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4 中国における経済発展と技術移転政策の戦略的転換

4.2 外資政策

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ベーションを支える世界中のリソースと連携し,これらを積極的に活用していくことで達 成するという姿勢を打ち出している133)

このように「自主創新」を重視する科学技術政策の変転にしたがって,かつては技術移 転戦略の枠組みにおいて中心的な政策であった外資政策,地域政策,人材政策もそれぞれ 変化したのである.そこで次に,これまでの技術移転政策の最も中心であった外資政策の 変化について考察する.

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ないこととされた.この『外資ガイドライン』は 1997 年に最初に公表されてから,5 回

134)にわたって修正されている(第 19 表).

また,前述したように中国の「自主創新」は閉ざされたシステムではなく,イノベー ションを支える世界中のリソースと連携し,これらを積極的に活用していくことにより促 進されていることである.つまり,中国の「自主創新」にとって最も重要な手法は,海外 から先進技術を移転させたうえで,中国の市場ニーズに応じたイノベーションを進めるこ とである.

そこで,2006年から始まった『第 11次5ヵ年計画』では,「自主創新」を重視し,持 続可能な経済発展を目指すことで,外資利用の見直しが行われた.そのなかでは,国内の 自主ブランドを守ることを前提に,外国企業による国内企業の改組・改造への参加を誘導 すると述べられている.また,自主的な創造・革新(イノベーション)能力の増強を強調 しており,外資の国内産業への技術波及効果を誘導すること,先進技術の導入・消化吸収 し再革新する能力の強化がうたわれている.

さらに,2007 年には『外資ガイドライン』がさらに修正された.2004 年の『外資ガイ ドライン』と比較して,2007年改訂版では,資源節約・環境保護を重視すること,また,

外国資本のハイテク産業参入を奨励し,伝統的な製造業を奨励しないことが明らかになっ た(第 19 表).国内ですでに成熟した技術,比較的強い生産能力を揃えた伝統的製造業 での外資投資は奨励されなくなった.2007 年の奨励項目は以下の 5 つの変化によって,

高付加価値・高新技術型産業を重視することを明らかにしている.

① 産業構造の優化に必要となる現代農業,高新技術産業,現代サービス業,インフラ 設備の建設を奨励項目と規定した.

② 中国政府が認定した『奨励外商投資高新技術産品目録』の 88%の項目が新『外資ガ イドライン』の奨励項目に含められた.例えば高新技術船舶の設計,自動車用高分 子材料,超硬複合材料などがある.

③ 持続可能な発展をめざす資源集約型産業の奨励.例えば,バイオ医薬,太陽電池生 産設備,新エネルギー発電所の建設などである.

④ 製品のすべてを輸出する許可類項目を奨励項目から取り消した.

⑤ すべての「西部限定」の項目が『中西部地区外資投資優勢産業指導目録』に入り,

『外資ガイドライン』では示されていない.

134) 1997年,2002年,2004年,2007年,2011年の5回にわたって,『外資ガイドライン』を修正して きた.

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2007年に改定された『外資ガイドライン』では,外資による高付加価値産業への投資が 奨励項目として重点的に規定された.特に,高新技術の開発・製造に関する産業項目は,

①中方控股,②中方相対控股,③限于合資・合作のいずれかの条件135)を付けるとこによっ て,「自主創新」に不可欠な研究・開発能力を獲得するつもりである.

つまり,中国政府は,外資企業が中国市場に参入する際に,政策によって「技術情報の 開示・移転」などを義務づけることで,技術や知的財産権を半ば強制的に移転させようと したのである.それは,中国における「自主創新」の推進,産業構造の転換,環境の保護 などの課題の解決として最も重要な方策である.

さらに,近年中国は「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌している.それによっ て,中国に進出した企業は単なる安価な生産拠点の設立ではなく,市場の獲得も狙ってい る.そこで,中国市場に適した製品を提供できるように,外資系企業は中国現地で研究セ ンターを設置したり,中国企業との協力関係を締結したり,研究開発に力を入れていると みられる(第 12 図).しかし,はっきりした成果があがっていないのが現状である .

2007 年12月 16日に北京で開かれた「第 9回中国経済学者フォーラム」において,全 国人民代表大会財経委員会の石広生副主任は「中国は外資の導入について,ハイテク産業 や先端製造業,環境保護産業への投資を一層奨励する一方,エネルギーの消費が大きく,

汚染物の排出が多い産業への投資を厳しく禁止する.また,外資系企業が中国で研究開発 センターを設立することを促していく」136)と述べた.

第 12 図 外資により設立された研究機関数の推移 出所)日本貿易振興機構北京事務所知識産権部(2013) 11ページ.

135) 奨励項目の条件は,以下の 3つがある.①中方控股:中国側が軽絵権・マジョリティーを持つことで 外資比率が 50%を超えてはならない.②中方相対控股:中国側が相対的にマジョリティーをもつこと で,中国側投資者の投資比率の合計が外国投資者のいずれの投資比率を上回ること.あるいは,③限 于合資・合作:中外合資経営(合弁)と中外合作経営のみが許可されること.

136) 『旅情中国』(2007.8.8.付) .

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つまり,経済の発展に必要となる「自主創新」を促進するため,中国は依然として外資 企業を主体として技術研究開発の促進,知的財産権の現地化など,研究開発能力の移転を 推進させる姿勢を示しているのである.

続いて,これまで外資政策と一体であった地域政策について考察していく.