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寄託の成立―要物性の見直し

ドキュメント内 民法(債権関係)部会資料 (ページ 87-90)

その現在の場所で返還をすることができる。

○(委任の規定の準用)

民法第665条 第六百四十六条から第六百五十条まで(同条第三項を除く。)の規定 は、寄託について準用する。

○(消費寄託)

民法第666条 第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費す ることができる場合について準用する。

2 前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわらず、前項の契約 に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求すること ができる。

2 寄託の成立―要物性の見直し

要物契約であるとされている(民法第657条)。寄託が要物契約とされたのは,ロ ーマ法以来の沿革に由来するものであって,今日では合理的な理由は見出せないと 言われている。このため,通説は,契約自由の原則から,諾成的な寄託契約の効力 を認めている。また,実務上も,倉庫寄託契約を中心に,諾成的な寄託契約が広く 用いられていることから,寄託を要物契約とする民法の規定は,取引の実態とも合 致していないとも指摘されている。

もっとも,解釈論として諾成的な寄託契約の効力を認める見解の中でも,有償寄 託に限って効力を認め,無償寄託については効力を認めるべきでないとするものが 有力に主張されている。すなわち,無償契約が好意的契約であることから,単なる 合意によって受寄者に対して寄託物を引き受ける法的義務を課することは適当では なく,寄託物を受け取って初めて拘束力が生ずると考えるべきであるとする見解で ある。これに対して,契約自由の原則を根拠として,無償寄託についても諾成的な 寄託契約の効力を認めるべきであるとする見解や,無償寄託についても諾成的な寄 託契約の効力を認めつつ,民法第550条を類推して,書面によらない無償寄託に ついては自由な撤回を認めることにより,契約の拘束力を緩和すべきであるとする 見解も主張されている。

2 見直しの方向性

以上のような状況を踏まえて,寄託を諾成契約として規定する方向で見直すべき であるという考え方が提示されている。

この考え方に基づく具体的な改正提言としては,有償寄託と無償寄託のいずれに ついても諾成契約として規定しつつ,無償寄託については,寄託の合意が書面でさ れない限り,寄託物を受け取るまでの間,受寄者に解除権を認めるという考え方(参 考資料1[検討委員会試案]・379頁)や,無償寄託については,書面によって合 意がされた場合に限り,諾成契約の効力を認めることとし,それ以外の無償寄託は 要物性を維持するという考え方(参考資料2[研究会試案]・219頁)が示されて いる。無償寄託の成立要件に関する議論は,贈与や使用貸借等の他の無償契約の成 立要件とも関連するので,これらの見直し(部会資料15-1,第6,2(14頁), 部会資料16-1,第3,2(13頁)参照)との整合性に留意する必要がある。

以上のような考え方について,どのように考えるか。

(2) 寄託物の受取前の当事者間の法律関係

寄託を諾成契約として規定する方向で見直す場合には,寄託物の受取前の 当事者間の法律関係について整理することが必要となる。

この点について,解釈上認められている諾成的な寄託契約において,寄託 者が寄託物の引渡義務を負わないという点については異論がない。また,寄 託物の引渡前は,寄託者は自由に解除することができるが,解除した場合に は,寄託者は,寄託物を受け入れるために受寄者が支出した費用の償還義務 を負うと考えられている。そこで,寄託を諾成契約として規定する際には,

これらの点を条文上明確にすべきであるという考え方が提示されている。

他方,解釈上認められている諾成的な寄託契約において,受寄者は寄託物 の受取義務を負うと解されているので,この点についても条文上明確にすべ きであるという考え方が提示されている。もっとも,無償寄託については,

前記「 (1)要物性の見直し」のとおり,書面によって寄託が成立した場合で ない限り,寄託物の受取前における受寄者は任意の解除権を有するものとす る考え方が提示されている。

以上のような考え方について,どのように考えるか。

(補足説明)

1 寄託者の権利義務

寄託を諾成契約として規定する方向で見直す場合には,寄託物の受取前の当事 者間の法律関係について,整理することが必要となる。

まず,現在でも解釈上認められている諾成的な寄託契約について,寄託者が寄 託物の引渡義務を負わないという点については異論がない。これは,寄託の利益 は寄託者にあると解されることから,寄託者において寄託する必要がなくなった 場合に,寄託させる義務を負わせるべきではないからであるとされる。

また,諾成的寄託契約の寄託者は,寄託物の引渡義務を負わないだけでなく,

民法第662条の趣旨から,寄託物の引渡前においても契約を自由に解除するこ とができるとされている。この解除権を認めなければ,寄託者は引渡義務を負わ ないものの,契約が存続し続けることとなってしまうからである。もっとも,諾 成的な寄託契約の締結後,寄託者が任意解除をするまでの間に,受寄者が寄託物 を受け入れるために保管の準備を行い,費用を支出していた場合には,寄託者は,

受寄者に対して,当該費用の償還義務を負うと考えられている。

寄託を諾成契約として規定する方向で見直す場合には,寄託物の受取前の寄託 者の権利義務について,以上のような考え方を,条文上明確にすべきであるとい う考え方が提示されているが,どのように考えるか。

2 受寄者の権利義務

有償寄託の受寄者については,解釈論として,諾成的な寄託契約に基づき,寄 託物の引受義務を負うことと,寄託物の引受後からその寄託物の返還義務を負う ことについて争いがない。そこで,このような考え方を条文上明記すべきである という考え方が提示されている。

これに対して,無償寄託については,前記「(1)要物性の見直し」(補足説明)

2のとおり,どのような範囲で諾成契約として規定するかをめぐって複数の改正 提言が示されているが,そのうちの一つは,諾成的無償寄託を広く認めた上で,

書面によって無償寄託が成立した場合でない限り,寄託物の受取前における受寄 者は,任意の解除権を有するものとしている。このほかは,いずれの改正提言も 諾成的無償寄託が認められる範囲では,受寄者は,上記の有償寄託における受寄 者と同じ義務を負うものとしている。

以上のような考え方について,どのように考えるか。

ドキュメント内 民法(債権関係)部会資料 (ページ 87-90)