカートプロファイルをよりたる型 形状にする(図 4-31)ことが有効であった. 

4.7 節ではピストンリングを含めたピストン系全体のフリクションと潤滑問題につい て述べた.ピストンリングの計算精度も得られている(図 4-34)ことを確認し,スカー ト部の計算結果と合わせてピストン系全体のフリクション計算結果とした.浮動ライナ エンジンⅡによるピストン系全体のフリクション実験値と計算値とを比較した結果,実 験値と計算値が一致するピストンと一致しないピストンがあること(図 4-36,図 4-37) が分かった.一致しないピストンの摩擦力波形は上・下死点付近や大きな荷重が作用す るクランク角度において計算値と異なる大きな摩擦力波形を示していることから,スカ ート部がオイルスタベーションの状態にあると判断した. 

次章ではスタベーション確認のため実施した油膜可視化の実験結果について記述する.  

   

           

第 5 章  

 

油 膜 可 視 化 に よ る 潤 滑 特 性 と   フ リ ク シ ョ ン の 解 析  

   

5.1 本章の概要 

スカート部のフリクションは潤滑状態の影響を受けると考えられ,さらに前章におい てスカート部のオイル不足(starvation, スタベーション)によるフリクション増大の現 象と推定される現象があることも分かった.そこでスカート全体の油膜を観察し,スカ ート部潤滑状態とフリクションの関係を解析した結果を本章で述べる. 

油膜の可視化は油膜厚さに比例した蛍光が得られる誘起蛍光法により行う.良好な油 膜画像を得るため,蛍光剤,光学フィルターなどの組み合せを最適化した上で,ファイ アリング時のスカート部の油膜撮影を行った. 

最初にスカート部にオイル不足が起きていることを油膜画像により確認し,次にオイ ル不足が起きる原因やスカート形状と潤滑状態との関係などを油膜画像により調べた.