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急性胆囊炎の手術時期は,急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン第 1 版では入院後早期の手術が,第 2 版で は発症後 72 時間以内で入院後早期の手術が,推奨されてきた。急性胆囊炎の診療上,症例が厳密に発症後何 時間であるかの診断は難しい。また,受診した時点で発症から 72 時間を経過していると判断される症例もあ る。第 1 版および第 2 版で述べられてきた早期手術について,厳密に 72 時間以内を遵守すべきか,手術の至 適時期について検討を加えた。

第 2 版出版後の文献検索により,「acute cholecystitis, laparoscopic cholecystectomy」「early cholecystec-tomy」「delay cholecystectomy」「timing」をキーワードとして,ランダム化比較試験 17 編,メタ解析 6 編,

システマティックレビュー 3 編が確認された。ランダム化比較試験 17 編中,1 編はデータが抽出できず除外

(CS)34),1 編は胆管損傷発生率が通常の臨床に比して高頻度であり偏りがあると考えられたためこれも除外し

(RCT)35),15 編を採用した。

手術術式は,検索した論文のすべてにおいて Lap ─C が行われていた。急性胆囊炎の診断は,第 2 版診断基 準に則るもの 1 編(RCT)36),ほか 14 編は生化学データ,画像診断,自他覚症状によって診断していた。手術 時期は,「early cholecystectomy」「delay cholecystectomy」と記載されていた。「early」の定義は,第 2 版 で推奨された発症から 72 時間以内と記載したものは 2 編(RCT)37,38)で,他は入院から 24 時間以内 2 編

(RCT)39,40),研究(ランダム化)開始から 24 時間以内 1 編(RCT)41),受診(または入院)あるいは研究(ラ ンダム化)開始から 72 時間以内 6 編(RCT)42 〜 47),4 日以内 1 編48),発症から 1 週間以内 1 編(RCT)49),受 診後できるだけ早く(時間記載なし)が 2 編であった(RCT)36,50)。「delay」の定義も,診断からまたは症状 が消褪してからなど,それぞれ定義が異なるが,6 週間以降としているものが多かった。このため,「early」

は(発症,受診,入院から)72 時間以内と,72 時間以内を含む 1 週間以内(「できるだけ早く」の記載を含む)

の 2 群を対象として検討した。

メタ解析

ランダム化比較試験 15 編についてわれわれはメタ解析を行った。72 時間以内早期手術(「early cholecys-tectomy」)または 1 週間以内早期手術を,待機手術(「delay cholecystectomy」)と比較した。重要視したア ウトカムは,手術時間,胆管損傷の発生率,入院期間,治療にかかる全体の費用である。手術時間は,72 時 間以内と 1 週間以内早期手術のいずれでも,早期手術よりも待機手術において手術時間が短い傾向にあったが 有意ではなかった(P=0.16,P=0.06)(図 3)。胆管損傷発生率は,72 時間以内早期手術と 1 週間以内早期手 術のいずれに対しても,待機手術と差がなかった(P=0.74,P=0.72)(図 4)。入院期間は,72 時間以内と 1 週間以内早期手術のいずれも,早期手術が待機手術よりも短かった(P< 0.0001,P< 0.00001)(図 5)。しか し,72 時間以内早期手術と待機手術において術後の在院期間に差はなかった(P=0.33)(図 6)。治療全体に かかる費用は,72 時間以内早期手術は待機手術よりも費用が低かった(P=0.002)(図 7)。今回行った 15 編 のランダム化比較試験に対するメタ解析によれば,早期手術は待機手術に比べて死亡率や合併症発生率が劣る

図 3  メタ解析:手術時間(分)(上段:72 時間以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術,下段:7 日以 内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術)

Early:早期手術,Delay:待機手術

図 4  メタ解析:胆管損傷(上段:72 時間以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術,下段:7 日以内早期 手術 vs. 6 週以降の待機手術)

Experimental:早期手術,Control:待機手術(Faizi らの論文は,メタ解析から除外したためプロットは していない)

ことはなく,胆管損傷発生率も差はない。術後の入院期間には差がないが,全体の入院期間は早期手術が短 く,したがって治療全体にかかる費用も低くなる。ただしランダム化比較試験では,症状が生じてから 72 時 間〜 1 週間以上経過した急性胆囊炎の症例は 5 編で除外され,待機中の症状の再燃は臨時手術を行い待機手術 の検討から脱落している。したがって,慢性的な炎症やその急性増悪のような病態での急性胆囊炎がどの程度 含まれているかは明らかではない。一方,検討した 15 編のランダム化比較試験において,待機中に症状が再 燃して臨時手術を施行した症例を 6 〜 23 %に認めた。待機手術は,待機中の急性胆囊炎の再燃というリスク を伴い,炎症を繰り返せば繰り返すほど組織の瘢痕化が進行して,手術難度が上がることも考えられる。この 点から,待機手術はリスクをはらんでいる。急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン第 2 版において,急性胆囊

図 5  メタ解析:総在院期間(日)(上段:72 時間以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術,下段:7 日 以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術)

Experimental:早期手術,Control:待機手術

図 6  メタ解析:術後在院期間(日)(72 時間以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術)

Experimental:早期手術,Control:待機手術

図 7  メタ解析:治療全体にかかる費用(72 時間以内早期手術 vs. 6 週以降の待機手術)

Experimental:早期手術,Control:待機手術

炎の治療は基本的に早期の手術であり,発症 72 時間以内であれば,入院後早期の胆囊摘出術が推奨された。

発症から 72 時間以内での早期手術を待機手術と比較したランダム化比較試験は 2 編あり(RCT)37,38),どちら も全入院期間は早期手術が短く,手術時間も早期手術が短かった。胆管損傷発生率は記載がなかった。

症例集積研究のメタ解析によれば,受診または症状発現から 72 時間以内の早期手術は死亡率,合併症発生 率,胆管損傷発生率,開腹移行率とも待機手術よりも低いが,72 時間を超えて 1 週間以内の早期手術におい ても同様の結果が得られた(MA)51)。したがって,症状が発現してから 72 時間以上経過した急性胆囊炎の患 者に対しても,早期に手術を行うことは益がある。

発症から 24 時間以内の早期手術と 72 時間以内早期手術を比較した検討では,24 時間以内の早期手術が 72 時間以内早期手術に優る点は示されなかった(OS)52)。早期手術に益があるとしても,緊急の時間外手術を推 奨する意義はない。手術は,急性胆囊炎手術に熟練した内視鏡外科医の下で行われることが望ましい(SR,

MA)53)

可能であれば72時間以内,遅くとも1週間以内の早期手術は待機手術に比して,総合的に入院期間が短く,

待機中の再燃による付加治療や臨時手術の可能性がないため,医療経済に寄与すると考えられる。

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