116
(2)ノッティンガムの LTP
ノッティンガムは、イングランドの中央部にあり、
2016
年現在の人口が約32.6
万人、市域面積74.61
㎢(和歌山市は210.3
㎢)、郊外を合わせたノッティンガム シャー全体で人口約81.0
万人である∗
。ノッティンガムでは、これまで
3
期にわたってLTP
を策定し、そのもとで施策 を展開し(図表3-48
)、2004
年には図表3-49
のようなトラムの新設を実現して いる∗
。2011
年から2026
年を対象年次とした第3
次LTP
の構成は図表3-50
の通 りである。ノッティンガムの第
3
次LTP
では、まず3
章で「世界クラスの持続可能な交通 システム」という野心的な目標を掲げて、交通需要マネジメント、持続可能な代替 交通手段の振興、ネットワークの効率性の向上、道路容量の向上という、需要・供 給の両面、および道路と公共交通・徒歩・自転車を総合的に捉えた戦略体系として いる。また、4
章では環境面からの取り組み、5
章ではアクセシビリティの向上、6
章では生活の質の向上やコミュニティが抱える問題への対応、7
章では交通安全 と健康増進に関する内容となっている。進捗状況は、
5
つの分野(経済、二酸化炭素、アクセシビリティ、生活の質、健 康・交通安全)における18
の主要な問題(例えば石油依存、市内の一部における 高レベルの社会的排除など)に対する定性的なアウトカム目標(例えば自家用車に よる短距離移動の削減、障がい者の社会的排除の低減など)と、11
の主要な指標図表
3-48
ノッティンガム市のLTP の変遷
次数 計画対象年 主な内容 第
1
次LTP
2001~2005
117
Greater Nottingham”、 Nottingham City Council and Nottinghamshire County Council(2006)”
Local Transport Plan for Greater Nottingham 2006/7-2010/11”
(地域公共交通(バスとトラム)への補助金、二酸化炭素排出量、通勤トラベルプ ランでカバーされる雇用者の割合、自転車トリップ数、大気の質、サービスや施設 へのアクセシビリティ、公共交通利用の就労者数、通学手段、子どもの死者数・重 傷者数、総死者数・重傷者数、自動車の旅行速度)で評価する体制となっている。
このように交通のみならず、関連する政策分野も含めたアウトカム指標や、数値 目標を設けて取り組んでいる点が参考となる。
図表
3-49 2004
年に新設されたノッティンガムのトラム出典:辻本撮影(H18.9.22)
図表
3-50
ノッティンガム市第3
次LTP
の構成章 節 主な項目
1 はじめに 1.1 交通戦略の概要
1.2 アプローチ 計画区域、計画の構成、地域交通計画の構成、交通の 役割、経済の支援、関連計画、 気候変動対策、パー トナーシップ
1.3 政策的枠組み 他の戦略に対する
LTP
の貢献2 計画の策定 2.1 総力を挙げる データの収集、交通予測モデル、国の幹線道路と交通 の満足度調査、市民参画
2.2 ノッティンガム 計画の長期ビジョン
交通ビジョンの策定、交通の戦略的目標
3 世界クラスの持続可能な交通シ ステム
3.1 背景
3.2 問題と機会 交通ネットワーク、効率性
118
3.3 戦略と提案 交通需要マネジメント、持続可能な代替交通手段の振 興、 ネットワークの効率性の向上、道路容量の向上 4 低炭素で強靱な交通システム 4.1 背景
4.2 問題と機会 天気と気候、洪水、交通由来の二酸化炭素、エネルギ ー、 石油の枯渇、廃棄物
4.3 戦略と提案 交通需要の抑制、運行効率性の向上、持続可能な自動 車利用、交通の強靱性の向上
5 主要なサービスや雇用、教育へ のアクセス
5.1 背景
5.2 問題と機会 低い自動車保有率、公共交通によるカバー、雇用と必 須サービスへのアクセス、障がい、手ごろな価格での 提供
5.3 戦略と提案 公共交通カバー率の向上、 交通へのアクセシビリテ ィの向上
6 生活の質の向上と近隣関係の変 容
6.1 背景
6.2 問題と機会 まだら模様の都市(格差問題)、ローカリズム、限ら れた緑のオープンスペース
6.3 戦略と提案 コミュニティプライオリティの実現、大都市の夢の実 現、緑の回廊の統合
7 安全で独立した活動的で健康的 なライフスタイル
7.1 背景
7.2 問題と機会 平均寿命、肥満傾向、身体障がい、交通由来の環境イ ンパクト、道路交通事故、安全と安心
7.3 戦略と提案 活動的で健康的な交通選択の促進、大気の質の向上と 交通騒音の低減、道路交通事故の削減、個人の安全の 向上
8 成果と今後 8.1 戦略の実現 8.2 タイムテーブル 8.3 望ましい交通の 成果
8.4 成果指標 8.5 計画のモニタリ ング
出典:Nottingham City Council(2011)