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介護現場の一日の流れとコミュニケーション場面

ドキュメント内 -介護現場で共に生きる視点から考える- (ページ 79-82)

第 3 節 結果と考察

3.1 介護現場の一日の流れとコミュニケーション場面

本章では主に従来型エリア(2箇所あり、本稿ではエリア1、エリア2とする)にお ける観察結果を報告する。先述のとおり、ユニット型にもベトナム人介護福祉士候補者 が 1 名配置されていたが、そのベトナム人介護福祉士候補者の出勤日と筆者が施設に 赴く時間が合わず2時間ほどの観察となったため、従来型エリアの報告に限る。なお非 構造化インタビューは、ユニット型の職員にも聞くことができた。

エリア 1 にはインドネシア人介護福祉士が、エリア 2 にはベトナム人介護福祉士候 補者が従事している。観察場所はディルームといって、ご飯を食べたりテレビが設置さ れた利用者の共有スペースの一角、もしくはそこから少し離れた場所で行った。仕事の 妨げとなるような行動は慎み、利用者へも配慮を行なった。

まず従来型エリアにおける一日の流れ、および職員の動きとコミュニケーションに関

する概要を以下図示する。なお、エリアにより現場の業務に応じて時間が前後すること もある。

図4 一日の流れ(9時〜16時半頃)と職員の動き・コミュニケーション

図4のとおり、職員同士が同じ業務にあたるのが食事介助と入浴介助である。そのほ かは利用者の応対など個別の業務にあたっているためほとんど職員間のコミュニケー ションは見られなかった。現に昼食の介助が始まるまで、エリア1のインドネシア人介 護福祉士は利用者の衣類の整理を一人で行っていた。

昼食のためにディルームに利用者と職員が集まってきて、利用者への飲み物を促す声 がけや、職員同士の業務の分担や確認などのやり取りが始まった。エリア1の利用者は 18 名ほどであった。この時、業務以外の内容に関してもインドネシア人介護福祉士と 日本人職員との間でやり取りが見られた。例えば首から下げている携帯電話のひもが切 れたから、代用品で直した話を、インドネシア人介護福祉士が日本人職員に笑いながら する場面があり、気軽にコミュニケーションを取っている様子が見られた。食事介助中 は利用者に「手を出してごはん食べて」・「ゆっくりでいいよ」・「自分で食べなあかん(自 分で食べないといけない)よ」・「○〇さんおいしいよ」など声がけを行いながら食事介 助にあたる一方、職員間で利用者の食事量のこと、夜勤のこと、お風呂の予約の仕方に ついて確認したり、どの利用者が食べ終わるのが早いなど情報交換と共有も行っていた。

これらのやり取りは大変スムーズで、内容の聞き返しなどは一切なく、お互い方言交じ りの日本語で応対していた。この点についてはインドネシア人介護福祉士の同僚の日本

人職員からも「言葉の意味を(インドネシア人介護福祉士が)はっきり理解できていな い場合もあるが、コミュニケーションについて何の違和感もない」・「コミュニケーショ ンはしっかりとれている」とのことだった。また利用者に配膳される食膳は、カートで 運ばれるが、そのカートを持ってきた人に対し「ありがとうございます」、またそのカ ートを元の場所に持っていく人に対しても「ありがとうございます」と、職員同士が業 務中に感謝の言葉を直接伝える場面が幾度も見られた。さらに、機械浴用の大きな機材 を二人で運ぶ折にも「がんばって」「はい」といったかけ声を、職員同士がかけあいな がら運ぶ姿も見られ、言葉にして気持ちなどを伝える場面が多かった。観察者である筆 者には職員同士の関係の良さが伺え、インドネシア人介護福祉士が現場に馴染んでいる 様子が見受けられた。この点についてある職員から「インドネシア人介護福祉士は、自 分が外国人とは思っていないのではないか」といった発言もあり、インドネシア人介護 福祉士がすっかり現場の一員として日本人職員に受け入れられている印象を受けた。

一方エリア2の食事介助では、利用者が35名ほどで多い。それゆえ食事介助に集中 せざるを得ず、職員同士のやり取りは食事介助中にはほとんど見られることはなかった。

食事介助が終わり利用者の服薬や口腔ケアなどの後、職員が集まってディルームで昼食 をとりながら情報交換等を行っている様子であった。

その後 13 時から 15 時半にかけて入浴介助が行われる。入浴介助は複数の職員が共 同で当たる業務だが、利用者への配慮から観察は行っていない。この時職員の多くが入 浴介助に当たるため、ディルームで入浴後の利用者に水分補給を促したり、利用者の髪 を乾かす職員は主に一人であった。この間に利用者からの呼び出しにも対応したり、摂 取水分や食事量などの記録も行っており忙しい様子であった。ある職員からは「午後は 入浴介助もあって同じエリア担当の職員とのコミュニケーションはほとんどない」との ことであった。14時40分ごろから始まるおやつの時間も16時ごろには片付けが終わ った。その後比較的ゆったりとした時間に入り、職員もシフトに応じて休憩を取ったり、

ディルームにいる職員同士が業務の引継ぎなどを含めコミュニケーションが行われて いた。

時間の制約上ここまでが観察の限界である。エリア1・エリア2とも一日の流れはほ ぼ同じだが、利用者に応じてそれぞれの業務に当たる時間帯などはエリアにより異なる。

その上、利用者の容態により業務も変わってくるため、介護職員は常に全体に気を配っ ていた。業務に関する必要なコミュニケーションは行われるものの必要最低限であり、

時間の許す限りコミュニケーションを行なっている状況であるという印象を受けた。コ ミュニケーションの機会は少ないが、感謝の言葉を職員同士が直接伝える行為によって、

職員間の関係の良さが保たれているのではないかと考えられる。また、ある職員からは

「一応シフトによる担当業務はあるが、手が空いたらほかの仕事もフォローする体制が できており、‘お互い様精神’でやっている。これがスムーズな関係に繋がるのではな いか」との声も挙げられた。

続いて、日本人職員に対する聞き取りを行った結果を述べる。

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