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微細構造二相系リン酸カルシウムペレット

ドキュメント内 水酸アパタイト系材料の (ページ 52-56)

第 2 章 水酸アパタイト系材料の作製と構造制御

2.4. 二相系リン酸カルシウムペレットの作製と評価

2.4.3. 結果と考察

2.4.3.1. 微細構造二相系リン酸カルシウムペレット

50-nm fiber,30-nm fiberおよび25-nm flakeの焼成により表面がミクロ~ナノスケールの

粒子状結晶で覆われたBCPペレットが得られた.また対照群として,市販のHAの焼成に より緻密なHA,BCPおよびβ-TCPのペレットを作製することができた.焼成は,400°C / h で昇温し,最高温度で24時間保持したのち,6時間程度自然放冷して降温させるプロセス で行った.

50-nm fiberを800~1000°Cで24時間焼成したところ,一部の結晶間で焼結が見られたが,

形態はほぼ変化しなかった(図2.21a).一方で,1050°C 24時間で焼成した場合は全体が数 µmの粒子状結晶で覆われたペレットが得られた(図2.21b,以下『micro-BCP』).

図2.21 1000°C(a)および1050°C(b)で24時間焼成した50-nm fiberのSEM画像.

30-nm fiberを700°Cで24時間焼成したところ結晶の一部が焼結し,繊維状結晶とブロッ

ク状結晶が混在するペレットが得られた(図 2.22a).結晶形態の均一化を図るため温度を

800°Cに上げて24時間焼成したところ,100~600 nmの粒子状結晶で覆われたペレットが

得られた(図2.22b,以下『nano-BCP1』).

図2.22 700°C(a)および800°C(b)で24時間焼成した30-nm fiberのSEM画像.

25-nm flakeを700°Cで24時間焼成したところ結晶の一部が焼結し,フレーク状結晶とナ

ノ粒子が混在するペレットが得られた(図 2.23a).結晶形態の均一化を図るため温度を

800°Cに上げて24時間焼成したところ,100~400 nmの粒子状結晶で覆われたペレットが

得られた(図2.23b,以下『nano-BCP2』).作製したリン酸カルシウムペレットのSEM画像,

XRDパターンおよびβ-TCP含有率を図2.24,図2.25,表2.4にまとめる.

図2.23 700°C(a)および800°C(b)で24時間焼成した25-nm flakeのSEM画像.

100-nm fiber,25-nm needle,20-nm needleに関しても700~1000°Cの範囲で焼成条件を検 討したが,基本的に温度が低ければ結晶形が変化せず,高ければ焼結が進みすぎナノ構造 が失われたため,均一なナノ構造をもつBCPペレットとなる条件を見つけることはできな かった.

リン酸カルシウム結晶であるHAの理論的なCa/P比は1.67であるが,合成したHAは一 般的にCa欠損型であることが考えられる.事実,本研究で作製したナノ構造HAはすべて カルシウム欠損型(一般式Ca10-xH2x(PO4)6(OH)2[1])であることがICP-AESで確認されてい

る(表2.5).β-TCPのCa/P比は1.50であるため,ナノ構造HAは焼成の過程で一部が以下

に示す機構でβ-TCPに相転移して安定化し,BCPペレットが得られたと考えられる.

Ca10-xH2x(PO4)6(OH)2 ⊿ Ca3(PO4)2 + H2O Ca10-xH2x(PO4)6(OH)2 ⊿⊿ Ca3(PO4)2 + H2O

焼成後のβ-TCPの生成量は,50-nm fiber(Ca/P比1.43)で58%,30-nm fiber(Ca/P比1.44)

で30%,25-nm flake(Ca/P比1.37)で50%となり,焼成前のCa/P比と強い相関は見られ

なかった.これはβ-TCPの生成量が焼成前のCa/P比だけでなく,相転移におけるH2Oの脱 離にも影響されたためと考えられる.nano-BCP1(図2.24e)とnano-BCP2(図2.24f)では 前者のほうが粒子間隙が小さいため,H2O の脱離が阻害されβ-TCP の生成が抑制されたと 考えられる.

表2.4 各リン酸カルシウムペレット表面におけるβ-TCP含有率.

50 ±1 nano-BCP2

25-nm flake

30 ±2 nano-BCP1

30-nm fiber

58 ±7 micro-BCP

50-nm fiber

100 ±0 flat-TCP

市販HA(ナカライテスク)

57 ±1 flat-BCP

市販HA(純正化学)

0 ±0 flat-HA

市販HA(純正化学)

b-TCP content rate (wt%) 焼成後

焼成前

50 ±1 nano-BCP2

25-nm flake

30 ±2 nano-BCP1

30-nm fiber

58 ±7 micro-BCP

50-nm fiber

100 ±0 flat-TCP

市販HA(ナカライテスク)

57 ±1 flat-BCP

市販HA(純正化学)

0 ±0 flat-HA

市販HA(純正化学)

b-TCP content rate (wt%) 焼成後

焼成前

表2.5 ICP-AESで測定した各ナノ構造HAのCa/P比.

Ca/P ratio [mol/mol] 焼成後 100-nm fiber 1.60 ± 0.01

-50-nm fiber 1.43 ± 0.01 micro-BCP 30-nm fiber 1.44 ± 0.02 nano-BCP1 25-nm needle 1.44 ± 0.01

-20-nm needle 1.65 ± 0.03

-25-nm flake 1.37 ± 0.03 nano-BCP2 80-nm sheet 1.59 ± 0.01

-図2.24 作製したリン酸カルシウムペレット表面のSEM画像.

図2.25 各リン酸カルシウムペレット表面のXRDパターン.

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