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役務受領者の義務に関する規律

ドキュメント内 民法(債権関係)部会資料 (ページ 61-68)

役務提供型契約においては,教育を内容とする契約など役務受領者が一定の

努力をしなければ契約目的が達成されないものがあり,このような契約におい ては役務受領者は役務提供者に協力する義務を負うとの指摘がある。これを踏 まえ,役務提供型契約においては,契約の性質から必要な場合には,役務受領 者は契約目的の達成に向けて役務提供者に対して必要な協力をする義務がある ことを規定すべきであるとの考え方が提示されているが,どのように考えるか。

(補足説明)

債権一般について債権者の受領義務が議論されているほか,売買契約については買 主に目的物の受領義務が認められるかが問題とされている(部会資料15-1,第3,

2(2)(10頁)参照)。

役務提供型契約においては,教育を内容とする契約における生徒など,役務受領者 も一定の努力をしなければ契約目的が達成されないものがあり,これらの契約におい ては,受領遅滞の議論において論じられてきた受領義務とは質を異にするものである が,役務受領者が契約目的の達成に向けた努力義務を負うとの指摘がある。

そこで,従来議論されてきた債権者の受領義務に加え,上記のような努力義務を含 めた役務受領者の協力義務についての規定を設けるべきであるとの考え方が提示され ている(松本恒雄「サービス契約」別冊NBL51号244頁以下)。このような考え 方は,役務受領者の協力義務として,役務受領者の管理下にある物や人が役務の客体 として不可欠である場合に当該客体を用意する義務や,契約目的の達成に向けて役務 提供者に対して必要な努力をする義務が含まれるとする。

このような考え方について,どのように考えるか。

4 報酬に関する規律 (1) 報酬の支払方式

役務提供型契約には,役務提供の履行によってもたらされる成果に対して 報酬が支払われるものと,役務提供の履行そのものに対して報酬が支払われ るものとがあると考えられる。そこで,役務提供型契約における報酬の支払 方式には2つの類型があり,役務提供の履行によってもたらされる成果に対 して報酬を支払うことが合意された場合には,役務提供者は当該成果を完成 しなければその報酬を請求することができないこと(成果完成型) ,このよう な合意がされていない場合は,受任者は委任事務の処理の割合に応じた報酬 を請求することができること(履行割合型)を明文で規定するという考え方 があるが,どのように考えるか。

(補足説明)

1 報酬に関する規律の必要性

既存の役務提供型の典型契約に関する規定には,報酬の対象(民法第623条,

第632条)や,報酬の支払時期(同法第624条,第633条,第648条第 2項)など,報酬について規定したものがある。既存の典型契約に該当しない役

務提供型契約においても報酬をめぐる法律関係が問題になり得ることから,その 受皿となる規定を設けることとする場合には,報酬に関する規律を設けることが 検討事項になり得る。

2 報酬の支払方式

役務提供型に属する既存の典型契約には,報酬が役務そのものとは区別された 成果に対して支払われるもの(例えば請負契約)と,役務そのものに対して支払 われるもの(例えば雇用契約)とがある。同様に,既存の典型契約に該当しない 役務提供型契約にも,役務そのものとは区別された仕事の成果に対して報酬が支 払われるものと,役務そのものに対して報酬が支払われるものとがあると考えら れる。

もっとも,既存の役務提供型の典型契約についても,具体的報酬請求権の発生 要件は条文上必ずしも明らかではない。例えば,請負契約については,一般に仕 事が完成しなければ報酬を請求することができないと言われているものの,①契 約時に報酬請求権は発生するが,仕事の完成前は具体的報酬請求権は成立してい ないとするもの,②契約時に,仕事の完成を停止条件とする報酬請求権が発生す るとするもの,③仕事完成によって報酬請求権が発生するとするものなどの法律 構成がある。また,雇用契約についても,種々の見解が主張されている(前記第 2,3(1)参照)。

一つの考え方として,委任における成果完成型と履行割合型の区別(前記第3,

4(1)参照)と同様に,成果完成型においては当該成果を完成させることによ って具体的な報酬請求権が発生し,このような合意がされていない履行割合型に おいては役務提供を履行した割合に応じて具体的な報酬請求権が発生する(逆に,

役務提供を履行しなければ具体的な報酬請求権は発生しない。)ものとすべきであ るとの考え方が提示されている(参考資料1[検討委員会試案]・359頁)。こ れによれば,報酬の支払時期についての特約に基づいて報酬が前払されていた場 合でも,結果的に役務の全部又は一部の提供がされなかった場合には,提供しな かった役務に対応する報酬額を返還しなければならないことになる。

このような考え方について,どのように考えるか。

(関連論点)

役務提供を履行するために必要な費用の負担について

委任契約については,事務処理に必要な費用の前払請求,償還請求に関する規定 が設けられており(民法第650条,651条),これらの規定は,準委任契約及び 寄託契約に準用されている(民法第656条,665条)。このほか,同法第485 条は,債務の弁済一般について,弁済費用を債務者の負担とする旨を規定している。

既存の典型契約に該当しない役務提供型契約の受皿となる規定を設けることとす る場合,役務提供を履行するために必要な費用の負担に関する規定の要否や内容が 検討事項となり得るが,これらの点についてどのように考えるか。

例えば,費用の負担について,有償契約として定義されているサービス契約にお

いては,その給付のための費用は報酬又は料金の中に組み込まれていることが多い ことから,紛争を防止するため,報酬又は料金とは別に費用を徴収するには,あら かじめその旨を明示しなければならないとの考え方が示されている(松本恒雄「サ ービス契約」別冊NBL51号247頁)が,どのように考えるか。

(2) 報酬の支払時期

既存の典型契約に該当しない役務提供型契約の受皿となる規定を設けるこ ととする場合には,役務提供型契約における報酬支払時期に関する規定を設 けることが検討事項となり得る。役務提供型契約の報酬の支払時期について は,成果完成型の報酬支払方式を採る場合には仕事完成後,履行割合型の報 酬支払方式を採る場合には役務提供を履行した後(ただし,期間によって報 酬を定めたときはその期間経過後)とする考え方が提示されているが,どの ように考えるか。

(補足説明)

既存の役務提供型の典型契約については,報酬の支払時期に関する規定が設けら れている(民法第624条,第633条,第648条第2項)。そこで,既存の典型 契約に該当しない役務提供型契約の受皿となる規定を設けることとする場合にも,

報酬の支払時期に関する規定を設けることが検討事項となり得る。

報酬の支払時期については,民法上,仕事の結果に対して報酬が支払われる請負 契約については報酬の支払時期は仕事完成後とされ(同法第633条),役務の給付 そのものに対して報酬が支払われる雇用契約については役務の給付後(期間によっ て報酬を定めたときはその期間の経過後)とされている(同法第624条)。後者の 理由として,起草者は,それが通常の慣習であると説明している。

これと同様に,既存の典型契約に該当しない役務提供型契約についての報酬の支 払時期についても,成果完成型においては成果完成後,履行割合型においては役務 提供後(期間によって報酬を定めたときはその期間の経過後)とする考え方が提示 されている(参考資料1[検討委員会試案]・360頁。なお,松本恒雄「サービス 契約」別冊NBL51巻247頁も,上記の履行割合型に関する提案と同様の内容 を提案する。)が,どのように考えるか。

(3) 役務提供の履行が不可能な場合の報酬請求権

役務提供の全部又は一部の履行が不可能になった場合には,前記(2)の考え

方によれば,その契約が成果完成型の報酬支払方式を採るものであるときは

成果が完成していない以上報酬を請求することができず,履行割合型の報酬

支払方式を採るものであるときは役務提供を履行した割合に応じて報酬を請

求することができるにすぎないのが原則である。もっとも,このような原則

に基づく処理が妥当でないと考えられる場合もあり,役務提供の全部又は一

部の履行が不可能になった場合であっても役務提供者が上記の原則を超えて

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