4. フィリピン国の港湾
4.2. 港湾の現状と課題
4.2.2. 地方政府が運営管理する港湾整備と管理運営
最終報告書
27 セブ港湾公社 (CPA)
(3)
2013年のCPA管理港湾全体の荷積量及び旅客数を表 4.2-3に示す。
港湾取扱貨物量について、国内貨物が1,684万トンで移入754万トン、移出929万トンである。
一方、国際貨物は、552万トンで、うち、輸入が388万トン、輸出が165万トンである。
CPA港湾の全取扱貨物量 (2,236万トン)は、PPA港湾の全取扱貨物量 (21,470万トン)の10%超 にあたる。
また、国内貨物は移出が移入より若干上回る程度であるが、国際貨物については輸入と輸出の 比が7:3であり差が大きい。
旅客数については、乗船842万人、下船867万人の計1,709万人であり、PPA港湾の合計(5,590 万人)に対して30%超となっている。
表 4.2-3 CPA港湾全体の荷積量および旅客数(2013年)
CARGO THROUGHPUT(in metric tons) PASSENGER TRAFIC
Grand Total DOMESTIC FOREIGN Total Disembar
king
Embarkin Total Inward Outward Total Import Export g
22,361,324 16,837,854 7,543,793 9,294,061 5,523,470 3,876,212 1,647,258 17,090,205 8,673,043 8,417,162
出典: CPA 2013 Annual Reportをもとに作成
(4) 課題
1990年初頭まで、Philippine Ports Authority: PPAがフィリピン国の港湾全体の管理・運営・
統制を行っていたが、その後、Cebu Port Authority: CPA、Subic Bay Metropolitan Authority:
SBMA、Bases Conversion and Development:BCDA、Cagayan Economic Zone Authority:CEZA、
Regional Port Management Authority: RPMAなど、港湾管理機関が順次設立された。また、地
方に所在する地方港湾に関しては、Department of Transport and Communications: DOTCと LGUが整備・管理を行っている。全国港湾網戦略的開発マスタープラン調査(2004年)による と、公営港湾の行政統括管理は、本来DOTCが行う立場にあるが、法的権限整備がなされていな いとされており、現在もその状況は変わっていない。
28
支援地方港湾整備事業」/SRRFPDP(1997-2008)により、フィリピン国のこうした港湾の整備 を支援してきた。なお、LGUが自らで整備するケースもある。また、PPAもLGUあるいは公社
Government Corporation(GC)の要請を基に自らの資金によりそれら港湾を整備する制度を有して
いる。(表 4.2-4参照)
表 4.2-4 地方港湾の整備と運営管理
Development Body Resource Operation and Management Developed by DOTC Government Fund LGU (Turnover from DOTC)
Foreign Fund
Developed by LGU LGU Fund LGU
PPA(corresponding to LGU’s request) PPA Corporate Fund LGU 出典:調査団作成
日本の支援により整備した地方港湾 (2)
1) 事業の概要
「小規模港湾整備事業」(1988年)(以下、NFPDP)は、フィリピン国のRegion Ⅳ、Ⅵ、Ⅶを 対象に、既存の地方港湾を体系的に整備することにより、日常交通を水運に大きく依存している 遠隔地域から地方中心都市へのアクセスを改善し、当該地域の生活・産業基盤の向上を図ること を目的とするもので、これにより27港の整備が実施された。
また、「社会改革支援地方港湾開発事業」(1997年)(以下、SRRFPDP)は、他地域との連絡が 主に海運のみの孤立した地域において、港湾及び建物、基本インフラ設備、港湾へのアクセス道 路等の関連インフラの整備を行うことにより、経済活動の活性化を図り、もって地方貧困層(農民、
漁民等)の貧困撲滅に寄与することを目的とするもので、これにより34港の整備が実施された。
これに関する経緯を以下に示してある。
表 4.2-5 日本の支援による地方港湾の整備の経緯 1982
–
-全国小規模港湾整備計画調査、港湾マスターリスト:150港湾(DPWH) -ショートリスト141港湾(300ロングリスト港湾)
-支援要請:ADB(39港)、OECF(56港),USAID(41港)、KFW(5港)
1988.01 小規模港湾整備事業 (NFPDP)借款契約
金額: 20億9000万円
対象港湾: 25(アプレイザル時)、要請は50港 実施機関:DPWH,
運営管理:LGUsに移管を予定
1990.06 NFPDP コンサルティングサービス開始 (1998年2月終了)、60港湾を設計s
1992 実施機関の変更(DPWH から DOTC)
1992.12 NFPDPの土木工事開始
1997.03 社会改革支援地方港湾開発事業(SRRFPDP)借款契約
金額: 57億46 00万円 港湾: 35
最終報告書
29 1997.10 NFPDP の貸付完了(計画1995.05):
実績20億4600万円 (総事業費24億700万円) 1998.02 SRRFPDPの27港完了
2008.12 SRRFPDP全体の完了 (完了予定2003.05):
実績: 42億8600万円 港湾: 34 ports
事後評価報告書:2003年3月
2) 運営管理の基本枠組
NFPDP及びSRRFPDP により整備された港湾は完成後にその運営管理はLGUに移管されるこ
とを基本としていた。運営管理の移管は、DOTCと LGU との間の MOAに基づいている。LGU は、港湾管理母体の設置、適切かつ定期的な予算の計上、タリフの設定、DOTCに対する年次活 動報告の提出が義務づけられている。一方、DOTC は LGU による港湾運営管理の効果的実施の ためのメカニズムの構築とその管理の責務を負うことになる。
なお、NFPDPで整備された港湾の内、ウバイ、ドマンガス、コロン、エルニドの4港湾はPPA に移管され、23港がそれぞれLGUに移管されている。一方、SRRFPDP港湾は5パッケージに分 けられて実施され、4パッケージについては2002年から2003年に工事が完了しLGUに移管され ている。第5パッケージは2008年に完了した。
LGU による管理運営について DOTC の資料によると、リアル、カラモアン、タンバン、サン ホセ、パサカオ、リミナンコン、ロハス、エスタンシア、クラシ、アラバット、アティモナン、
サンハシント、アロロイ、カタインガン、プラサー、サンセバスチャン 及びマギンギスダ港につ いては、正式に移管がなされ、LGUにより港湾管理組織が設置され料金徴収などがなされている。
しかし、移管はなされたものの課題が残っていたり、移管が正式になされていないものもあると のことである。
PPAに移管された港湾の中には、移管後PPAが拡張や補修を行っている港湾もある。ドマンガ ス港は2001年に完成しDOTCの管轄下で供用を開始した後、2003年にPPAに移管され、PPAに より施設拡張がなされた。更に、PPAは2014年には当初に整備された港湾用地の嵩上げを行い、
現在も拡張工事が実施されている。その概要を示したものが図 4.2-2である。
30 出典:調査団作成
図 4.2-2 ドマンガス港の整備と拡張
LGU に移管された港湾の運営管理が当初の目論見通りに行われていないものも多い。LGU の 基にある港湾の運営管理に関しLGUの能力を向上することが必要である、そのためLGUは職員 の人材育成に必要な予算を準備する必要がある。港湾、漁港の管理について人材や多くの経験を 有するPPAあるいはPFDAの指導・監督の下でのLGUの運営管理とする方向が検討されている。
DOTC の資料によると、NFPDP 及びSRRFPDP により整備された港湾及びその移管先の LGU または港湾名はそれぞれ表 4.2-6、表 4.2-7に示すとおりである。
表 4.2-6 NFPDP港湾とその移管先
NSPDP ports 27 移管先LGUまたは港湾名
Ports to PPA 4 Ubay (Bohol), Dumangas (Iloilo), Coron (Palawan), El Nido (Palawan)
Ports to LGU 23
Batangas 4 Calatagan, Lobo, Nasugbu, Tingloy
Iloilo 3 Banate, Estancia, Guimbal
Mindoro Occidental 2 Tayamaan, Sablayan
Mindoro Oriental 1 Roxas
Negros Occidental 1 Vito Sagay
Palawan 5 Balabac, Macarascas, Roxas, San Vicente, Isugod
Quezon 3 Mauban, Ptogo, San Andres
最終報告書
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Romblon 4 Looc, Azagra, San Agustin, Sta. Fe 出典: -Ex-Post Evaluation of Japanese ODA Loan NSPDP, JICA 2000
-Copy of Post Evaluation report, JICA 2008 -DOTC
表 4.2-7 SRRFPDP港湾とその移管先
SRRFPDP ports 34 移管先LGUまたは港湾名
Ports to PPA 3 Dumangas (Iloilo), Looc port,(Romblon) Roxas port (Palawan),
Ports to LGU under PPA 1) 21
Camarines Sur 2 Caramoan port, San Jose port
Quezon 5 Real port, Polillo port, Conception port, Banton port, Corcuera port
Romblon 4 Said port, Conception port, Banton port, Corcuera port Palawan 3 Araceli port, Mangingisda port, Cuyo port
Iloilo 1 Culasi port (Ajuy)
Masbate 3 San Jacinto port, Aroroy port, Cataingan port
Bohol 1 Pitogo port
Batanes 2 Sabtang port, Ivana port
Surigao del Norte 1 Soccoro port Ports to LGU under PFDA 10
Camarines Sur 2 Tamban port, Pasacao port
Palawan 1 Liminancong port (Taytay)
Iloilo 1 Estancia port
Samar 1 San Sebastian port
Surigao del Norte 1 Placer port
Aurora 1 Dingalan port
Mindro Oriental 1 Recodo port (Pinamalayan)
Aklan 1 Buruanga
Negros Occidental 1 Victorias port 1) Under discussion
2) Agreed on May 11, 2010 between DOTC and PDFA
出典: -Ex-Post Evaluation of Japanese ODA Loan Social Reform Related Feeder Ports Development Project, JICA 2013
-DOTC
3) PPAの監督の下でのLGUの運営管理
LGUが運営管理する港湾に関し、DOTC、PPA及びLGUのそれぞれの責務はMOAで定められ ると考えられる。そこでは、港湾に関する指導・監督、施設の所有、LGUの運営管理の状況をモ ニターなどについて記述されることととなろう。DOTCとPPAとの間のMOAを受け、PPAとLGU
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がMOAを締結しLGUはこのMOAに規定に従い、港湾の運営管理を行うこととなると考えられ る。
4) PFDAの指導・監督の下でのLGUの運営管理
SRRFPDP港湾の内、主に漁港として利用される10港の運営管理に関するDOTCとPFDAとの
間のMOAが2010年5月11日付で締結された。これに基づき、PFDAはLGUによる運営管理に 関し監督責任(Supervision and control of the fishing ports)をもつこととなった。このMOAを受け、
PFDAとLGUがMOAをを締結し、LGUが運営管理を行う。