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Q 55.内視鏡的経乳頭胆管ドレナージを行う場合には,内視鏡的経鼻胆管ドレナージと内視鏡

   的胆管ステンティングのどちらがよいか?[ForegroundQuestion(ClinicalQuestion)]

b.テクニック

i)胆管カニュレーション

胆管カニュレーションは,胆管造影後にカテーテルを胆管内に深部挿管する造影法と胆管内にガイドワイ ヤーを進めた後にカテーテルを深部挿管する wire─guided cannulation(WGC 法)の 2 つの方法がある。こ の造影法と WGC 法を比較した RCT のメタ解析では,WGC 法が有意に胆管挿管の成功率を上昇させ,ERCP 後膵炎の発症を減少させるという結果であった(MA)42,43)。しかし最近行われた 2 つの RCT では胆管挿管の 成功率と ERCP 後膵炎発症において両者に統計学的有意差はないと報告されており(RCT)44,45),現時点では 胆管挿管においては造影法と WGC 法のいずれを用いてもよいと思われる。

造影法と WGC 法のいずれを用いても胆管挿管が困難な場合には,膵管にガイドワイヤーを留置して乳頭を 固定した状態で胆管挿管を試みる膵管ガイドワイヤー法(ダブルガイドワイヤー法)や胆管口を開いて胆管挿 管を容易にするためにプレカットを行う(SR)46)。プレカットには大きく 2 つの方法があり,針状パピロトー ムを用いて胆管口にアプローチする方法(needle─knife precutting)と pull 型パピロトームを用いて膵管口 から切開を加えて胆管にアプローチする方法(pancreatic sphincter precutting)である。プレカットは ERCP 後膵炎や穿孔といった重篤な偶発症を起こす可能性があるため,施行は熟練した胆膵内視鏡医により行 われるべきである。

ii)内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)

ENBD 手技の詳細は TG 07(CPG)8)に記載されている。選択的胆管挿管後にガイドワイヤーに沿わせて 5 〜 7 Fr の経鼻胆管ドレナージチューブを留置する(図 2)。

図 2 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)

5 Fr の経鼻ドレナージチューブを留置して胆管ドレナージを行っ た。

ⅲ)内視鏡的胆管ステンティング(EBS)

EBS 手技の詳細は TG 07(CPG)8)に記載されている。選択的胆管挿管後にガイドワイヤーに沿わせて 7 〜 10 Fr のプラスチックステントを胆管内に留置する(図 3)。プラスチックステントにはステント端がストレー ト型とピッグテイル型がある。ストレート型にはサイドホール用のフラップのついたアムステルダム型とサイ

ドホールのないフラップのみのタネンバウム型がある。胆管炎における両者の比較試験はなく,ステントの選 択は内視鏡医の好みによる。

図 3 内視鏡的胆管ステンティング(EBS)

ストレート型プラスチックステントを留置して胆管ドレナージを 行った。

③超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージ(EUS ─ BD)

a.適応

EUS─BD は,EUS ガイド下で経消化管的に胆管へアプローチしドレナージを行う手技である。近年,経乳 頭的ドレナージが困難な症例の代替法として行われている。EUS ─BD は,経胃的もしくは経空腸的に肝内胆 管を穿刺して瘻孔形成を行う EUS─guided hepaticogastrostomy(EUS─HGS)や EUS─guided hepaticojeju-nostomy(EUS─HJS),経十二指腸的に肝外胆管を穿刺して瘻孔形成を行う EUS─guided choledochoduode-nostomy(EUS─CDS),経消化管的に胆管を穿刺した後に経乳頭的アプローチに移行する EUS─guided ren-dezvous technique や順行性に狭窄部にステントを留置する EUS─guided antegrade stenting に大別される。

ドレナージルートやテクニックの選択は,患者背景,十二指腸閉塞などの消化管狭窄や胆管狭窄の部位などに より選択される(Expert opinion:以下 EO)47)。これまでの EUS─BD の報告では,EUS─HGS もしくは EUS─

CDS の高い手技成功率(95 %程度)と臨床奏効率(93 〜 100 %,ITT 解析)が報告されている(CS)16 〜 18,48,49,51)

(OS)50,52 〜 56)。EUS─guided antegrade stenting では,ガイドワイヤーによる狭窄部の突破やステントデリバ

リーシステムの狭窄部の突破は困難な症例があるため,手技成功率は 70 〜 80 %程度と報告されており,肝内 胆管ドレナージや肝外胆管ドレナージよりも劣ると報告されている(SR)57)。しかし,EUS─guided ante-grade stenting が成功すれば経乳頭的に生理的な胆汁の流れが確保できるため有用な選択肢となる。EUS─BD の重大な問題は,胆汁性腹膜炎などの偶発症である。多くは重篤なものではないものの,10 〜 30 %の手技に 伴う偶発症発生率が報告されている(OS)58),(SR)59)。EUS─BD の手技はいまだ確立されたものではなく,

専用の処置具も少なく,高度なテクニックを要する手技であり,EUS と ERCP の両方に習熟した胆膵内視鏡 医のもとで行われるべき手技である。さらに普及していくような努力が重要であり,専用の処置具のさらなる 開発などの工夫が必要である。

b.テクニック

解剖学的に肝臓,肝外胆管と消化管とは癒着していないため,手技に伴う胆汁漏出が起こる可能性がある。

特に手技が完遂できずに不成功に終わった場合には深刻な胆汁性腹膜炎を起こす可能性があることを念頭に置 くべきである。通常 19 ゲージ穿刺針または 22 ゲージ穿刺針を用いて胆管穿刺を行う。穿刺の際には EUS ガ イド下に行い,出血を避けるために穿刺経路にある血管を避けることが大切である。穿刺後に胆管造影を行 い,ガイドワイヤーを胆管内まで進める。次に穿刺経路を拡張用ダイレーター,通電ダイレーター,拡張用バ ルーンなどを用いて拡張し,症例に応じて胆管ドレナージ用のプラスチックステントあるいはメタルステント を胆管内に留置する(EO)60)。近年,EUS─HGS 専用のプラスチックステントや EUS ─CDS 専用のメタルス テントなどの専用デバイスも開発されている(CS)61,62),(RCT)63),(OS)64)(図 4)。

a b

図 4 超音波内視鏡下胆管ドレナージ(EUS ─ BD)

a.専用の 8 Fr プラスチックステントを用いた EUS─guided hepaticogastrostomy

胃内から超音波内視鏡下に肝内胆管を穿刺し,穿刺経路を拡張後に専用の 8 Fr プラスチックステントを 留置して胆管ドレナージを行った。

b.専用の大口径メタルステントを用いた EUS─guided choledochoduodenostomy

十二指腸から超音波内視鏡下に肝外胆管を穿刺し,穿刺経路を拡張後に専用の大口径メタルステントを 留置して胆管ドレナージを行った。

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