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第 4 章 アデレード大学での事故調査データ解析

4.2 歩行者事故

4.2.1 南オーストラリア州における歩行者事故の概要

1990 年から 2005 年の南オーストラリア州における歩行者と車両乗員の受傷者数の

推移を図 4-1に示す.車両乗員については,1995年以降,増減しているが,歩行者に

ついてはほぼ同じ数となっている.

図 4-1 1990年から2005年の南オーストラリア州における歩行者と車両乗員の受

傷者数(4-1)

4.2.2 事故調査データ

アデレード大学CASRでは,In-Depth Accident Study(ミクロ事故調査)を行い,

Traffic Accident Reporting System (TARS) Data(マクロ事故収集システム)による事

故データを収集している.

In-Depth Accident Studyは,アデレード市街において発生した事故の原因,安全対

策装置における効果の検証を目的として 1976 年に調査が開始された.1976 年から 1977年まで,全事故304ケースの中で,40ケースの歩行者事故を調査した.

TARS Dataは,南オーストラリア州で発生した事故において,警察に届けられた事

故が登録される.1998年より2003年まで,2,595ケースが収集されている.

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4.2.3 衝突速度と傷害の関係

傷害スコアISS (Injury Severity Score)と衝突速度の関係を図 4-2に示す.ISSとは,

損傷を頭頸部,顔面,胸部,腹部および骨盤内臓器,四肢および骨盤,体表の6部位に 割り当てたうえで,上位 3部位のAIS スコアの最大値を自乗してそれぞれを足した値 をISSと定義する.車両衝突速度の増加に伴い ISS が高くなり,全身における傷害レ ベルが大きくなっている.

図 4-2 傷害スコアISSと衝突速度の関係(4-2)

4.2.4 歩行者衝突試験法との関係

このように,車両衝突速度と傷害の関連は大きく,歩行者衝突試験法作成において速 度は重要な条件となる.米国 NHTSA が提唱した IHRA (International Harmonized

Research Activities)の歩行者保護WG(Working Group)では,世界の歩行者事故データ

ベースを基に,車両の衝突速度の分布を調査している.データベースは,オーストラリ ア,日本,ドイツ,米国のデータより構成されている.オーストラリアの事故データは,

1999 年から 2000 年にアデレード市街地で生じ CASR(アデレード大 Centre for

Automotive Safety Research)が調査した64ケースである.日本の事故データは,1987

年から1988年に調査した240ケース,ドイツの事故データは,1985年から1998年に 調査した783ケース,米国の事故データは,1994年から1999年に調査した521ケー スである.

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頭部傷害のAIS(Abbreviated Injury Scale)が1以上である498ケースを対象とした 歩行者衝突時の車両における衝突速度の分布,衝突速度の累積を図 4-3,図 4-4に示す.

図 4-3より,衝突速度40 km/hが最も多い状況である.図 4-4より,累積率50パー

センタイルに相当する車両衝突速度は約 40 km/hである.このような事故データをベ ースとして,歩行者衝突試験法では,速度 40 km/hで車両が歩行者へ衝突する状況を 想定し作成されている.

図 4-3 衝突速度の分布(4-3)

図 4-4 衝突速度の累積(4-4)

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