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振り返りシートに見られた参加者の声

ドキュメント内 -介護現場で共に生きる視点から考える- (ページ 167-171)

第 4 節 本論文におけるワークショップの実践

4.5 実践報告

4.5.4 振り返りシートに見られた参加者の声

154ページ図12の振り返りシートは、ワークの途中で仕事に戻られた1名を除き、

10名(外国人介護人材7名、日本人職員3名)が記入した。

まず⑴の「ワークショップを楽しめたか」という問いに対し、「とても楽しめた」が 9名、「楽しめた」が 1 名であった。続く⑵の「リラックスしてワークショップに参加 できましたか」については、10名全員、「リラックスして参加できた」とのことだった。

ここから、ワークそのものに緊張感を持って取り組む場面はあったと思われるが、ワー クショップの場に安心して参加できたと解釈できる。ビデオからも楽しんでいる様子が 窺える。

また外国人介護人材7名に対して行われた質問「ワークショップは日本語だったが、

分かりにくかったり問題があったか」に対し、「ときどき分かりにくいこともあったが、

問題はなかった」が4名、「とくに分かりにくかったり、問題がなかった」が1名、無 回答が2名であった。ビデオを見る限り、ワークのルールの確認を他の参加者に行う場 面はあったものの、ルールを誤解している場面は見られなかったので、ワークの進行の 妨げになることはなかったと解釈できる。最後の JLPT のレベルを問う質問の結果、

N2が3名、N3が2名、未記入2名であった。ちなみに、未記入の2名は先の問いに 図18 グループで気づきの共有

対し、「ときどき分かりにくいこともあったが、問題はなかった」と「とくに分かりに くかったり、問題がなかった」にチェックを入れていた。

続いて、⑶の「ワークショップの体験はどうだったか。同僚と一緒に体験したが、あ なた自身に気づきや変化があったか」という問いに対しては記述するよう求めている。

ここでは、個々がワークの体験から自己を見つめていくことに意味がある。そして、

このような試みは本論文が初であるため、今回はどのような記述が見られたのかをでき るだけ漏れ無く以下挙げていくことにする。その際、内容に応じてカテゴリー化を試み た。そして外国人介護人材の記述した日本語は、読みやすさのため文法上の誤りなどあ る程度訂正した上で挙げることとした。なお( )は、読みやすさのため筆者が補足し た。

=体験したワークの感想=

・ワークショップのゲームが楽しかった。

・同僚と一緒に体験できましたので、とてもよかったと思います。

・イレブンじゃんけんは本当に久しぶりでした。それで、楽しかった。

・同じもの(私と一緒〜)のゲームは一番楽しかったです。他の同僚は同じ興味なので びっくりした。自分が「私と一緒〜」というときは、同じ人が3人だったので少し恥ず かしかった。

・イレブンじゃんけんは、普通のじゃんけんと違うからちょっと難しいけれど、チャレ ンジがあった。(じゃんけんの)相手との勝ち負けが関係ないから楽しかった。

・イレブンじゃんけんは集中できなかったので、失敗というか、グループの中に負けま した(最後までじゃんけんしていた)が、もっと集中できると思います。

・参加する前は不安がありましたが、始まると楽しくなってきている自分に気づいた。

・仕事中でも時々、セブンじゃんけんをやろうと思う。

「体験したワークの感想」と命名したカテゴリーには、主にワーク体験の感想全般が 内容として挙げられている。参加者には「イレブンじゃんけん」と「私と一緒〜」が印 象深かったワークのようである。その理由づけとして、同僚と一緒に参加できたことや、

イレブンじゃんけんで勝ち負けが関係ないことなどが挙げられている。

参加に対する、不安も活動を通して楽しみに変わったようである。安心して、楽しめ た様子がわかる。最後に、ワークメニューの一つであるイレブンじゃんけんを職場でや ってみたいという声が挙げられていた。なぜやりたいのかというところまでは書かれて おらず、かつ聞けていない。しかし参加者にとって、ワークを通して感じた楽しみを同

僚と共有したいという気持ちの現れだと捉えられる。次に、記述内容から「ゲームを通 した『コミュニケーション』への気づき」というカテゴリーを立てた。

=ゲームを通した「コミュニケーション」への気づき=

・赤い・青い・黒いボールのゲームはちょっと難しかったですけど、みんなできました。

・赤・青・黒ボールは、実際のコミュニケーションみたいに難しいことがある。実在の ボールではないから、ボールをちゃんと届けるように色々やりました。①ジェスチャー

②表情に出す③はっきり伝えることが必要です。やらないと、違うメッセージや、違う 色のボールをパスしてしまいました。

・遠くにいる人に伝える時、手で示すと伝わりやすい。

・私にとって一番気にすることは、ボールを投げることです。このゲームは、相手の名 前を呼ばないで伝えられました(相手にボールを渡す時、相手の名前を言わなくても、

相手に届けられたということ)。それはコミュニケーションするときも大切だと思いま す。

・ゲームをやる中で、アイコンタクト・ジェスチャー・表情など言語以外のコミュニケ ーションの大切さを再確認できた。

・遠い相手に伝える際は、アイコンタクト、大げさなジェスチャーが必要だと改めて感 じた。

・普段伝わっているつもりでも、実は相手へ伝わっていないことが多くあるかもしれな いと実感した。

・相手の名前を呼ぶこと、笑顔で会話することの大切さを学ぶことができた。

・人に何か伝える時は、相手の表情や受け入れる姿勢など、自分だけが一方的に伝える というだけではなく、相手のことを考え見ることも大切だと感じた。

「ゲームを通した『コミュニケーション』への気づき」のカテゴリーでは、ゲームと して具体的に「ボール回し」が主に取り上げられている。実在しないボールを回すこと を通し相手にしっかり伝えることについて、かつ具体的にどのように伝えるのかといっ たことが印象として強く残ったようである。また、この経験から、自分自身のコミュニ ケーションを内省し、伝えたと自分自身が思っていることは伝わっていないのではない かといった気づきがあったようだ。伝えるということが、相手ありきであることの意識 が生じたようである。ボール回し自体が難しいのではなく、相手にしっかり届ける、受 け手にボールを受け取る準備ができているかどうか確かめるといった姿勢から、普段の コミュニケーションに重ねて、振り返りが行われた様子が伺える。最後に、記述内容か

ら「同僚との関わりから生じた気づき」というカテゴリーを立てた。

=同僚との関わりから生じた気づき=

・ゲームは面白かったです。同僚たちに好きなものとか興味があることを知りました。

・同じものが好きなゲームで、同僚と同じことがわかったら嬉しくなった。同僚たちは 毎日仕事だけのことを話しますから、今日は違うことをやって楽しかったです。このワ ークショップをしたら、日本人とベトナム人の仲がもっと良くなりました。それで心が リラックスしました。

・「私と一緒〜」は楽しかったです。日本人のスタッフが好きと思うこと、さらにフィ リピン人も好きと思うことが同じで、同じ人が多くて嬉しかったです。

現場で、いつも「依頼(する人、指示する人)」と「上の人(上司、先輩)」として日本 人の同僚を見ているから、今日は同じレベルみたいな感じで楽しい。

・いつも仕事が大変であるが、今日リラックスして参加してストレスなどが取れると思 います。同僚の人たちがもう少し近くなったと思います。

・ゲームをすることで一体感が生まれ、皆が楽しんでできた。

・コミュニケーションを難しくなく、取ることができたと思う。

・いつも仕事についての話しかありません。○○さんは近づきにくいなと思いましたが、

今日は一緒にゲームに参加でき、前の印象が変わったと思います。

このカテゴリーには、同僚とともにゲームを行ったことから生じた様々な気づきが挙 げられている。まず「私と一緒〜」の活動を通し、他の参加者と興味や好きなものが同 じであることそのものが単純に嬉しいという意見が挙がっている。この「私と一緒〜」

の活動は、自分の好きなもの・ことを伝える自己開示の要素がある。共通点が見つかっ たことの喜び、共通点があることから、お互いの存在が近くに感じられたようである。

また、普段業務中は仕事の話しかしないことが挙げられており、このワークショップに よって、リラックスしてまた立場を意識することなく相手と関われたという声もある。

記述の中に、「日本人は上の人」という声、そして関わる機会がなかったからか、「近づ きにくいと思っていた人の印象が変わった」という声から、自身の中に抱いていた相手 への印象がほぐれて行った様子が分かる。

振り返りシートには、その他のコメントを書く欄が設けられている。コメント欄には、

下記のような記述が見られた。

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