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コミュニケーション全般に関する点

ドキュメント内 -介護現場で共に生きる視点から考える- (ページ 85-89)

第 3 節 結果と考察

3.3 外国人介護人材とのコミュニケーションに関する日本人職員の視点

3.3.4 コミュニケーション全般に関する点

最後に、3.3.1 から 3.3.3 の上記カテゴリーとは異なる内容と判断したコミュニケー

ション全般に関する点についてみていく。

(13) コミュニケーション場面では外国人だからといって違和感はない。

(14) 外国人介護人材が話す日本語については全く気にしたことがない。例えば「ゼ リー」が「ジェリー」になったりする時もあったが、気にならなかった。

(15) 話していて、自分が言ったことを外国人介護人材が理解できなくて、彼らから

「わからない」と即答されることがある。即答された時点でコミュニケーション を続けるのをあきらめる。

(16)外国人介護人材に早口で申し送りなどをした時、「わかりました」と言われたの だが、時々伝わっていないことがある。本当に申し送りの内容が伝わったか伝わ ってないのかの判断がつかない。

(13)〜(16)は、コミュニケーション全般に関する点として挙げている。(13)と

(14)は、日本語を問題視せず、コミュニケーションに向き合う日本人職員の姿勢が伺 える。また、(15)と(16)は、コミュニケーション上の問題を引き起こす恐れもある 内容である。

以上、ここでは外国人介護人材とのコミュニケーションに関する日本人職員の視点と 題し、内容を4つに分け、具体的に語られた内容を見てきた。3.3.1〜3.3.3は日本語運 用に関する内容だが、施設着任当初、十分ではないと日本人職員にみなされる日本語力 も、業務を通して外国人介護人材の努力により向上して行くことがわかる。また、日本 語が単なる情報伝達のツールではなく、現場に早く馴染み、お互いに気持ちよくコミュ ニケーションを行う、さらには日本人職員や利用者との関係を築くものとして捉えられ ていることがわかる。

3.3.4 はコミュニケーション全般に関する点への言及である。コミュニケーションに

関する様々な点から触れられているが、中にはコミュニケーション場面において誤解が 生じるような内容も見られる。

3.3.2 で挙げられたイントネーションについては内容が明確であるため、訪日前・後

の日本語研修で実際に学び、練習することも可能だと考えられる。外国人介護人材側の 日本語力が向上することで、日本人職員が抱いたような不快な感情を軽減することがで きるだろう。同時に、日本人側にも、外国人介護人材の間違いに寛容であることも、大 谷(2004)で述べられているように必要だと考える。

一方で、現場に早く馴染む、気持ちよくコミュニケーションを行うための姿勢や、利

用者や日本人職員との関係構築は、外国人介護人材の日本語力を育むだけでは対応でき ないと考える。なぜなら石井(2011)でも述べられているように、その場のコミュニケ ーションを担う全ての人が関わり、相手ありきでコミュニケーションが成り立つからで ある。

最後に次節で本章のまとめと今後の課題を述べる。

第4節 まとめ

本章では介護現場における日本人職員と外国人介護人材のコミュニケーションを観 察し、いつ、どのように行われているかを可能な限り詳細に記述すること、そして日本 人職員に対し外国人介護人材とのコミュニケーションについて聞き取りを行い、コミュ ニケーションに対する日本人職員の視点の一端を明らかにすることを目的とした。

その結果、介護現場が非常に忙しい現場であり、業務中のコミュニケーションは必要 最低限に行われているという点がまず明らかとなった。このように忙しい現場であるが、

職員同士が感謝の気持ちを声に出して直接伝える場面が多く観察された。外国人介護人 材と日本人職員とのコミュニケーションは円滑に進んでおり、外国人介護人材も現場に 馴染んでいる様子で職員同士の関係の良さが窺える。また、外国人介護人材に対する日 本人職員の評価では、外国人介護人材の仕事ぶりに対する日本人職員の評価が高く、受 け入れに対して日本人職員は肯定的であることがわかった。

外国人介護人材の日本語については、日本人職員には施設着任当初の日本語力が十分 ではないと見なされている。一方、利用者や職員と関係を構築したり現場に馴染むとい う点から、方言やイントネーションの指摘もなされており、コミュニケーションを円滑 に進める上で重要な要素と言える。

続いて今後の課題を述べる。今回は業務の妨げとならない範囲での聞き取りであった 為、前節の3.3.4で述べたコミュニケーション全般に関する点についてその内容を深め ていくことができていない。この点は日本人職員と外国人介護人材とのコミュニケーシ ョンにおいて誤解が生じたり、業務に支障をきたす恐れもある。よって今回の観察と聞 き取りから得られたことをもとに、さらに日本人職員へのインタビューを行い内容を深 めていく予定である。同様にコミュニケーションの相手である外国人介護人材にもイン タビューを行う。続く7章では日本人職員の視点から、8章では外国人介護人材の視点 から、現場のコミュニケーションに携わる者の声を挙げていく。

参考文献(6章)

赤羽克子・高尾公矢・佐藤可奈(2014)「介護人材不足と外国人労働者の受け入れ課題

-EPA介護福祉士候補者の受け入れ実態を手掛かりとして-」『聖徳大学研究紀要』

第25号,21-29.

安里和晃(2010)「看護・介護部門における人材育成型受け入れの問題点-経済連携協 定の事例から-」『保健医療社会学論集』21(2), 53-64.

石井恵理子(2011)「共生社会の形成を目指す日本語教育の課題」馬渕仁編『「多文化共 生」は可能か』第5章,勁草書房,pp.85-105.

大関由貴・奥村匡子・神吉宇一(2015)「外国人介護人材に関する日本語教育研究の現 状と課題-経済連携協定による来日者を対象とした研究を中心に-」『国際経営フ ォーラム』25,239-279.

大谷晋也(2004)「外国人介護労働者受け入れの前に-高齢者介護現場におけるコミュ ニケーション-」『大阪大学留学生センター研究論集 多文化社会と留学生交流』

第8号,85-95.

小川美香(2016)「外国人介護人材の「コミュニケーション力」再考-EPA候補者受 け入れ施設をフィールドとして-」『2016年度日本語教育学会秋季大会予稿集』,

174-179.

小川玲子・平野裕子・川口貞親・大野俊(2010)「来日第一陣のインドネシア人看護師・

介護福祉士候補者を受け入れた全国の病院・介護施設に対する追跡調査(第1報): 受け入れの現状と課題を中心に」『九州大学アジア総合政策センター紀要』5,85-98.

7章 日本人職員が捉えた外国人介護人材とのコミュニケーション

第1節 調査目的

本章では介護現場のコミュニケーションについて、日本人職員が外国人介護人材とのコ ミュニケーションをどう捉えているかをインタビューにより明らかにし、コミュニケー ションを円滑に進める上でどのような点が重要になるか考察を行うことを目的とする。

第2節 研究方法

本稿では、構造構成的質的研究法(SCQRM、西條2008、西條2015)に基づき、イ ンタビューデータをSCAT(大谷 2008、大谷 2011)の枠組みで分析することにした。

2.1 調査協力者

インタビュー協力者は、異なる施設に在籍する日本人職員4名(男性)である。彼ら は外国人介護人材と共に働く経験を有する。現在は介護主任(1名)、副施設長(2名)、

施設長(1名)のポストに就いている。6章の観察を行った施設では協力者が1名のみ であったため、介護の仕事に従事している知人の紹介を受け、さらに異なる施設に在籍 する3名にインタビューの協力を得た。

2.2 半構造化インタビューの質問項目

6章の観察結果ならびに先行研究をふまえ以下のとおり質問項目を設定した。

その項目とは①日々忙しい介護現場で、職員同士ゆっくり話をする時間はあるか、② 外国人介護人材の施設着任当初のコミュニケーションはどうだったか、③業務でコミュ ニケーションを行う際にうまく伝わらない、やり取りが通じてないなど感じたことがあ るか、ある場合はそのときの状況とその原因をどう捉えているか、一方コミュニケーシ ョンがうまくいったと感じたことはあるかの3点である。これらの質問を基本とし、質 問に対する協力者からの回答を受け、さらに回答内容に関し聞きたい点について聞き、

内容を深めていくように努めた。

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